一億分の一の確率で隕石にぶつかった女性の小さな奇跡と応援歌『ツユクサ』

(C)2022「ツユクサ」製作委員会
映画

悲しい過去を抱えながらも、明るく前を見て生きる女性に訪れる小さな奇跡を描いたヒューマンドラマが4月29日から劇場で公開中。脚本を「at Home アットホーム」の安倍照雄が担当、「愛を乞うひと」の平山秀幸監督がメガホンをとった。

あらすじ

伊豆の小さな港町で暮らす五十嵐芙美は、職場やコミュニティの仲間たちと気心の知れた友人たち、歳の離れた小さな親友・航平と遊びに出かけたりと穏やかでささやかな楽しい日々を過ごしている。しかし彼女がひとりで暮らしているのには、ある哀しい理由があった。
ある日車の運転中に隕石がぶつかるというあり得ないような出来事に遭遇(隕石にぶつかる確率は1億分の1とのこと)。それから50才の彼女に小さな奇跡が相次ぐ。主人公五十嵐芙美に「かもめ食堂」の小林聡美が主演を松重豊、平岩紙、江口のりこが顔を揃える。

(C)2022「ツユクサ」製作委員会

レビュー

人間それなりに生きていると色んなことを経験し、沢山の出会いと別れを繰り返す。
定期的に断酒会に通うフミちゃんは、数年前に伊豆の港町にやってきたがフミちゃんには悲痛な過去がある。また、フミちゃんを取り巻く仲間たちも、夫を亡くしたり、子連れ再婚だったり、妻を亡くしたりと、それぞれしばしの苦悩や、はたまた喪失を抱えながらも、それでも希望を捨てずに生きている。フミちゃんと関係を深めていく歯科医の吾郎さん(松重豊)も、東京からこの地にきて、工事現場で働くなど、皆なにかしら何かを抱えて生きているのだ。

(C)2022「ツユクサ」製作委員会

フミちゃんと歳の離れた親友の航平も息ぴったりで、子役・斉藤汰鷹の演技がこりゃまた絶妙にうまい。また本作には桃月庵白酒や瀧川鯉昇の落語家たちも出演、桃月庵白酒と江口のりことのコンビが、鍵と鍵穴のようにうまくピッタリとハマっている。くすくすと、時にはガハハと笑いが何度も出るようなコミカルな演技にも注目したい。
人生100年時代、50歳なんてまだまだこれから!夢を、希望捨てずに生きていきましょう!という再生の物語である。

(C)2022「ツユクサ」製作委員会

ツユクサ

監督:平山秀幸
脚本:安倍照雄
製作:五老剛 與田尚志 太田和宏 松岡雄浩 山本正典 栗花落光 川村岬
キャスト:小林聡美、平岩紙、斎藤汰鷹、江口のりこ、桃月庵白酒、水間ロン
製作:2022年製作/95分/G/日本
配給:東京テアトル

文/ごとうまき