【城田優の進化が止まらない!】ミュージカル『ファントム』に史上初の三刀流で挑む!「挑戦することに全力で向き合う!」

インタビュー

自分やカンパニー、そして日本のミュージカルシーンにおいても大きな挑戦

『オペラ座の怪人』を原作としたミュージカル『ファントム』が2023年7月22日(土)〜8月6日(日)梅田芸術劇場メインホールにて上演される。ミュージカルのベストセラーとして繰り返し再演されている中、2019年には城田優がファントム役を演じ、さらに演出も手がけたことで史上初の挑戦を成し遂げた。2019年に続き、今回も城田優が演出、主演を。さらにシャンドン伯爵役のWキャストも務めるという驚きの“三刀流”に挑む!今回は城田優とヒロイン・クリスティーヌ役を務めるsaraが取材会に出席。いよいよ6月から稽古がはじまるというが、それぞれに期待することや作品の魅力を聞く。また城田には三刀流に挑戦する今の心境や、2019年公演時なども振り返ってもらいながら、公演に向けての意気込みを語ってもらった。
── 2019年に続く再演とのこと。城田さんは演出、主演とさらにもう一役を務められますが、今の心境をお聞かせください。
城田
演出に主演という貴重な経験をさせていただいた2019年。そして今回は三刀流で挑みますが、日本のグランドミュージカル界では初めてではないでしょうか。自分でもどんなものになるか想像がつかないし、正直、プレッシャーと不安でいっぱいです。だけどこれは自分で決めたこと。この三役を全うすることにより、とてつもない面白いものが出来上がるのではないかと期待しています。
── クリスティーヌという大役を務められるsaraさん、今のお気持ちは?
sara
まるで飛行機が飛び立つ前のワクワク感でいっぱいです。憧れのクリスティーヌを演じられ、カンパニーの一員になれること、とても嬉しく思っています。描いていた夢が現実となり、いま最初の一歩を踏み出した。自分の知らない一面もこれから沢山出るだろうし、まだ見ぬ世界観をカンパニーの皆で作り上げていくことに胸が高鳴ります。

よりファンタジックな世界観が期待される

── 2019年上演での手応え、そして今回はどのような演出にしようと考えていますか?
城田
2019年の上演では、自分のアイディアを具現化していただき、それなりの評価もしていただけたと自負しています。演出家、主演として幸せな時間を過ごさせていただきました。今回は前回の改善点を活かしながらさらに良いものを創り上げていきたいです。ただ、劇場が変わる関係や、コロナ禍での影響により、どこまで前回同様に再現できるかは分かりません。とはいえ、劇場が変わったことによる新たな演出には、前回以上のものが期待されるのではないでしょうか。
──saraさんは演出家としての城田さんにどのような期待をされていますか?
sara
オーディションの時から時間をかけて見てくださいました。城田さんは挑戦することを尊重してくださるので、自由にいろんなことにチャレンジができます。どんなクリスティーヌになるのか、自分自身まだ見ぬ一面が見れると思うと、ワクワクしますね。

Wキャスト城田優と加藤和樹で創り出す唯一無二のエリックに期待

── 城田さん、エリックを演じる上で、前回から学ばれたことは?
城田
前回は主観的に役に入り込みすぎたのもあって、泣きすぎたかなと。それにエリックとして稽古をする時間が圧倒的に少なかったんです。僕がWキャストの加藤和樹とともに構築してきたエリック像は、コミュニケーションが苦手で、より人間臭いキャラクター。そして、それぞれの個性が役に投影されます。今回も稽古に入ってディスカッションしながら、エリックを作り上げていけたらと思います。
── saraさんから見た城田さんと加藤さんのエリックはどんな印象ですか?
sara
それぞれ持っている熱の色が違う印象を受けました。例えるならば城田さんは太陽で赤い炎。内に秘めたものはあるけど、心の底に誰にも見せていない愛情や優しさがあります。一方で加藤さんは月。青い炎という印象を受けました。どちらも、クリスティーヌとしてはそこに触れたいし、もっと自分を出していいんだよって言ってあげたくなります。
── 城田さん、加藤和樹さんに期待されていることは?
城田
毎日の手作り弁当です(笑)。彼、とにかく料理上手で! 2019年の稽古時、2人のクリスティーヌと“自炊をしているか”といった雑談をしていた翌日に、僕の机の上に可愛いお弁当箱が置いてあったんです。僕が時間なくて自炊しないという話を聞いて、クリスティーヌのどちらかが作ってきてくれたと思いきや、加藤くんだった(笑)。そこから毎日のように美味しいお弁当を作ってきてくれました。2019年よりもさらにカッコよくて、情けなくて、美しいファントムを加藤君と作っていくので、楽しみにしていてください。

saraの人柄がクリスティーヌのキャラクターにリンクする。

── キャスティングも城田さんがされていますが、saraさんを起用された理由は?
城田
オーディションでは歌、ダンス、芝居などを見せてもらいましたが、どれをとっても素晴らしいの一言。それに臨機応変な対応もできる柔軟性も持ち合わせています。役者は人柄が半分、その人間性が役柄にも投影されると思っています。
── クリスティーヌ役のsaraさんに期待することは?
城田
今回はクリスティーヌに加えて、エリックの母親・ベラドーヴァも彼女に演じてもらいます。もう期待しかありませんね。これまで幾つかのミュージカルに出演されていて基盤はあるものの、それほど多くの役をされていないので、柔軟に役に染まってくれるだろうし、伸びしろも感じられます。クリスティーヌは歌、ダンス、芝居、全てにおいて難易度が高いのですが、この役を安心して任せられるくらい彼女にはポテンシャルの高さを感じています。クリスティーヌを演じるのではなく、クリスティーヌそのものになってもらいたいですね。
── saraさんはどの部分を大切に演じたいですか?
sara
まずはエリックと繋がっていく歌を大切に。そしてクリスティーヌとベラドーヴァ、2人の女性を演じることで相乗効果が起きると思っています。この作品は家族愛、普遍的な愛をテーマにしたストーリーなので私の大切な家族や友人、先生にも伝えたいし、大切に演じたいですね。

梅田芸術劇場で生まれるファントム、尊い瞬間をこの目で見届けて

──忙しい城田さんのリフレッシュ方法は?
城田
稽古が始まるまでの今は、友達と会ったり、カラオケに行ったり、ゲームをしたりと思いっきり息抜きをしています。6月に入ると地獄の始まりっていうくらいに、大変な日々になるでしょうし、前回同様に今回も大千秋楽の日まで息抜きをすることはないと思います。出来るはずがないと思われていることを、舞台上では努力を見せずに演じることが僕の今回のゴール。一秒一瞬も無駄には出来ません。9月半ばまではファントム一筋でやり切ります!!
──大阪公演に向けて、関西のお客さまにメッセージをお願いします。
城田
2019年の公演、梅田芸術劇場で幕を閉じました。当時はあまりの重圧から大千秋楽では涙を流すことはできませんでした。今回は大阪公演からスタート、同じ劇場で、当時溜め込んだ様々な感情を爆発させてスタートを切れる。とても感慨深いし、安心できます。今回は梅田芸術劇場でファントムが生まれます。ここ大阪で構築されたものを東京公演へ。この尊い瞬間、歴史を、関西の皆さまにも感じていただけたら。
sara
兵庫県出身の私にとって、梅田芸術劇場は特別な場所。そこでクリスティーヌを演じられるのは奇跡であり、自分の人生の中でもメモリアルな瞬間になりそうです。この作品は一生分ほどの感情が動く物語。この熱さをお客さまも一緒に感じていただけるのではないでしょうか。お客さまの感情を動かし、何か大きなモノを持って帰っていただけるように精一杯頑張ります。

取材・文・撮影/ごとうまき