2025年で35周年!進化するBEGIN「今だからこそ新曲を聴いてほしい」

アーティスト

沖縄県出身の国民的バンド・BEGINが来年デビュー35周年を迎える。これまでに「島人ぬ宝」「三線の花」「恋しくて」などのヒット曲を世に送り出し、様々なアーティストに楽曲提供も行なっている彼らが、今回新たに取り入れたのは“盆マルシャ”。盆踊りでみんなが楽しめるようなアルバム「ビギンの盆マルシャ」を2024年10月2日に発売した。

メンバーの比嘉栄昇(ボーカル)、島袋優(ギター・ボーカル)、上地等(ピアノ・ボーカル)にアルバム制作秘話や、来年3月に大阪城ホールで開催される35周年記念公演「さにしゃんサンゴSHOW!!」への思いなど、お話を伺いました!

愛する渋谷の歌、100年先も聴いてほしい

── 「ビギンの盆マルシャ」は“盆”と“マルシャ”を融合させたもの。そして新曲「渋谷百年総踊り」は、昨年出演された「渋谷盆踊り」をきっかけに制作されましたね。皆さんにとって渋谷はどんな街ですか?

上地
上京した時から渋谷は集まりやすくて、飲みに行ったりした馴染みのある街。だけど老舗ロック喫茶B.Y.Gでライブを行うようになってから、より街に愛着が湧くようになりました。最初は2週間に1回のペースでやっていたから、僕達にとって音楽の故郷なんですよ。

島袋
B.Y.Gに沢山出演するようになってから渋谷に来ると“ただいま”って言えるようになったよね。BEGINの2枚目のアルバムをデザインしてくれた方が渋谷生まれで、その方から渋谷のことを沢山教えてもらったなぁ。自分たちがまだ知らない昔から残る渋谷の原風景を見せてもらったことで、この街が愛おしくなったことを覚えています。

比嘉
渋谷に何度も通っていると、地元の人が下駄履いて出てきたり、昔から渋谷に住んでいる人たちの生活が見えるようになったんですよ。あぁ、ここがこの人たちの暮らしの場所なんだと。例えば渋谷だと相続するにも大変なわけですよ。とても払える額ではなく、泣く泣く渋谷を離れる方々もいた。便利でお洒落で最先端をいく街が、この人にとっては故郷でもあるから……。この歌にはそういう思いが込められています。

── 今年で5回目となる「渋谷盆踊り」では、昨年に続き109の前で歌を披露されました。盛り上がりましたね。楽曲の制作や盆踊りご出演の経緯を教えてください。

比嘉
B.Y.Gのオーナーに「渋谷で盆踊りをするから音楽を作って欲しい」と、お願いされたんです。「盆踊りの楽曲ってずっと音源を流してやるから。君たちはライブバンドだから生演奏でやらないか」と。たしかに僕たちはマルシャもやっていたから合っていたのだと思う。やっぱり盆踊りは人が動くから、始まった時のテンポと盛り上がってきたときのテンポは違うから……、そういったものは生演奏でないとできませんから。

比嘉
そして「盛り上げる必要はない。あくまでも僕たちはバックハンドで、踊り手たちを盛り上げるんだ」と、渋谷の地元の人達にお話をさせてもらいました。そこで昨年ゲリラライブをして、大きな問題もなく進んで盛り上がった。これだけ沢山の人が集まって、当たり前に盆踊りをぐるぐる回って……海外の方はびっくりしたと思う。日本ならではの風景だし凄いことですよね。

マルシャは身体を動かすと一番心地よいリズム

── “マルシャショーラ”はブラジル公演に行ってから取り入れたものですが、マルシャとはブラジルでいう盆踊りなんですね。これと日本の盆踊りを掛け合わせるというアイディアが素晴らしい!

比嘉
最初「東京音頭」と「炭坑節」をマルシャでやろうということになりました。はじめ踊り手の方達が踊れるか心配していましたが、なんの問題もなく踊られていたのでこれに名前を付けました。マルシャは“マーチ”という意味で2拍子なので、人が歩くのに適したリズム。身体にもいいんです。ライブで皆でできるから、それが凄いですよね。いまは、家庭でもそれぞれ別の時間を過ごしている。だけど音楽が鳴っている間だけは皆で一つになれるから、音楽のチカラってすごいって改めて感じます。

── 伍代夏子さんが「渋谷百年総踊り」のカバー曲を10月31日に発売されましたね。

比嘉
本来この曲はBEGINが歌うために作ったわけじゃなくて、地元の人に歌ってもらうために作りました。僕たちをデビューに導いてくださった音楽プロデューサーの松崎澄夫さんも地元が渋谷なのですが、相談したら“なっちゃんがいるよ”と言ってくださって。伍代さんとはまだお会いしたことがないのですが、すぐに決まりました!いつか共演できたらと楽しみにしています。

── アルバム曲の多くに“わっしょい、わっしょい”という掛け声が入っていますが、この声がまたいいですね!

島袋
この声はBLACK BOTTOM BRASS BANDメンバーのヤッシーさんが担当してくれました。ヤッシーは“わっしょい番長”と呼ばれています。25年以上の付き合いでしょうか。この掛け声はヤッシーじゃなくちゃね!

35周年記念公演は皆さんをお迎えする気持ちで臨む

── そして来年3月22日(土)35周年記念公演「さにしゃんサンゴSHOW!!」が大阪城ホールで開催されますね。“さにしゃん”は嬉しいという意味ですが、サンゴSHOWにはどんな意味が?

比嘉
まぁ、イメージなんですが(笑)。沖縄の海にはいろんな珊瑚礁があって、様々な魚がいる。それって音楽の世界とよく似ているんですよね。珊瑚礁に様々なお魚さんがいろんな場所から聴きに来てくれている。自分たちは迎える立場なんだと……。何かを訴えたり、引っ張っていくわけではなく、常に皆さんをお迎えする── 。そんな気持ちで待っていたような気がして……。それならば、この35周年は自分たちが何かをやるというよりも、お客さんが喜んでくれて、ライブで聴きたい歌をやろうと思っています。

比嘉
やっぱり新しい歌を作ることが一番大事だと思っていて。ちょうど今、皆さんに新曲を聴いていただける環境が整っている時なんです。「島人ぬ宝」や「海の声」「三線の花」などのヒット曲を並べただけでセットリストが埋まってしまう。35年だから新しい曲も聴いてね、と言える環境が来年あるのは幸せです。

── 大阪城ホールのコンサートは単独で3回目になりますね。

上地
「ただいま!」って感じ。チケットを買って集まってくださるのはありがたいことですが、チケットを買ったと思わずに貸切にしたと思ってもらえたら。一番リラックスできるのは地域の公民館だったりするわけで、皆さんにそんな気持ちになって喜んでもらえたら嬉しいです。

楽器が歌を連れてくる

── 35周年を振り返って、さらに今後のBEGINの活動についても教えてください。

比嘉
20周年くらいまでは息苦しかったんです。いま、自分たちが中心になって考えて、やりたい事をやっていきたい。どうやったら気兼ねなく歌を楽しんでもらえる場所が作れるのかな、と考えています。いつものBEGINが毎年やっているツアーや地域のお祭り、例えば中之島のリバーライブなど、皆が気兼ねなく楽しくできるライブをもっとやっていきたいです。

比嘉
ギターと三線が一緒になった四弦の楽器・“一五一会”を僕たちが発売して20年以上が経ちました。そして今年、一五一会世界大会を開催しますが、殆どがオリジナル曲になってきているんですよ。昨年までは一五一会を弾くことで完結していましたが、今後は一期一会から生まれた楽曲をレコーディングして、一五一会や楽器に興味のある人が歌いたくなるようなアルバムを制作したいと思っています。

<ライブ情報>
BEGIN 35周年記念公演「さにしゃんサンゴSHOW!! 」
■2025年3月22日(土)大阪城ホール

問合せ:サウンドクリエーター(06-6357-4400)

■2025年3月30日(日)日本武道館

問合せ:ホットスタッフ・プロモーション(050-5211-6077)

チケット料金 ※一般発売中
一般(26歳以上):12,000円(税込)
高校生以上〜25歳以下:7,000円 (税込)
小中学生:3,500円(税込)
<リリース情報>
■35周年記念ベストアルバム「BEGIN さにしゃんベスト」
2025年1月29日(水)発売
https://beginsanishanbest.com/■「ビギンの盆マルシャ」発売中
オフィシャルサイト:https://www.begin1990.com/
テイチクWEBサイト:https://www.teichiku.co.jp/artist/begin/
公式Youtubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/BEGINch

インタビュー・文・撮影:ごとうまき