舞台「4000マイルズ〜旅立ちの時〜」が2023年1月7日( 土)〜9日(月)まで梅田芸術劇場シアター・ ドラマシティにて上演される。本作は2011年にオフ・ ブロードウェイにて世界初演、2012年にオビー賞のベスト・ ニュー・アメリカンプレイを受賞、 2013年はピューリッツァー賞最終候補となり、以降、 世界各地で上演されている傑作ヒューマンドラマ。
舞台はアメリカ、 西海岸から東海岸へ自転車で横断していた大学生のレオが、 最終地点であるニューヨークに辿り着き、祖母・ ヴェラのマンハッタンのアパートに現れる。 人生を模索する大学生レオと、 人生を十分模索してきた91歳のヴィラとの再会によって、 それぞれの行き場を失っていた人生が取り戻されていく、 といった物語。遂に日本初演!出演には岡本圭人、森川葵、 瀬戸さおり、高畑淳子。そして演出を上村聡史が手がける。
今回、高畑淳子が「4000マイルズ〜旅立ちの時〜」 取材会に出席し、作品への意気込みを語った。
“歯のない役”を練習中!?
——今回91歳の役に挑まれるということですが、 この役をどのように演じようと考えておられますか?
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映像では白髪など外見からも企みアプローチしますが、 舞台では内側からも試行錯誤。 ヴェラの生き様を耕したいと思っています。 迂闊で文化や芸術を愛している。台本には書いてなくて、 私が勝手に想像していることですが、彼女はスクリプター( 映画やドラマの撮影現場で記録を取る仕事) をしていたのかなと考えています。
またレオ(岡本圭人)とヴェラ(高畑淳子) 2人の対話の多さも見どころの一つだという。
——68歳の高畑さんが91歳の役を演じられますが、 このギャップをどのように埋めようとされていますか?
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本作は入れ歯を入れず、フワフワ喋って、 補聴器をつけるところから登場するんです。 なので歯のない顔や話し方を練習しています(笑)。「東京物語」 の笠智衆さんのように、 背中に座布団を一枚入れようかと考えています。 そうすると背中が丸まって自然に見えるので。 内面や考え方もなるべく作らずに近づけたいですね。
現在放送中のNHK連続テレビドラマ「舞いあがれ!」では長崎・ 五島列島に住む主人公・舞の祖母を演じているが、 朝ドラでの祖母役と本作で演じる祖母役との違いも語る。
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五島のおばあちゃんは自然を相手に暮らしているので、 逞しく一本筋が通っている人です。対して、マンハッタン(本作) のおばあちゃんはまた違ったキャラクター。共通点は、 亡くなった伴侶を大切に想っているところですね。
おばあさん役は面白い!
——おばあちゃん役が来ることに対してどのように思われています か?
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おばあさん役って面白い役が多くて、とりわけ、おばあさん× 青年の組み合わせは非常に良い。今回うまくいけば、 黒柳徹子さんや草笛光子さんの市場をそろそろいただけるのかな? といった野望を抱いています(笑)。
——レオ役の岡本圭人さんについて
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この間、演出の上村さん、岡本さん、 私で読み合わせをしました。 実際にNYに留学していたという岡本さんは、 作品のことも細かく調べて手帳に纏めていらっしゃいました。 私なんて、NYはどこ?ミネソタやワシントンはどこ? から始まって…。さらに“ アメリカを自転車で横断したら何キロぐらいあるのでしょうね?” と聞くと、岡本さんに“高畑さん、4000マイルですよ!“ って突っ込まれました(笑)。
と、 面白いエピソードも語られた。
変身願望が強く、自分の映像を見るのも楽しいんです。
——役作りに入る時、どのように切り替えていらっしゃいますか?
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切り替えるというより、変身願望が強いんですよね。 違うものになりたい、と。そして、 その時の自分を映像で見るのも面白いんです。 こんな面もあったんだ!って、新たな発見があります。 そしてなるべく次は、自分のやりたい役から遠い役をやりたい。 五芒星のようにそれぞれ違った役を楽しみたいですね。
——本作は孫との再会によって織りなすヒューマンストーリーです か、高畑さん自身子どもの頃の祖母との思い出はありますか?
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私の両親は末っ子同士の結婚だったんです。 なのでおばあちゃんにはあまり構ってもらえなかったですね。 同居していたのに、大人になって父方の祖母に会いに行ったら、“ あんた誰やったかいな?”と言われたことを覚えています(笑)。 祖母は相撲が大好きで、 それを見て子どもの頃は何とも思っていなかったけど、 今では私も相撲が大好き。 おばあちゃんと話をしようとか思わなかったですが、 本作のヴェラは話してみたくなるようなおばあちゃん。 会話も哲学的なんですよ。
——本作の見どころや意気込みをお願いします。
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NHK連続テレビドラマ「舞いあがれ!」 の五島のおばあちゃんは、 自分の倫理観があって多くを語らず孫に与える感じですが、 本作のヴィラは共に悩み、子どものように怒る人間臭さのある おばあちゃんです。 同じおばあちゃんでも違った顔を見てもらえるかと思います。そして、この作品は、歳の離れた者たちが思いやり、 時にぶつかり、互いに羽をすり寄せて人生を取り戻していく物語。現代は、 羽が飛びにくくなっている若者が多いのではないかと思います。 若者から大人まで、 是非多くの方に劇場に足を運んでいただけると嬉しいですね。 そして観劇後は、酒を飲みながら、 あーだこーだ言って語り合ってもらいたい。“高畑淳子「 舞いあがれ!」の方が良かったな”でも良いですし(笑)。 私たちの芝居が会話の糸口になれば嬉しいです。
舞台「4000マイルズ〜旅立ちの時〜」 大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、 2023年1月7日(土)〜9日(月)まで。
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公演概要・チケット
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舞台『4000マイルズ~旅立ちの時~』
- 日程
- 2023年1月7日(土) ~ 9日(月・祝)
- 会場
- 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式サイト:舞台『4000マイルズ~旅立ちの時~』 | イベント | 関西テレビ放送 カンテレ (ktv.jp)
取材・文/ごとうまき