迷子になった少年が25年間思い続けた故郷の家族と再会する奇跡の感動実話
日本では2017年に公開された名作映画なので観た人も多いかもしれませんが、改めてこの映画の良さをまとめてみました。Netflixをはじめ多くの配信サービスで配信中。
インドで迷子になった5歳の少年が25年後にGoogle Earthで故郷を探し出すという実話をもとにした作品、「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル、「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンらが共演したヒューマンドラマでもあり、ロードムービーでもある。
あらすじ
1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルー、多様な言語に多様な人種が暮らす国インド。言葉も通じない、字も書けない読めないサルーは、見知らぬ土地で様々な危機に直面するが、運良くオーストラリアに住む白人の夫婦の養子となりオーストリアで順調に成長し立派な青年になる。大きくなるにつれ大きくなるインドの母や兄への想い。「Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができる」と友人に教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを使って、本当の母や兄が暮らす故郷を探して再会するという物語だ。
この物語は子供の頃迷子になってからの前半と大人になって故郷のインドを探す後半に大きく分かれる。
幼少期・・インドの迷子問題と貧困問題
たった5歳の男の子が違う言語の見知らぬ土地で何度も何度も危ない目にあっては助かる。奇跡の連続としか言いようがない実話だ。インドでは今でも毎年約8万人の子が行方不明なっているらしい。特に貧困地域で誘拐された子は写真がないため、捜査も難航しているんだとか。子どもが迷子になっていようがインドでは多くの大人が見向きもしない。途中サルーに声をかけてくれた女性は実は夫婦でサルーを売るつもりだった。危機回避能力のあったサルーはラッキーなことに逃げきれたが、多くの誘拐された子どもはこのように売られてしまっているのが現実。その後サルーが保護された孤児院では夜中に嫌がる男の子を中年男が連れて行ったりと(おそらく性的暴行を加えられたのだろう)まるで地獄のような場所だったり。子どもに平気でこのようなことが行われていることに胸が張り裂けそうになる。運良く養子縁組の話が来たサルーはオーストラリアの夫妻のもとに養子に。白人夫婦がなぜインド人のサル―を養子にしたかという理由もとても意外なものであった。
成長してから・・ 産みの母と育ての母、二人の母の愛
育ての親の愛情をたっぷり受けて育った青年サル―は両親に感謝と愛情を感じながらも、一方でずっと心の中にポッカリ穴が開いている。生き別れた故郷の母や兄への想いは募るばかり。そんなときに偶然聞いた「Googleearth」、これを使ってインドを探し始める。故郷探しはそう簡単にはいかず、彼女(ルーニー・マーラ)の存在も彼の大きな支えとなりGoogleearthを使ってついに探し出したサルーはスー(ニコール・キッドマン)に「産みの母親に会いに行く」と伝えるとスーは泣きながら喜んだ。産みの母、育ての母、里親制度などといったことなども考えさせられるこの作品はエンドロール前に本人が実際に再会する映像も映し出されます。
KANSAIPRESS編集部から
文/後藤麻希