【こおり健太インタビュー】歌手と飲食店経営者の二足のわらじ!「人との縁が広がる、夢を語り合える場所を作った!」

インタビュー
昨年デビュー15周年を迎えた演歌歌手のこおり健太が、9月11日(水)に「裏町蛍」をリリースした。11月27日(水)には札幌・教育文化会館でコンサートが行われるが、こおりの第二の故郷でもある北海道を舞台にした「小樽…ひとり旅」がカップリング曲として収録。長年追及してきた“おんな唄”にさらに磨きがかかり、新たな物語が誕生した。さらに今年は歌手活動に加えて、飲食店経営者としての道も切り開いたというが……!新曲のこと、お店のこと、愛犬“ずんだ”のことについて、たっぷりとお話を伺いました。

声も生きている、感情で歌は変化する

── 「裏町蛍」はどのような曲ですか?
こおり
夜の街、飲み屋街の路地裏のひっそりした場所で待ち続ける女性を描いています。歌詞はレコーディング時にディスカッションしながら大きく変わりました。2番の“水さえ甘いと教えた人に…”の部分は、はじめはお酒だったんです。ですが、僕はお酒が飲めないこともあって、この歌詞になりました。
── こおりさんと言えば“おんな唄”が代名詞となっています。今回はどんな部分に気をつけて歌っておられますか?
こおり
泣き節に関しては、泣くところはしっかりと泣いています。途中で曲調が明るくなるので、本当は明るくテンポ良く歌えばいいのですが、敢えて泣き節を入れました。そういったこともあり、普段は出ない声色も沢山出ています。CDに収録されている声色や歌い方はライブでは出せないだろうし、逆にライブでしか出せない声色が出てくるんだと思います。声も生きていることを再認識させられました。

── 今作を手がけられた先生方とは初めてとのことですね。
こおり
さとし先生には15周年記念アルバムの「肥後盆」を書いていただき、今回もお願いしました。作詞をしてくださった髙橋直人先生と桧先生は今回初めてご一緒されるみたいです。「小樽…ひとり旅」の作詞をしてくださった熱田貴先生は、僕がコロナ禍に出会った方。日本ソムリエ協会の2代目の会長さんであり、ボジョレー・ヌーボーを広めた方でもあるんです。演歌が好きな方で以前から僕の曲も聴いてくださっていたんです。

カップリング曲は第二の故郷・北海道を舞台に

── カップリング曲「小樽…ひとり旅」は、どのような経緯で制作されたのでしょうか?
こおり
熱田先生が北海道仁木町にワイナリーを持っておられて、途中で通る小樽について詞を書いておられました。たまたま僕がそれを見て、ディレクターに言って、この歌が出来ました。2番の歌詞では、亡くなられた奥さまが小樽の銭函で療養しておられた時のエピソードが書かれていたのですが、敢えて「宿」に変えるなどして、僕も作詞のお手伝いをさせていただいた思い入れのある曲です。
── こおりさんにとって、北海道は第二の故郷というくらいに特別な場所ですよね。小樽の思い出は?
こおり
北海道で最古の海水浴場、蘭島海水浴場に行った時の印象が強いです。夏は賑わっていますが、冬になると人が全くいなくて……。だけど基本仕事で訪れることがほとんど。いつかゆっくりと観光で訪れたいですね。歌うポイントとしては、この曲を聴いた人が“小樽に行ってみたい”と思っていただけるのよう、なるべく感情を込めずに“無”で歌っています。

飲食店を始めたことで広がる出会い

── 「裏町蛍」のMVは新宿の荒木町の裏町で撮影されたとのことですが、5月、荒木町に「創作酒場&カフェ ずん太゛ 」をオープンされましたね。どのようなきっかけで?
こおり
愛犬のずんだが我が家に来てから、生活がずんだ中心になったのですが、一緒に生活する中で気付いたのは犬と一緒に入れるお店がとても少ないということ。だからもっと犬と一緒に気軽に入れる飲食店があればと4年くらい前から思っていました。
こおり
もちろん、オープンするまでに紆余曲折がありました……。実は、今年の春にデビュー前から可愛がってくださり、お世話になった方が亡くなったんです。その方がいつも「こおり健太は歌手だけでなく、それと並行して人が集まる場を作ればもっと良くなる」と言ってくださっていて。とはいえ、歌の他に別のことをやるエネルギーもなく、一歩踏み出す勇気がなかったんです。そんな中今年に入って、人気の荒木町で空き物件が出るという情報を知人が教えてくれて。これもご縁だと思い、4月20日に準備して、5月15日にオープンしました。いま思えば、その方が遺してくれたプレゼントなのかもしれませんね。
── スピード感が凄い!ずんだは社長として、お店のマスコットとして大活躍ですし、いろんな人が集う夢のある場になりそうですね。
こおり
ずんだは毎回お店に居るわけではないのですが、ずんだに会いに来て下さるお客さまも増えました!2階は空きスペースになっているので、そこを活用して落語会を開催するなど、“夢を語るスペース”になっています。これも店を始めたことで繋がっている出会いなんですよね。コロナ禍は出会いが閉ざされたので、いまこうして取り戻している感じがします。
── ずんだ君がいろんな縁を運んで来てくれていますね。
こおり
コロナ禍前までは手帳が真っ黒になっていないと不安で、どこか無理しているところもありました。だけど、ずんだと出会って生活スタイルも変化しましたし、仕事で地方に行っていても、なるべく早く東京に戻るようになりましたね。ずんだが、僕のこれまでのやり過ぎ感を見直すきっかけをくれました。

お店を通して、若い世代にも演歌の良さを伝えられる

── デビュー17年目という良いタイミングで新たな道を踏み出されましたね。
こおり
はい。いまお店には20代〜40代の人が多く来てくれているのですが、その人たちと話をしていく中で、僕が歌手だってことを言うと、皆驚くんですよね。そこからXを見てくれたり、MVを再生してくれたりして、歌を知ってくれる。若い世代や新たな人との出会いが楽しいです。人生は“人との縁”“出会い”でさらに面白くなる。店を始めた意味ってそこにあると感じています。
── お店を通して、若い世代、あるいは世界に演歌歌謡が広がる……!夢がありますね。
こおり
はい、それにワンチャン好きも来るから、どんどん可能性が広がる場所です。僕自身、歌が好きで上京しましたが、人との縁に恵まれ歌手デビューし、ここまで来れました。再度ここでそんな場所を作りたい。これも、こおり健太として15年間歩んだ中での流れです。これからも沢山の人に出会い、生の歌声を聴いてもらいたい。そして、おんな唄を貫く気持ちを持って歩んでいきます。
インタビュー・文・撮影:ごとうまき