【インタビュー】バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI・鈴姫みさこ&大桃子サンライズが語る、苦難を糧にした“再スタート”と覚悟

アイドル

2011年の結成以来、アイドルシーンにおいて唯一無二の“ポストアイドル”像を体現し続けてきた「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI」(通称:バンもん!)。2026年8月12日、彼女たちは約1年5ヶ月ぶりとなる待望のミニアルバム『TЯATƧИOM』(読み:もんすたーと)をリリースした。5人体制としての「再スタート」と、ファンネームである「もんスター」への強い愛を鏡文字の反転タイトルに込めた本作。リーダーのSNS乗っ取り被害や乳がんの治療、そしてメンバー体制の変化という怒涛の1年を乗り越え、彼女たちが辿り着いた「大人のバンもん!」の真骨頂とは? 鈴姫みさこ、大桃子サンライズの2人に、アルバム制作の裏側からグループの歩み、そして互いへの深い信頼について語っていただきました。

 SNS乗っ取りに乳がん発覚……怒涛の試練を乗り越えて

——今回のミニアルバム『TЯATƧИOM』は、グループにとって大きな節目となる作品ですね。実はこの1年ほど、グループを取り巻く環境はかなりドタバタしていたと伺いました。

鈴姫みさこ
本当に色々ありました! ちょうど一年前の夏、全国ツアーファイナルの直前に私のSNSが全部乗っ取られてしまって。沖縄にいる時にX(旧Twitter)が乗っ取られて、TikTokでは知らない海外の方が「自分がハッカーだ」ってドヤ顔でライブ配信をしてたり(笑)。結局アカウントは戻ってこなくて、全てゼロから新しくやり直すことになったんです。

大桃子サンライズ
ツアーファイナル直前の大事な告知時期だったから、本当にびっくりしたよね!

鈴姫みさこ
で、心機一転「みさこセカンドステージ」というアカウント名でSNSを再スタートしたら、その直後に乳がんが発覚して。

——えっ、SNSの「セカンドステージ」の直後に病気が……!

鈴姫みさこ
そうなんです! ただ、乳がんは「ステージ1」だったんですよ。「セカンドステージ」って名乗ってるのにがんはステージ1だから、ややこしくて(笑)。最初はSNSで軽めに投稿したら、ニュースサイトから連絡が殺到して一旦消すことになったりもしたんですけど、改めてきちんと公表させていただきました。幸いなことに早期発見で、手術も放射線治療も無事に完了して、今は1日1粒のホルモン剤を飲む投薬治療だけ。治療中も含めてずっと元気だったので、私から言えるのは「健康診断と保険は本当に大事!」ってことですね。

大桃子サンライズ
みさこにとっては本当に大変な時期だったと思う。でも、病気を乗り越えてくれたことも含めて、メンバー全員が大きく成長するきっかけになったんです。グループとしても6人体制から5人体制へ移行するタイミングが重なって、ライブを4人でやりくりする時期もありました。精神的に大人として成長しなきゃいけないし、アイドルだけど自分たちの人生とどう向き合うかを突きつけられた。お互いを大切にする方法、そして自分自身を大切にする方法を学び、「やっぱり私たちはバンドじゃないもん!をやっていきたいんだ」って再確認できる大切な時間になりました。

——試練をオープンに共有し、生き様を見せていく姿勢に救われたファンも多かったのではないでしょうか。

鈴姫みさこ
病気を公表した時は、同じようにご家族の治療を頑張っている方からメッセージをいただいたり、病気の先輩からアドバイスをいただいたり、反響がすごかったです。人それぞれの身体とどう付き合っていくか、考えるきっかけになれたなら嬉しいですね。

大桃子サンライズ
バンもん!って、ただのファンタジーをやっているわけではないんです。アイドルとして夢や希望を届けることが一番大事だけど、同時に自分の生き様や人生の変化を隠さず見せることで、男女問わず年齢問わず勇気をもらえる人がいる。この肉体次元の変化を赤裸々に見せていくアイドルは、私たちがその道を切り開いていくしかないと思っています。若い子たちには「大人になるのって怖くないんだ、何も捨てなくていいんだ」って思ってほしいですね。

 鏡文字に込めた原点回帰と「もんスター」への愛

——アルバムタイトルの『TЯATƧИOM』(もんすたーと)には、どのような想いが込められているのですか?

鈴姫みさこ
5人体制としての「再スタート」という意味と、ファンネームである「もんスター」を掛け合わせた造語です。テキストを鏡文字として反転させたのは、改めて「バンドじゃないもん!」という存在に向き合うという原点回帰の意味を込めています。今まで培ってきたものを全部引っ提げた上で、「これがバンもん!です」とファンの方に誠実に向き合うためのタイトルです。

大桃子サンライズ
バンもん!の現場って、もともとファンの方同士の優しさと譲り合いがすごいんです。最近はリリースイベントにファミリーゾーンを設けているんですけど、お父さんお母さんがライブを見るためにファン同士で「子供見ておくから行ってきなよ!」って裏で助け合っていたりして。長い活動の中で、ファンのみなさんもライフステージが変化して、家族ぐるみで応援できる優しい空間を作り上げてくださっている。原点回帰しつつ、この愛と信頼の輪をもっと広げていきたいです。

Type-A

Type-B

 振り幅炸裂! 魂を込めた収録楽曲の魅力

——今回のミニアルバムは、楽曲のバリエーションも実に多彩ですね。それぞれの楽曲について教えていただけますか?

M4.「オトナノススメ」(カバー曲)

鈴姫みさこ
怒髪天さんのカバー楽曲です。私たちが「大人になってもこんなに楽しいぞ!」という大人版バンもん!を見せたいと活動していたタイミングで、お世話になっているスタッフさんから「カバーしてみたら?」と提案していただいたのがきっかけです。

大桃子サンライズ
昔のバンもん!だったら恐れ多すぎて受け取れなかったかもしれない。でも、長く続けて年を重ねた今の私たちだからこそ、歌詞が完璧にハマったんです。怒髪天さんの楽曲って、人生を丸ごと肯定してくれる真っ直ぐな軸があって、私自身すごく励まされてきたので。アイドルが嘘でカバーするのは絶対に違うから、本気の尊敬と魂を込めて歌わせていただきました。

鈴姫みさこ
アレンジにもこだわりたくて。最初はサビがDビートで届いたんですけど、「怒髪天さんはロックだから、骨太なエイトビートにしてほしい」って直接要望をお伝えしてアレンジしていただきました。青春って永遠にしていいんだというメッセージを、私たちがアイドルというベースからいろんな世代に届けていきたいです。

M2.「君だけの怪獣」(作詞:みさこ / 作編曲:浅野尚志)

鈴姫みさこ
私の中にある世界観を深く掘り下げた曲です。私、大学で国文学科に在籍していて仏教や図像集(お経のイラスト)を研究していた過去があって。この世の理や絶望に対する解釈を歌詞に落とし込みました。

大桃子サンライズ
みさこの言葉選びの天才ぶりが炸裂しているよね! 自分の中にある防衛本能が裏返って、世界中が敵に見えてしまうような夜ってあるじゃないですか。そういう絶望の時に、自分の中から引きずり出てきて目の前のくだらない世界をぶっ潰してくれる救世主——それがこの曲でいう「怪獣(破壊神)」なんです。

鈴姫みさこ
そう。「イッショにまちがおうぜ」って寄り添いながら、自分を守るためだけに世界を壊してくれる荒々しい神様(荒御魂)をイメージしています。編曲の浅野尚志さんにも、和音階のコーラスを入れたりサビで音数を減らして迫力を出したり、細かくオーダーして作りました。

M3.「激アツ爆ネツどんどこ音頭〜ばかんちゅぬ宴〜」

大桃子サンライズ
「君だけの怪獣」と同じ人が作詞したとは思えないほど、最高にバカで楽しい令和の夏ソングです(笑)。バンもん!の持つ陰と陽の「陽」を、太陽レベルで爆発させました。

鈴姫みさこ
宮古島に行った時に日差しを感じて、「俺とお前と空と海と太陽以外のサビが浮かばない!」ってなって書いた歌詞です。日本の女の子の夏の趣を全部詰め込みました。メンバー1人ひとりが全力でふざけるパートもあって、長くやってきたのに「こんなに未来にワクワクできるんだ!」って思えた希望の光みたいな曲です。

M5.「ME さぃこー!」(作詞作曲編曲:ミナミトモヤ)

大桃子サンライズ
初期からバンもん!の歴史を知ってくれているミナミトモヤさんが、みさこの乳がん克服と活動復帰のツアーに合わせて書いてくださった「みさこ崇拝ソング」です。だからあえてみさこは作詞していません。

鈴姫みさこ
自分の口から言うのは照れ臭いんですけど(笑)。「生きて生き抜きましょ」「まわりばっかり見てもしゃあなくない?」という歌詞は、単なる歌詞を超えてバンもん!の精神そのもの。愛と肯定感に満ち溢れた1曲です。

M6.「ショコラ・ラブ – TЯATƧИOM ver.-」

鈴姫みさこ
バンもん!の代表曲であり、名刺代わりの1曲を今回あえてモンスタートバージョンとして収録しました。原曲の良さを残しつつ、今の5人の魅力をぎゅっと凝縮しています。

15年の絆……自分たちの人生は自分で作る

——お二人のお話を聞いていると、お互いへのリスペクトとグループへの深い愛がひしひしと伝わってきます。出会ってから15年近くが経つと思いますが、お互いの関係はどのように変化しましたか?

鈴姫みさこ
桃子と初めて会った時は、正直「不器用な子だな」っていうのが第一印象でした(笑)。シャイで自分の世界観を大事にする子だから誤解されやすかったかもしれないけど、内に秘めた芯の強さと優しさがすごくて。

大桃子サンライズ
若い頃は自分の美学に合わない空間が苦手だったんですよね(笑)。でも私は元々神聖かまってちゃんのCDが出る前からの大ファンで、みさこのことが大好きだったんです。オーディションを受けてバンもん!に入ってから、みさこやメンバーに言葉選びと思いやりをたくさん学ばせてもらいました。こんなに個性がバラバラなのに、「バンもん!でこれがやりたい」という根本のユーモアやバイブスが全員瞬時に一致する。このメンバーじゃなかったら、私はここまで続けてこられなかったです。

鈴姫みさこ
私たちが長く活動を続けてきたことで、当時切磋琢磨していたライバルたちが卒業していった寂しさはあります。増えていった時間を重ねて諦めずに続けてきたからこそ、いま改めて「昔から好きでした!」って言ってくれる若いアイドルや運営さんがイベントに呼んでくれたり、大人として評価していただけるようになった。一山越えて、続けることの意味を実感しています。

——最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします!

大桃子サンライズ
歳を重ねるほど、人生ってやりたくないことをやらないで済むようになって、どんどん最高になっていくんです! 今悩んでいることも、未来から見たら全部喜劇になる。自分たちの人生は自分で作るものだって、私たちが背中で証明し続けます。

鈴姫みさこ
色んな波を乗り越えて辿り着いた『TЯATƧИOM』は、今のバンドじゃないもん!の全てを込めた最高傑作になりました。これからも大好きなみんなと一緒に、笑って、ふざけて、愛し合いながら生き抜いていきたいです。みんな、ついてきてね!

 

<リリース情報>

2026年8月12日発売 ミニアルバム『TЯATƧИOM』Type A 定価:¥3,000(税込) TECI-1851Type B 定価:¥2,000(税込) TECI-1852各種音楽サイトにて配信中 https://banmon.lnk.to/monstart

<ツアー情報>

バンもん!全国ツアー2026 「激アツ!爆ネツ!どんどこツアー♡15周年ぬ宴〜ROAD TO プール付きヴィラ〜

2026年
■10月12日(月・祝) 新栄シャングリラ【愛知】
■11月1日(日) 宇都宮HELLO DOLLY【栃木】
■11月8日(日) 広島Reed【広島】
■11月9日(月) ANIMA【大阪】
■11月29日(日) 熊本Django【熊本】
■11月30日(月) 福岡OP’s【福岡】
■12月4日(金) 西川口Hearts【埼玉】
■12月20日(日) SPIRITUAL LOUNGE【北海道】
2027年
■1月11日(月・祝) 横浜BAYSIS【神奈川】
■1月16日(土) 前橋ダイバー【群馬】
■1月30日(土) ALIVE【千葉】
東京&沖縄公演も追加予定
詳細は後日発表

 

インタビュー・文・撮影:ごとうまき