森崎ウィン、田代万里生、新妻聖子、濱田めぐみ という日本のミュージカル界を牽引する豪華俳優がWキャストで、 二人の俳優によって描かれる家族愛のミュージカル『ジョン&ジェン』 が日本で初演を迎える。大阪公演は2023年12月26日(火) ~ 28日(木)まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。
今回公演に先立ち、ジョン役(Wキャスト) の森崎ウィンさんにお話を伺いました。 この作品は二人ミュージカルとのことで、森崎さんにとっても“ 挑戦”になるとのこと。役作りやお稽古の様子、 どのように作品に取り組まれているかなど、 沢山語っていただきました。
役者二人で世界観を作り上げる
── “二人ミュージカル”という言葉に心奪われたとのことですが、 具体的にどんなところですか?
舞台を二人で作ることは、 俳優としてやり甲斐があると思いました。有難いことに、 これまでも大きな舞台に沢山立たせていただきました。その中で、 もっと俳優としての幅を広げたいと思っていた矢先にこのお話をい ただき、好奇心が掻き立てられました。特に今回の舞台は、 全て役者の力量にかかっていると思いますし、 同時に怖くもあります。この舞台を成功させられたら、 怖いものなしで今後の仕事にも挑めるのじゃないかと思っています 。
── これまでのミュージカルとの違いや新鮮に感じておられるところは ?
本作は一幕と二幕で構成されていますが、 役者二人で最初から最後まで出ずっぱり。 全てを作り上げています。また、 これまでのミュージカルは大きなセットを組んで、 小道具や大道具を使用しながら作品を魅せてきましたが、 今回のセットはとてもシンプル。役者二人で、 お客さまの想像力が広がるような世界観を作り上げていきます。
ジョン役は難しい
── 前半は弟のジョン、後半では息子のジョンを演じられ、 冒頭の5歳から二人の人間の幅広い年齢を演じ分けていく上で意識 されていることは?
まずは彼の好きなものや嫌いなもの、得手不得手、 目を見て話す人なのか話さない人なのか…… など細かい部分まで考えながら、 彼が持っているリズム感を大切にしています。 また彼の奥底にある感情や夢、葛藤についても考えています。 このリズムが全てにおいて繋がっていくと思っています。ただ、 あまり最初からいろいろ設定しないようにしています。 今回はかなり難しい役なので、 本番に入っても模索しているかもしれません。
── 前半の姉と弟との関係性が肝となり、 後半に母と息子の物語が展開されます。 物語の中での姉と弟の関係性を、 森崎さんはどのように見ておられますか?
“普通の家庭”という言葉がしばしば使われますが、 そもそも普通とは何だろう?と僕は思っています。子どもの頃は、 自分の親って向かうところ敵無しのような感じだったと思うんです 。だけど大人になるにつれて親の欠点や弱さが見え、 自分の親も一人の人間だと知る。僕には弟がいるのですが、 弟とは親や家に対して話すことが増えてきました。 長男だから我慢することも多かったし、 親に対して気を遣うこともあったので……。 なのでジョンの気持ちも分かるし、 特に冒頭の姉弟のシーンに僕はとても共感します。 国が変わろうが家族問題は変わらないんですよね。
共演者について
── 共演者の濱田さんと新妻さんの印象について教えてください。
あまり上手く言えないのですが、新妻さんが“洋”、濱田さんが“ 和”という感じでしょうか。 新妻さんはNetflixに出てきそうな方で、濱田さんは邦画、 しかも映画館でしか上映されないような作品に出てきそうなイメー ジです。
── Wキャストの田代さんの演技を稽古場でご覧になって、 どのように感じておられますか?
ジョンは歌うシーンも多く歌も難しいのですが、 万里生くんはクラシックや基礎をしっかり学んでこられたので、 今回のミュージカルは万里生くんにぴったりだと思っていますし、 改めて彼の実力や凄さを感じています。それに、 万里生くんは声の使い方の幅も広く、 セリフの音を瞬時に切り替えて、 聞くだけで演じている年代がわかるんです。 これも彼の強みですよね。
お互い役に対するアプローチが違うので、役に関して万里生くんとそんなに話すことはないのですが、 それぞれのジョンをお客さまに観ていただければと思います。
それぞれのハーモニーが奏でる家族愛
── 市川洋二郎さんの演出で印象に残っていることは?
今回は演出・翻訳・訳詞・ ムーブメントを洋二郎さんが担っておられるので、 とても大変だろうと思います。洋二郎さんの演出の特徴として、 芝居の一つ一つの動きに理由をつけてくださるので、 みんなとても助かっています。
── 演奏はチェロとピアノとパーカッションだけということ、 今作ではどのような楽曲が多いですか?
クラシックがベースで、中にはポップスっぽい楽曲もあります。 台詞がほぼ歌になっているので、ミュージカル要素が強く、 登場人物の気持ちを表現して作られています。 そのため楽曲によっては変則的な拍子も多いように感じます。 ラストはとても良い曲で締めくくられるので楽しみにしていてくだ さい!
── この作品を通して、 森崎さんが伝えたいメッセージについて教えてください。
カタカナの名前や地名が出てくるため、 距離を感じてしまうかもしれませんが、“家族” という普遍的なテーマが描かれています。また、 自分の欠点とどのようにして向き合い生きていこうか、 というのもテーマとなっています。 人間は皆完璧ではありませんから。今作を観て、 人によっては泣く方もいらっしゃるかもしれません。 きっと皆さんが自分の欠点を肯定し、 勇気を与えてくれるような作品になると思っています。 観てくださった皆さんが一歩踏み出せるような作品にしていきます ので、是非劇場にお越しください!
公演日程・キャストスケジュール
日付 | 曜日 | 開演時間 | Wキャスト | イベント |
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12/26 | 火 | 18:00 | 森崎ウィン・新妻聖子 | カーテンコール撮影会 |
12/27 | 水 | 13:00 | 田代万里生・新妻聖子 | ミニアフタートークショー |
12/27 | 水 | 17:00 | 森崎ウィン ・濱田めぐみ | ミニアフタートークショー |
12/28 | 木 | 13:00 | 田代万里生・濱田めぐみ | カーテンコール撮影会 |
公演概要・チケット
PARCO PRODUCE 2023 ミュージカル『ジョン&ジェン』 |
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公演期間 | 2023年12月26日(火)~28日(木) |
料金 | (税込・全席指定)10,000円
U-18チケット、U-30チケット(前売のみ対象)あり |
チケット:ミュージカル『ジョン&ジェン』 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 ミュージカル・ショーのチケット購入・予約] (pia.jp)
新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)
撮影:源賀津己
取材・文:ごとうまき