【mol-74 武市和希インタビュー】やっとここからmol-74の定義が生まれそう!!

アーティスト

ファルセット・ヴォイスを軸に、繊細な音作りで注目を集めるmol-74(モルカルマイナスナナジュウヨン)。自主レーベル「11.7(イチイチナナ)」を立ち上げてから初めて、通算3枚目のフルアルバム『Φ(読み方:ファイ)』を5月22日にリリースした。関西プレスに2度目の登場となる武市和希(ヴォーカル、ギター、キーボード)にロングインタビューを実施。アルバム制作秘話やメンバーへの思いなど沢山語っていただきました。

── 今作のアルバムは“光”がテーマとのこと。ジャケット写真やアートワークにもこだわりが詰まっていますね。タイトルは『Φ』。このタイトルやテーマについて教えてください。

武市
昨年末に「Mooner」と「寝顔」をデジタルリリースし、そのタイミングでフルアルバムを作る話も出ていました。僕たちは毎回何か一つテーマを掲げてアルバムを制作しているので、月明かりをテーマにした「Mooner」、朝の陽光をテーマにした「寝顔」から“光”をテーマに曲作りを始めていきました。そして収録曲や曲順が半分決まった時に出会ったのが“光束”。その量記号が「Φ」でビビッときたんです。

── 全体を通して、今作も“風景が見える曲”ばかり。モルカルらしい“儚さ”“エモーショナルさ”が感じられます。

武市
そうですね、僕たちは風景が見えるものが好きなんです。これまでもあまり風景や情景の見えない音楽聴いてこなかった。自分が見ている景色や温度感が感じられるようなものが好きなので、これからも五感で感じるような作品を作っていきたいし、それがモルカルのルールだと思っています。

── 11曲を振り返って一番印象的だったり、曲作りが大変だった楽曲はありますか?

武市
大変だったのは「Mooner」で、風景が見えるまでに時間がかかった作品ですね。元々バンドサウンドで作りたいとスタジオに持っていきましたが、10時間ぐらい経っても出来なかった。そこでベースの髙橋が打ち込み主体のアレンジのアイディアを出してくれて完成しました。

武市
「遥か」は、最初はAメロと同じようなサビメロでしたが、パンチ力が足りないとなって、サビメロを作り直しました。「オレンジとブルー」は「遥か」の次を担う曲をテーマに制作しました。

──自身が高校生の頃に戻った夢を見たことがきっかけで出来たのが「通り雨」ですね。

武市
ちょうどアルバム発売の時期、梅雨に差し掛かる頃に合わせて、雨を意識した曲を作りました。ただ、この曲は長尺よりワンコーラスぐらいがちょうどいい。そして「通り雨」に繋がるように「BACKLIT」を作りました。

── 「アンサーソング」は10年越しに収録されたとのこと、10年経っての変化、気付きはありましたか?

武市
なんでこんな高いキーの曲を作ったのだろうと、当時の僕に言いたい(笑)。今回一番歌いにくかった曲です。過去に作って歌い込んだ曲でもあるので、あまり練習せずにレコーディングに臨んだところもあって苦戦しました。だけど10年前の自分を超えたいという気持ちがあったので、そこは意識して歌いました。

小さなテーマから始まり、最後は大きなテーマで

──「R」は昨年中国ツアーに行って感じたことを楽曲にしたとのことですが、どんなことを感じられたのでしょうか?

武市
中国ツアーは今回で3回目で、いろいろと考えさせられ「R」を書きました。戦争などによって世界が殺伐としている中、会場は壁など一つも感じなかった。音楽で一つになれる楽しさや幸せを感じる一方で、一抹の寂しさや虚しさもあって……。だけど反戦歌にはしたくなかった。皆それぞれ希望があって、見ている光も違うから……。問題提起で終わりたかったので敢えて最後に持ってきた曲です。

武市
「Φ12」は、直径12mmを意味しています。12mmは人間の黒目の大きさ。目を開く前というイメージで1曲目に「Φ12」を収録しました。そして最後の「R」は、完全に目を開いた状態でいろんな光を感じ取って生きている、という意味を込めています。そして2曲目〜11曲目までは“日常の光”をテーマにしています。

メンバーについて

── メンバーとはディスカッションをしながら曲作りをされるのですね。今回「虹彩」はベースの髙橋涼馬さんが、「フランネル」はギターの井上雄斗さんが手がけられましたね。

武市
「虹彩」は繊細で細やかな髙橋らしい曲です。「Mooner」「R」に関しても髙橋がアレンジをしてくれました。僕は細かいことを考えるのが苦手で、大枠を決めるのが向いているタイプ。細かいところはメンバーが考えてくれるのでそこは心強いです。特にベースの髙橋は細部に意識がいくタイプなので助かっています。

武市
井上はどちらかというと僕とタイプが似ています。彼のルーツはJ-popなので彼が作るメロディーからは懐かしさも感じられ、耳馴染みがいいんです。僕もJ-popを聴いて育ったので彼とは似ている所が多いんですよ。

── 武市さんからみたメンバーの印象を教えてください。

武市
ドラムの坂東とは、高校の同級生で同じクラス。入学式も隣りでした。最初は全然仲良くなくて話す機会もなかったのが、大好きなASIAN KUNG-FU GENERATIONをきっかけに仲良くなりました。坂東は僕がバンドをやるきっかけにもなった存在かもしれません。仕事仲間でもあって、父親でもあり、ペットのような存在です(笑)。井上は優しいお兄ちゃんって感じ。思いやる気持ちが一番強く、愛が深い人です。意外と天邪鬼でトークスキルが高いんですよ!ベースの髙橋とは元々違うバンドで対バンをしていたので、その頃の印象はクールで物静かな感じでした。髙橋は感情を抜いて理論的に考えられる人だから、そういった面も音楽に出ている。一番最後に入ったメンバーだけどバンドのことを細かく見てくれて、頼りにしています。

── アルバムを引っ提げてのツアーが6月から始まり無事終わりましたね。さらに追加公演も10/25名古屋、11/1大阪、11/8東京と予定されていますが、どんなツアーにしたいですか?

武市
今回はセットリストにも悩みました。“光”と、さらに目を開いたその先もテーマにしていて、自分たちの深い部分やいろんな表情を見ていただけたと思います。自主レーベルを設立して初めてのフルアルバム、いまの自分たちと過去の自分たちとの共存もバランスよく取れていたと自負しています。追加公演も、さらに光を受け渡せるようなライブにします!

── 自主レーベルを立ち上げてから2年目、いまの武市さんの思いや今後の目標を教えてください。

武市
現状に満足することなく、もっと大きなステージに挑戦していきたいです。CDデビューするまではギターロックな曲もあって、その後北欧ポストロックの世界観にはまって、今はポップさを意識している。音楽づくり、曲のジャンルを一周してきたなと感じています。そしてやっとここからmol-74の定義ができるんじゃないかと……。今後も模索しながら、新しいmol-74を作っていくので、これからもよろしくお願いします!

アルバム・ライブ情報

mol-74 new album「Φ」
2024年5月22日(水)リリース
¥2,800(税込)
品番:LADR-50
<収録曲>
1.Φ12
2.遥か
3.オレンジとブルー
4.Mooner
5.通り雨
6.BACKLIT
7.虹彩
8.フランネル
9.アンサーソング
10.寝顔
11.R
▼mol-74 presents「9.9 to 10 -YouTube」
9/9(月)東京:新代田FEVER
チケット代:一般 ¥4,500(税込/D別)
一般発売中:http://eplus.jp/
▼mol-74「Φ」release tour 東名阪ファイナル
10/25(金)名古屋:JAMMIN’
11/1(金)大阪:Music Club JANUS
11/8(金)東京:Zepp Shinjukuチケット代:一般 ¥4,500(税込/D別)
学割(枚数限定) ¥3,900(税込/D別)※当日学生証のご提示が必要です
3次先行受付中:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452861
※9/1(日) 23:59 締切
インタビュー・文:ごとうまき