【中澤卓也ロングインタビュー】“シンガーソングドライバー”として歩む決意。共通点が多いライブとレース「応援してくださる方の喜ぶ顔がみたいから。」

アーティスト
中澤卓也が自ら作詞を手がけ、2022年9月28日に発売された「陽はまた昇る」が装いを新たに、CDのみのタイプBとして2024年2月14日に発売された。カップリング曲の「Love Letter」は、タイプBの発売日であるバレンタインデーにちなんで中澤が作詞・作曲を手がけたラブソングを弾き語りで収録。
今回久々のキャンペーンで来阪した中澤さんにインタビューを行った。
2022年から自主レーベルでリスタートを切り、歌手としてだけでなく、レーシングドライバーとしても活躍中の中澤に現在の思いや、今後の活動などについて訊いた。

自分自身を鼓舞するはずだった曲が、誰かの為に歌うべき曲に。

── 「陽はまた昇る」について、当時どのような思いで詞を書きましたか?

中澤

2022年に自主レーベルを立ち上げ新たなスタートを切るという意味で、自分自身を鼓舞するような曲を作りたいと思っていました。ただ自分に重ねすぎてもよくない。僕の歌を聴いて元気になってもらえるといいな、という思いで書きました。
中澤
元々先にメロディーがある中、詞を考えていたのですがなかなか纏まらずにいて……。仕事で福岡に行った時、オフの日が一日あってホテルの中で書きました。“向かい風がさらう 砂埃に咽せた”の一行を機に一気に降りてきました。
──「陽はまた昇る」を1年以上歌ってこられて、歌に向き合う中で変化はありましたか?
中澤
自主レーベル第一弾ということもあり、この曲を発売したばかりの頃は、ファンの皆さんの反応が気になりました。これまでカップリング曲を作詞した経験はあったものの、表題曲の作詞をするのは初めてなので緊張や不安もあって。だけどそんな気持ちも、ファンの皆さんの声によって打ち消されましたし、自身もこの曲に救われました。
中澤
そして今年に入り、辛いニュースが続いています。新潟出身の僕も、大きい地震を2回経験しました。一瞬で目の前の物がなくなってしまうんです……。今回も辛く、悔しい思いをしている人が沢山いらっしゃいます。だけど“休み休みでも良いのさ 苦しい中をもがきながら”のように、自分のペースで歩みを止めなければ必ず日が差すタイミングが来ると信じています。どうか復興に向けて頑張ってもらいたいですし、落ち着いたらギターをもって現地でこの曲を歌いたい。2024年もこの曲に寄り添いながら、しっかりと向き合いたいです。
── 発売されるのが2月14日のバレンタインデーとのことで、中澤さんが印象に残っているバレンタインのエピソードはありますか?
中澤
中学3年生の時のバレンタインデーが思い出深いです。僕、中学校の時に生徒会長をしていて友達の応援団長と仲良く、常に一緒にいたんです。バレンタイン前に女子が僕に“甘いものが好きか”、“チョコ系だとどんなものが好きか”など、いろいろ聞いてくるんです。あ、これは確実に貰えるな、と意識しますよね(笑)。そしてバレンタイン当日、僕は貰えるものだと思って学校に行ったのですが、放課後になっても全然その子が現れなくて。そしたら友達の応援団長が嬉しそうにチョコを持っていたんですよね。自分の好みを事細かく伝えて、期待していた自分が恥ずかしい(笑)。

メロディーや詞が湧いてくるのは、お風呂上がりかトイレの中

── 作詞作曲をされたカップリング曲の「Love Letter」についても教えてください。
中澤
バレンタインデーをテーマにした曲を作ろうと、1ヶ月で仕上げました。バンドのアレンジが間に合わなかったという事情もあったのですが、レコーディングでは初めての弾き語り収録。緊張しました。僕はレコーディングだと身構えてしまう癖があって、ライブの方が気楽にできるんです。この曲がどう育っていくか、僕自身も楽しみです。
──メロディーや詞が生まれる時ってどんな時ですか?
中澤
湧いてくるタイミングが、お風呂上がりかトイレの中にいる時なんです!何も考えずにリラックスしている時の方がパッと浮かんで形にできるのかなって思います。この曲は先にメロディーが浮かんで、そのまますぐにサビの詞が当てはまりました。
── 中澤さんの詞、すごくいいなって思っていて。普段本などもよく読まれるんですか?
中澤
それが全く読まないんです(笑)。本を読んだり、映画やドラマも沢山観た方がいいよ、って言われるんですが全くダメで。だけどいつか品切れになると思うので勉強していこうと思っています。

“シンガーソングドライバー”として歩んでいく

── ところで自主レーベルを立ち上げてから、心境の変化はありましたか?
中澤
ありますね。これまではレコード会社のいろんな担当の方がいてくださって、お世話になっていましたが、今はそういったのがない中、バンドメンバーと一緒にやっています。そこで改めてこれまで見えなかったものが見えるようになりましたし、責任感が芽生えました。
── 中澤さんはレーシングドライバーとしての顔もお持ちなんです。シンガーソングライターとレーシングドライバーの二刀流!マイクもハンドルもペンもギターも握っている(笑)。マルチな才能を発揮しておられますね。
中澤
握るのなら任せてください!(笑)。“シンガーソングドライバー”という言葉を流行らせようと思っているんです。ギターも独学で習得したんですが、昨年の弾き語りツアーを機に、バンドメンバーから基礎を習いました。
── 歌手とレーシングドライバーの共通点は?
中澤
めちゃくちゃあります!まず制作段階においても同じで。一つのステージを作るにあたっていろんなスタッフさんのお力によってステージは成り立っています。レースも同じで、当日を迎えるまでメカニックの方達をはじめとするいろんな人たちの思いがあって、当日を迎えます。レースの前、グリッドに並んでメカニックの人たちとグータッチして別れたあとの一人ぼっちの静寂や、その時にいろんな人たちの顔が浮かぶのは、ステージの袖に立った時の感覚と全く同じなんですよ。お客さん、応援してくださっている人たちが喜んでくださる顔を見るために戦っている。

コンサートもレースも生で見てもらうのが一番!

── 昨年は弾き語りツアー、バンドツアー、演歌・歌謡曲ツアーと三構成のツアーをされていますが、それぞれのツアーを振り返っていかがですか?
中澤
これまでは歌謡曲をベースにポップスや演歌、弾き語りを詰め込んできましたが、それぞれのジャンルをもっと色濃く表現していきたいという思いでさせていただきました。それによって僕自身もそれぞれの曲に対峙する時間が長く取れ、ステージも常に新鮮な気持ちで立てました。お客さんの中にも皆勤賞の方もいらっしゃったりと、嬉しかったです。
── 2024年もコンサートツアーが沢山ありますね! 3月23日(土)は神戸朝日ホールで中澤卓也コンサートツアー2024が開催されます。中澤さんにとってのコンサートやライブとは?
中澤
一番自分を曝け出せる場所です。ステージに立って拍手をもらってファンの方達と心を通わせることのできる瞬間って格別なんです。だから僕もどんなことがあってもステージに立ちたいし、歌い続けていきたいと思っています。足を運んでくださるファンの皆さんが更に楽しんでくださるように、常に新鮮なライブを届けていきたいです。
── 今後も幅広い歌とステージを期待しています!
中澤
昨年は弾き語りツアー、バンドツアー、演歌・歌謡曲ツアーをすることで見えてきたものがあります。自主レーベルだからこそ、自分の発想を形にしやすくなりました。これまで以上に、いろんなアーティストさんのライブ映像などを暇さえあれば観て勉強しています。特に斉藤和義さんや玉置浩二さん、桑田佳祐さんのDVDを観てあれもしたい、これもしたいと妄想しています。
── 2024年はどんな年にしたいですか?
中澤
皆さんのお陰で「陽はまた昇る」を再リリースさせていただくことになりましたし、今年もツアーで回ることになり、レースも昨年のクラスからステップアップさせてもらって、すでに充実した一年になりそうな予感がしています!これからもファンの皆さんと一緒にいろんな景色を見ていきたい。そして歌で皆さんを勇気づけたいし、皆さんが笑って喜んでくれるようなニュースを沢山作れるような活動をしていきます!

インタビュー・文・撮影:ごとうまき