【尾崎裕哉インタビュー】父を想うことが増えた。今年もバレンタインデーに“愛の歌”を届ける!

アーティスト

“愛”をテーマにしたカンテレ新音楽イベント「Love Light」第2弾がバレンタインの2月14日(金)に、箕面市立文化芸能劇場 小ホールにて開催される。昨年に続き、シンガーソングライターの尾崎裕哉が出演し、父・尾崎豊の楽曲はもちろん、自身のオリジナル曲やカバー曲など、ギター1本で愛にまつわる楽曲を披露する。公演に先立ち、尾崎さんにインタビューを実施。「Love Light」の魅力や見どころ、プライベートについてや、父への思い──。今年でデビュー9年目を迎えるいまの“思い”や、これからについてお話を伺いました。

お客さんと対話ができるのが、弾き語りコンサートの魅力

──昨年、フェニックスホールで開催された「Love Light」を振り返っていかがですか?

尾崎
昨年もバレンタインデーでラブソングを中心とした曲を歌いましたが、全編甘い曲で構成するコンサートは僕にとっても挑戦でした。今年は昨年よりも、より甘い時間にしていきたいですね。僕のオリジナル曲や父の曲、カバー曲を歌いますが、今回は最近の曲もセットリストに入れようと思っています。Mrs. GREEN APPLEさんの楽曲のリクエストを結構いただいていて、声が高く、力量を問われる曲が多いので避けてきたんですが(笑)、今回応えてみようかな……♪

── 尾崎さんはいろんな形のコンサートやライブをされていますが、今回のようにギター1本で披露する弾き語りライブの魅力は?

尾崎
ここ最近、弾き語りを中心に活動してきましたので、より自分らしさが出せるようになってきたと思います。自分自身もやっていて気持ちがいいし、ライブを通じて対話ができるのもいいですよね。途中で曲を止めることもできるし、また歌えるし、お客さんを巻き込んで歌ってもらうようにお願いもしやすい。そんな自由な空気感が好きです。

── 尾崎さんのファンの年齢層はとても幅広いとのことですが、ファン同士で結婚されたというエピソードもあるんだとか……!

尾崎
そうなんです。ライブ会場で出会って、そのまま結婚したカップルがいて。愛のキューピット役みたいですよね。今回の「LoveLight」もまさに愛がテーマなので、そんなカップルがまた誕生したら嬉しいですし、思えば、デビューした時小学生だった子がいまは大学生になっていたり、大学生だった子が社会人になっていたり……、いろいろ感慨深いですよね。

釣りとゴルフが最近の趣味

── 意外にも、尾崎さんは大阪や関西と縁があるんですよね。

尾崎
そうなんですよ。初めてライブしたのも大阪ですし、昨年は丹波篠山でもライブをさせていただきました。プライベートでは丹波篠山でキャンプをしたり、大阪湾で釣りもしたり……。大阪に来るとよく1人で「しゃぶ亭」に行きます。1人で食べて飲むのも結構好きなんですよ。

── 関西のお客さまの印象は?

尾崎
釣りで例えると、関西のお客さんは、太刀魚!一度噛み付くと喰らい付いて離さない!という感じです(笑)。アジではないんです。アジはトントンと突っついてきて、様子を見るんですよ。

── 良い例え!釣りがお好きなんですね。

尾崎
昨年から始めて、楽しんでいます。昨年の抱負が釣りとゴルフをすることだったので。ゴルフは、昨年福井で雪の中、コースを周りました。スコアは114。雪が降ってグリーンが固まっていた中ならいい方なのかな。目標は100を切ること。100を切ったら自分的には満足なので、もう行かなくていいかなって思っています(笑)。

もし父が生きていたら……と考えることが増えた。

── 今年36歳になられる尾崎さんから見た 父・尾崎豊さんはどんな方で、いま、どんなふうに思っておられますか?

尾崎
どれだけ多感な10代で、さらにそれを表現して、形にすることが上手だったのかと、いま改めて思うし、そこに対して羨ましくもあります。もし父がいま生きていたら、今年で60歳。どんなオジさんになっていたんだろうとか、僕とどんな会話をしていたのだろう、ずっと歌を歌っていて欲しいな……など、これまであまり考えないようにしていましたが、父に対して想うことが増えました。彼の歌はこの令和の時代でも違和感なく歌えるんです。きっと、あの名曲を沢山の人が歌い続けて、感動をもたらし続けているからなのだろうなと思います。彼の曲は普遍的で残っていくもの。この曲がずっと光を放ち続けられるように、自分も歌い繋げていきたいです。

── どの様な表現者でありたいですか?

尾崎
アーティストとして、もっと自分の心に正直に、素直な曲を書いていきたいと思っています。アーティスト像と、アーティスト自身って違う性質を持っているものだと思っているのですが、アーティスト像をもっと大人っぽく、多面的に見せていきたいです。曲だって、とびきり暗い曲や明るい曲、毒を吐くような曲があってもいいと思う。例えば初期のMr.Childrenさんとかカッコいいし理想ですね。

── デビューから9年目を迎えられますが、これまでを振り返っていかがですか?

尾崎
僕はしっかりとキャリアにプランを決めているわけではなく、その時に応じて柔軟に対応するようにしています。最近は父のカバー曲のお仕事をいただくことが増え、気付いたら昨年は51本もライブをしていました。なので今年は、オリジナル曲の制作にも力を入れたいです。HIPHOPやR&Bが好きなのでそういう要素も入れていきたいし、最近では、“生と死”について考えることも多く、哲学的なことも形にしていきたいです。

── 生と死については、昔から考えているのでしょうか?

尾崎
哲学的なことは昔から興味を持っていました。尾崎豊の息子であることや片親であることなど、自分の置かれた立場について考えることや苦悩もありました。でもそれが辛いわけでもなかったし、大人になって育ててくれた母親の気持ちも分かるようにもなりました。僕は自分の感情に蓋をすることが多く、溜めてしまうんです。だけどそういった様々な思いのカケラを拾って、言葉として紡いでいくことが、シンガーソングライターの仕事なんじゃないかなと思います。これからはもっと、自身の感情をカタチにしながら、いろんな歌、いろんなシーンを歌っていきます。そしてその歌のどれかが聴く人の心に響けば、アーティスト冥利に尽きますよね。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき