笑福亭べ瓶と桂三度のべべサンドは毎回ゲストをサンドしながらトークと落語が楽しめる会として二人会も含め定期的に開催している。4月3日(土)には東京 北とぴあ つつじホール(王子)にてゲストの三遊亭鬼丸を上方の二人が鬼をサンドするという。
今回は3月34日に天満天神繁昌亭で行われた二人会「べべサンド初大阪」の感想を含め、べべサンドの魅力をお伝えできたら。
この日はべべサンドにとって初の大阪での二人会で、感想としては筆者が想像していた以上に満足度が高く、終わった後は得も言われぬ昂揚感に満ちていた。
期待以上に面白いオープニングトーク
「前世は女学生です」と称する実力派二人の絶妙な掛け合いと笑いに満ちたオープニングトークでは、普段聞くことのできない”ここだけのハナシ”や裏話なども満載で、トークだけで1時間、2時間、延々と聞いていられる、いや、聞いていたいほどであった。
つうと言えばかあ 二人の相性の良さが見ていて非常に心地が良い。
前回の取材で三度さんが言っていた『二人の相性の良さがお客さんにも伝わっている』このことをこの日 筆者は甚く実感した。
寄席などではその日のお客さんの入りによっては“重い空気”の会があるのだと 以前にべ瓶さんが話してくれたが、この日もおしなべて会場のお客さんたちは楽しそうに、非常に満足した様子で、筆者の隣に座っていた女性はお腹をかかえて笑っていたほどである。その時の会の空気感でトーク時間などを調整し臨機応変に対応するところはさすがプロ、この日は二席ずつの予定であったが、オープニングトークが盛り上がり、三度さん3席、べ瓶さん1席 予定通りの計4席で上手くまとまり会は大盛況に終わった。
二人の落語
三度さんは「しりとりす」「スーパーフランク」「人生の算数」の新作落語を披露。よく通る迫力ある声でテンポ良く、緻密に練られたネタはさることながら、才穎な三度さんの世界観へと観客をものの見事に惹きこんでしまうところはさすがである。
べ瓶さんは古典落語の「妾馬」を力演。飾り気がなくガサツであるが妹思いの根の優しい主人公 大五郎。落語の魅力の一つとは噺家の噺を聞きながら聞き手が情景を浮かべること。その情景も聞き手によって様々である。大五郎にべ瓶さん色が加わることにより、より滑稽に時に可愛く、愛すべき存在として大五郎が頭の中に描かれていく。前半から中盤にかけては大爆笑でだったが、後半からは物語は一変、べ瓶さんの熱演により、より心が揺さぶられ思わず目頭が熱くなるシーンも。ほろっと泣かせてくれる人情噺も、最後にはしっかりとオチで締め括られ、幕を閉じた。
そんなべべサンドの二人、冒頭でも述べた通り、4月3日(土)にはゲストの三遊亭鬼丸をサンドしてのトークと落語が楽しめる。会場は一席ずつ開けて感染対策は万全にして行うとのこと。見えないウィルスと戦い続けて早一年、まだまだ終わりが見えず皆が鬱々とした気持ちの中で過ごしているからこそ、笑いのエッセンスが必要ではないだろうか。笑いは明日への活力になる。ちなみにべべサンドの大阪での二人会は二回目も開催するとのこと。二人の女学生トークと落語を再び見れることを楽しみにしている。
ベベサンド ~上方が鬼をサンド~
文/ごとうまき