お笑い芸人キングコングの西野亮廣さんの大ヒット絵本「えんとつ町のプぺル」をアニメーション化した映画『えんとつ町のプぺル』が第44回日本アカデミー賞で優秀アニメーション作品賞を受賞した。2020年12月25日に公開されてから早一か月、すでに海外での上映も決まり、現在も大ヒット上映中である。映画.comの2021年1月25日時点で国内ランキングは3位をキープ、アクセスランキングでは1位を獲得している。1000数を超えたレビュー数、その評価は賛否両論はあるがそれほど多くの人から注目され話題を呼んでいる作品だ。1月15日からは「HELLO!MOVIE」を使用した西野亮廣氏の副音声上映が開始、22日からは一部の劇場で轟音、重低音体感、特別音響システムの上映もスタート。
今回私も二回目の鑑賞は副音声上映を利用、一回目の鑑賞時とまた違った視点、新しい発見がありとても有意義な時間であった。今回はプぺルをより深く知れる知識をネタバレにならない程度に少しふれ、またこれから観に行く人のための予備知識として参考にしてもらえたら幸いである。
副音声での上映では多くの裏話、作成秘話を聞くことができ満足度も高かった。中でも個人的に印象に残ったエピソードいくつか挙げたい。
Contents
ルビッチの母・ローラからの視点
一回目の鑑賞では気づかなかったのだが、ルビッチの母のローラに目を向けると、ここにも発見が。またローラ役の小池栄子さんの声は聴けば聞くほど味があり、適役である。
渋谷がモデル
本作の中でプぺルが川に入ってブレスレットを探しているシーンがあるが、この街は渋谷をイメージしたとのこと。
渋谷には「渋谷川」という川が流れている。渋谷駅東口の工事の途中に渋谷川がひょっこり顔を出して以前話題にもなったが、青山通りから明治通りに下る際、わりと急な坂になっている。ご存じの方も多いだろうが「渋谷」はその名前の通り谷地形で、谷底にあたる部分に渋谷川は流れているのだ。
ドロシーに注目!
一回目の鑑賞時には全く気が付かなかったのだが、ドロシーと占い師の女にも注目してほしい。とても興味深い設定、細やかな部分が描かれており、その仕掛けには思わず唸ってしまうほど、ここからまた別の物語が生まれるのかも?!続編に繋がるヒントが沢山あるようだ。
伏線が張り続けられている
本作には後に回収しなくても気にならないような小さな伏線がそこかしこに張られているとのこと。言われるまで実際に気づかなかったものがでるわでるわ、こんなところまで考えられていたのかと。神は細部に宿るというが、西野さんはじめ監督、製作スタッフの熱量とその努力にアッパレである。
スコップの動きに注目
スコップの動き、実はある人がモデルになり実際に動いているとのこと。さて、誰がそのスコップの動きをしているのでしょうか。
えんとつ町の看板は実際に存在するお店や会社である
“「映画 えんとつ町のプペル」を応援してくれる人のお名前を、劇中の看板の中に入れたい”というプロジェクトをクラウドファンディングで募集した。実際に劇中では支援した人の名前やお店の名前が書かれた看板が登場している。この企画、喉から手が出るほど欲しい人もいたであろう、あっという間に完売したとのことだ。西野さんのビジネスセンスとアーティスティックな部分を両方併せ持つ類稀な才能にはただただ感心するばかりである。
その他、声の出演者の芦田愛菜さんや窪田正孝さん、小池栄子さん、伊藤沙莉さんの話や挿入歌の裏話、などなど本作のファンにとっては嬉しいおこぼれバナシが沢山聴けることになる。
やっぱり副音声利用は二回目以降がおすすめ
西野さん、エエ声でずっと聞いていられる。ただ冒頭からずっと喋っていて(笑)本作を初めて観る方は副音声は利用されないと思うのだが、やはり二回目からの利用がおすすめだ。
2プぺ、副音声上映の感想
一度目の鑑賞でワンワン泣いて、二回目の鑑賞ではストーリーも頭に入っている、そして西野さんの副音声がずっと流れている、なのにまた何度も泣いてしまう。「次、この感動のシーンが来る」と分かっているにも関わらず何回も泣かせてくれるんだから、うーん、ずるい。だけど涙を流すことによって日ごろの嫌なことモヤモヤした気持ちがいっきに吹き飛ぶし、観た後は気持ちが晴れやかになる。そしてちょっと優しい気持ちになれたりするんだから、エンタメの何が不要不急なんだい?むしろ私たちにとって必要不可欠なもので、心の栄養剤ってくらいに思っている。だから私は映画も舞台も・・・エンタメがやめられないのだ。
西野さんはルビッチのように常に上を向き、着実に夢を叶えている。そんな彼が今後は一体どんなワクワクを仕掛けてくれるのか、ますます彼から目が離せない。
えんとつ町のプぺル
文/ごとうまき