12/24封切り、延期に延期を重ねてようやくお目見え!『キングスマン ファースト・エージェント』は最高のクリスマスギフト
首をなが~くして待っていたファンの皆さん、「キングスマン」が二年ぶりに帰ってきました。そう、コロナ禍によってなが~い延期が続いていたキングスマンシリーズ最新作。今作ではこれまでのシリーズに繋がる大事な話「キングスマン」が誕生した物語が描かれている。平和主義を貫く貴族がなぜ「キングスマン」になったのか、誕生の裏には壮絶な“哀しみ”と“愛”があった。
あらすじ
舞台は1900年代前半の第1次世界大戦、表向きは高級紳士服テーラーの貴族だが実は世界最強のスパイ組織であり、国家に属さない秘密結社である彼らの最初の任務は、世界大戦を終わらせることだった。1914年、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織に対し、英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッドが闇の組織に立ち向かう。インターネットがなかったこの時代に情報網を張り巡らせ、どのように仲間たちとともに世界大戦を阻止するのだろうか。
オックスフォード公には「ハリー・ポッター」シリーズでも知られる英国の名優レイフ・ファインズが、今作では製作総指揮も務めた。息子コンラッドにはハリス・ディキンソンが演じ、彼らの前に立ちふさがる敵でもある怪僧ラスプーチンには個性派俳優のリス・エバンスと個性豊かなキャストが顔を揃える。監督、脚本、製作にはシリーズ全作を手がけるマシュー・ボーン。
レビュー
なんなんだ、この胸の高鳴りは。
筆舌に尽くし難いこの興奮と感動よ、 今年最高のクリスマスプレゼントじゃないか! 二年間待った甲斐があったよ、ほんと。
今作でも際立つ‟スペクタクル感”と‟スピード感”、 スタイリッシュな演出( 剣の柄部分にカメラを設置した主観映像や、 重火器の発射音などの音響設定)と壮大なスケールで描き出す「 キングスマン」は、前述したように全シリーズに引き続きマシュー・ボーン監督が担当している。 今作はこれまでの「キングスマン」 らしさに加えて新たなスパイスも盛り込んだまさに“古新融合” と、随所に散りばめられる「キングスマン」 の名ゼリフや設定でファンのハートもしっかり掴んでいる。画面越しからひしひしと伝わるマシュー・ボーン監督の気合よ。 伏線回収もお手のもの。
「戦争もの」×「キングスマン」らしいアクションの融合
今作は1902年の南アフリカからスタートし12年後のイギリス へと舞台が変わる。
今作、 歴史の史実に基づきながら物語が進んでいくため、さぞかし世界史好 きにはたまらんだろう。
催眠療法などを駆使していたとされるロシアの怪僧「 ラスプーチン」をはじめとする、 第一次世界大戦周辺に実在した人物が多く登場しているのが本作の 見どころの一つ。可能であればこの時代の歴史的背景も頭に入れておくと本作をより 楽しめるはず。というか、 世界史をある程度知ってないと十分に楽しめないかも…。
まるで戦争映画を見ているかのような感覚に
時には「1917 命をかけた伝令(2020)」 を彷彿させるような銃弾が飛び交うシリアスな戦場シーンや、「 キングスマン」 らしいスタイリッシュなアクションシーンが、ヨーロッパを股に かけながら目まぐるしく展開される。
ハラハラするシーンに息を呑み、ゾッとする描写に目を塞ぎたくなったり、激しいアクションに思わず声を上げてしまったりと、笑って、 興奮して、そして、 深い親子愛や仲間たちとの絆に涙する胸アツの130分だ。
同時に重厚感あるイギリスの美しい街並みとロシアの文化を取り入 れた音楽や文化も見過ごしてはならない。ラスプーチンがチャイコフスキーの序曲「1812年」に合わせて華麗に踊り舞う美しいアクションシーンには感動を 通り越して、もはや泣けてきます。
コミカルかつドラマティックに、軽やかに重厚に、 これまでの「キングスマン」らしさは残しつつも新鋭的かつ大胆。「 キングスマン」 シリーズを楽しむためにも今作は必見の作品だと言い切りたい。 一方でシリーズを見てない人も間違いなく楽しめる、というか、鑑賞後はきっと、これまでの作品を見たくなるはずだ。個人的には見終わった後の高揚感と余韻が半端ない。年末年始は「キングスマン」で決まり。絶対見て!劇場に急げ〜。
キングスマン ファースト・エージェント
監督:マシュー・ボーン
脚本:マシュー・ボーン カール・ガイダシェク
製作:マシュー・ボーン デビッド・リード アダム・ボーリング
キャスト:レイフ・ファインズ、ハリス・ディキンソン、リス・エバンス、マシュー・グード、ジェマ・アータートン
原題:The King’s Man
製作:2021年製作/131分/PG12/アメリカ
配給:ディズニー
文/ごとうまき