俳優でタレントの三宅裕司が、舞台「ニッポン狂騒時代~令和JAPANはビックリギョーテン有頂天~」の取材会に出席し、意気込みや思いを語った。
三宅が主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアターは創立45周年を迎え、神戸公演にはスペシャルゲストとして、浅野ゆう子の出演が決定している。
「よくここまで続いたな」と45周年を改めて振り返る三宅。「劇団を売るためにマスコミに行ったけど、段々とマスコミの仕事が面白くなって、忙しくなって、いつの間にか劇団ができなくなってしまった……。そんな中、創立メンバーが劇団を支え続けてくれました。いいメンバーと出会えたから。小倉(小倉久寛)の存在も大きかったです」と、感謝の思いを述べた。
浅野ゆう子のゲスト出演について「頼んでないんですよ(笑)」と、笑いを誘う三宅。「もう台本も出来て、稽古に入ろうとした時に浅野さんが急に来たんです。“今度神戸公演があるなら、私出ます!”って。それじゃあ、出てもらおうと、台本に浅野さんの出番を付け加えて、出演していただくことになりました」
物語は、1960年代の東京が舞台。「カヴァーポップス」に傾倒した若者と、安保反対を掲げ、日本人の誇りを守るべく闘う学生運動家たちの恋と挫折、青春を描いている。
劇中では、60年代カヴァーポップスが沢山散りばめられている。自身もコニー・フランシスの「可愛いベイビー」「ヴァケイション」「ボーイ・ハント」などを好んで聴いたという三宅(日本では弘田三枝子が歌っていた)。
「小学校〜高校、めちゃくちゃ楽しかった。次から次へと新しいものが出てくる。冷蔵庫が来て、クーラーが来て、ものづくりが好きな親父がテレビを作ったり。もう『ALWAYS 三丁目の夕日』状態。そんな状況だから“失敗しても、大丈夫!またすぐに立ち直れる”という気持ちが強い時代でした」と、自身の青春時代を振り返った。
対して、いまの日本には不安だらけだと言う。「昔は情報が少ないから楽しく、安心して生きていられた。いまXを見ると、情報が溢れて不安や焦りが出てくる。不安が多いからこそ、楽しい芝居を見に来てほしいという思いが強くなっています」と吐露。
さらに「60年代は、日本のことを一生懸命に考えていた学生がいた。だけどあの当時はネットもない。自分の意見を主張する場所がないから、皆で集まって主張するしかなかった。いまの若者たちは、社会の不満に対して皆で立ち上がる勇気はあるのか?!というテーマをやりたかったけど、当時と今では状況が違いすぎる。ラストシーンの台詞をつい最近書き換えたところです」
歌ありダンスあり、アクションシーンや爆笑シーンありと、盛り沢山。「最後、令和の人たちが見て、何か1つでも胸に残るものが作れたら。今後の日本について考えてもらうきっかけになれば嬉しいです」と、作品への思いを語った。
SET official web site | スーパーエキセントリックシアター公式ウェブサイト | 劇団SET創立45周年記念・第62回本公演「ニッポン狂騒時代」チケット一般発売開始! (set1979.com)
取材・文・撮影:ごとうまき