【THE FRANK VOXロングインタビュー】「大阪城ホールでのライブは僕たちだけの夢だけじゃなくなった。」

アーティスト

 2VocalのRYO(リョウ)、YASU(ヤス)と2MCのSNG(シュンゴ)RYO-TA(リョウタ)で結成された関西出身の4人組THE FRANK VOX(フランクボックス略称:フラボ)。大阪城ホールでの単独ライブを夢に掲げて今年2月にデビューし、等身大のメッセージソングと親近感溢れるライブパフォーマンスで聴衆を魅了している。また最近ではTikTokやInstagramでも4人のハーモニーが話題となり、人気上昇中!

 そんな彼らが2023年8月2日に『VOX GIFT』(EP盤)をリリースした。前作『VOX BOX』に続く今作には「受け取ってくれるあなたへ、出会ってくれてありがとう」という意味が込められ、彼らの思いがギュッと詰まったギフトとなっている。そんなフラボに約半年ぶりにインタビューを実施。収録された4曲についてや、メジャーデビューから半年経ったいまの彼らの思いを聞いた。インタビューや写真撮影でも、“フランク”に接してくれるメンバー達。そんな彼らの魅力を深堀りします!

『Bravo!!』はサッカーへのオマージュだが実は……。

── 今作の『VOX GIFT』は、メンバーからの贈り物というコンセプトとのことですが、それぞれの楽曲について教えてください。

SNG
この曲は、W杯で長友選手が言っていた「ブラボー!」とフラボをかけた曲を作りたい、さらにお客さんも一緒に盛り上がれるような激アツアップチューンを作ろうよということから制作しました。僕とRYOTAでノリと勢いで書いて、ラップをメインに、疾走感ある曲に仕上がりました。
 

RYO-TA
トラックを流しながら、タンクトップ一枚で飛び跳ねて踊りながら作りました。韻なども心地よいと思います。ただ、ライブでは一回噛んでしまうと終わり(笑)、いかに噛まずにいけるかが大切ですね。
 

SNG
歌詞の中にある“Mitoma” “Take”はサッカーの三笘薫選手、久保建英選手の名前なんです。他にも歌詞の中には下ネタを含んだ表現もあったり……。
 

RYO-TA
それをいかに下ネタ的な表現として聴こえないようにするか、工夫して書きました!だから安心してお子さんにも聴いてもらえますよ(笑)。
 

RYO
僕たちはレコーディングも自分たちで行っているんですが、『Bravo!!』が一番苦戦したんじゃないかな。特にRYO-TAのラップ部分、“新春シャンソンショー”のところは(笑)。フリーライブなどで歌っていると、これまで足を止めてくれなかった層の方が聴いてくださるんです。通りすがりの小さい子が止まって一緒に踊ってくれたり。あとは、海外の方も言葉の意味は分かっていないけれど反応してくれる。手応えを感じていますね。
 

リーダーのRYO-TA、ライブでは軽快なMCでみんなを引っ張ってくれる。 photo By SNG

煌びやかさを意識した『フロアコースター』

──『フロアコースター』も踊りたくなる楽曲ですね。

SNG
コロナが収まる前に制作を開始、コロナ後の未来を想像して書いた曲です。ライブハウスのあの煌びやかな思い出や時間に思いを馳せて、さらにジェットコースターのワクワク感や高揚感を掛け合わせて『フロアコースター』という造語をつけました。歌詞もライブハウスというテーマを軸に書いています。
 

YASU
ユニバーサルスタジオジャパンのハリウッドドリームのバックに合いそうな曲じゃないですか?イントロ部分がジェットコースターを登っているときのワクワクする気持ちを表現しているなって思うんです。
 

RYO
確かに!『Bravo!!』が屋外なら、『フロアコースター』はテーマパークというイメージ。
 

SNG
実際にライブで歌うと想像以上に盛り上がって。この曲を作って本当に良かったって思うし、お客さんがそう思わせてくれている。
 

普段言えない“ありがとう”を歌に込めて

── リード曲『友よ。』は、聴いていると情景が浮かぶし、誰もが共感できるような歌詞が印象的です。

RYO
EPの締め切りが2週間に迫っていた時に制作した曲が『友よ。』で。本来は今回のEPの収録曲に入る予定ではなく、別の曲の予定だったんです。なんか行き詰まってしまって。そんな時にSNGが何気なく口ずさんだメロディーがこの曲のサビ。それを聴いた時にこれだ!!とピンときて、1週間半ぐらいで作りました。
 

RYO-TA
僕も聴いた瞬間に、めちゃくちゃ良い!って興奮してしまって。
 

YASU
うん、全員が一致した。ただ、レコード会社の方に言わないといけないから、リーダーはちょっと嫌な顔をしていたけど(笑)。
 

RYO-TA
実際に聴いてもらったら、レコード会社の方も納得してくださいました。今となっては“変えて良かったね”と言ってもらえますし。
 

SNG
あの時RYOくんがこれで行こう!って決断してくれたから良かったんだと思う。
 

── 歌詞にも共感する方が多いのでは。

SNG
自分が不調な時にも側にいてくれる人が本当の友達。そしてそんな友達に届けたい歌。だけどそういった関係であればある程感謝の気持ちって伝えにくいから。酔ってるわけではないと誤魔化しも入れながら、ストレートな“ありがとう”を伝えたかった。
 

RYO-TA
抽象的になりすぎても聴く人がイメージしにくい。自然と情景が浮かぶようにしたかったので、みんなで意見を出し合って、何度も書き直しした曲です。メンバーそれぞれの実体験が散りばめられているんですよ。
 

フラボの裏リーダーで、“漢”という言葉がぴったりなRYO。情に厚く意外と涙もろい面も。

スマホの画面からどれだけ温度が伝わるかを大切に。

── MVも温かくって、思わず共感する場面が多いです。MVもレコーディングもそうですが、フラボの強みって自分たちで制作・編集できるところですよね。

SNG
MVは僕たちのリアルな友達にお願いして出演してもらいました。あとMVで流れるのはファンの皆さんからいただいた友達の写真です。皆さんの写真が良すぎて、編集しながら思わず泣いてしまったんですよね。
 

SNG
ありがたいことに自分たちで曲を書かせてもらったり、MVやジャケットも考えさせてもらっていますが、責任も伴いますよ。自分たちでやっているからこそ、沢山の人に届かなかったら全て自分たちのところに向く。だからこそ本気で取り組めるし妥協したくない。この本気度が僕たちの魅力でもあると思っていて。一度挫折を味わったからこそ、人生を賭けて大阪城に向かって本気で音楽を作っている。
 

RYO-TA
自分たちが影響力を持ってくると、歌詞の一言で人の人生を良くも悪くも変えてしまうから、そういった部分においても責任を感じるよね。
 

YASU
4人で作った曲の温もりやメッセージを理解してくれるクリエイターさん達と共にその温かさをさらに大きくして作っていきたいし、もっとこの輪を広げてモノづくりしていきたいなって思います。
 

── 『あの日はBad day,ある日はGood day』はどのようにして生まれた曲ですか?

RYO-TA
この曲の主人公は絵描き。自分というキャンバスを描いている、みんなが絵描きなんです。人生って悪い日もあれば良い日もある。悩んで楽しんでの繰り返し。自分の人生だから、自分を大事にして欲しいというメッセージを込めています。
 

SNG
制作過程も面白かったよね。4人で集まって「幸せって何やと思う?」をテーマに意見を出し合って。
 

メンバーの中で最もアーティスティックで繊細かつ優しい人柄。映像制作などにも才能を発揮している。

YASU
連想ゲームみたいな感じ。最初は“贈り物とは何ぞや?”から派生させていって。いつの間にか付箋が壁一面になってちょっと気持ち悪くなったほど(笑)。
 

RYO
そこから紐解いていくと、最終的には自分たちがこの世に生まれてきたこと自体がgiftだとわかった。そして自分の人生をキャンバスに例えて。そこからどんな色をつけてもいいし、どんな絵を描いてもいいんだと。
 

── イントロのピアノのフレーズも素敵です。

RYO
曲を再生した瞬間のキャッチーさも大事だと思っていて。この曲ではイントロのピアノのフレーズを重視し、その上で編曲を行いました。僕たちレコーディングで大切にしているのが声の重なりや響き方。各々が特徴ある声で音域も違います。この曲では僕とYASUが同じ音量でメロディーをなぞっています。

YASU
RYOと互いの声をぶつけ合って、それをとRYO-TAとSNGのラップが支えてくれています。最後の大サビがグッとくるのではないでしょうか。
 

メンバー随一の天然キャラ。特にライブでは、YASUの愛すべき魅力が沢山感じられる。

4人のハーモニーは唯一無二

── TikTokやInstagramをはじめ、RYOさんとYASUさんのハーモニーが話題を呼んでいますね。

SNG
2人の声の重なりがちょっとずつ認められてきているんじゃないかって、僕とRYO-TAは沸々と湧いているんですよ。
 

RYO-TA
結局4人みんなの声が合っていると思っていて。有難いことに、4人の声の重なりが好きだって言ってくださるファンの方も結構おられて。そこが僕たちの強みなのかなって思っています。
 

YASU
4人の声の重なりって唯一無二だと思うんです。今まで出会ってきた中で、一番いいし、この声の重なりに自信を持ってお届けできる。
 

悩み、もがきながら作った曲を皆が目の前で歌ってくれることが何よりも幸せ。

── VOX GIFT TOUR 2023〜フラボのギフト、お届けに参りました。〜が9月10日の岐阜・柳ヶ瀬を皮切りにスタート、9月30日は梅田Shangria-La でライブが行われます。皆さんにとってのライブとは?

YASU
ライブを重ねていくうちに曲も成長してきたし、ライブで声を出せるようになったことで、お客さんも一緒に歌ってくれるようになった。僕たちの生きがいはライブなんですよね。
 

SNG
フラボのライブで盛り上がる瞬間は心から僕らが日本一だと思うし、お客さんの愛とエネルギーに負けそうになる時も。それくらい皆いい顔して、こっちを見てくれていて。
 

RYO
音源は音源、ライブで歌うと音源とは違う曲になっているくらいにライブはナマモノだから。僕達が一番悩む瞬間が曲づくりなんですが、それが報われる瞬間がライブなのかな。悩みながら作った曲を皆が笑顔で歌ってくれる。それを見るとやってて良かったなって思えるんです。
 

── メジャーデビューしてから数々のライブを重ね、心境の変化はありましたか?

SNG
絆です。“目指せ大阪城ホール!”と言っていますが、正直漠然とした目標だし、側から見たらアホやん、って思われているかもしれません。ですが、僕らやスタッフは本気で信じているので、それがお客さんに伝わっている。ライブでのお客さんの眼差し一つにしても、僕たちに希望を持ってくれているのが伝わっているんです。この馬鹿げた夢を信じた人が1万2千人集まったら、アーティスト冥利に尽きますよね。
 

RYO-TA
もう、僕たちだけの夢じゃなくなってきたと感じています。今、ツアーのファイナルに向けて横断幕を作っているのですが、ファンの皆さんからの応援メッセージも書いてもらっています。そのコメントも大阪城ホールに一緒に行こう!というメッセージが書かれていたり……。こうして生の音楽を届けて、皆との一体感を感じられるのはライブの醍醐味ですよね。やっぱり、僕たちの魅力はライブだと思っていて。きっとライブがなかったら音楽をやっていないと思うんです。
 

“手が届く高嶺の花”でありたい

── THE FRANK VOXの魅力とは?

SNG
諦めない気持ちしかないです。人生って、諦めるか諦めないかでふるいにかけられていると思っていて。僕たちは全く諦めていないから。しぶとく、夢を追っかけていく。
 

RYO
なんかエエな、って思ってもらえるのが僕たちの魅力なのではないでしょうか。ずば抜けて良いってなるとTHE FRANK VOXじゃないと思っていて。近所の兄ちゃんたちが音楽作って、ライブして、TikTokでおもろい動画を撮っている。作る曲も声の重なりもなんかエエな、って思ってもらえるような、手が届く高嶺の花でありたいです。
 

── だからこそライブに行くと、フラボのことがもっと好きになるのでしょうね。ライブにこそ4人の魅力が詰まっているから。

RYO-TA
大阪城ホールで歌う!という僕たちの夢が、ファンの人たちの夢になるだなんて、そんなおこがましい事ないよな、と思いながらも願っていました。だけど、その夢が本当に皆の夢になってきていると実感していて。横断幕もそうだし、ステージから見るお客さんの眼差しからも感じます。そして僕たちの夢が皆の夢だとしたら、皆の夢も僕たちの夢。受験中や闘病中の人も、それぞれの小さな願いから大きな願いまで、みんなの夢を僕たちも本気で背負いたい。これからもファンの皆と夢を作って追いかけて戦って、叶えて喜んで……皆と一緒に人生を歩んでいきたいです。
 

■ライブ情報
VOX GIFT TOUR 2023~フラボのギフト、お届けに参りました。~
9 月30 日(土)大阪・梅田Shangri-La

Campaign Of Romance 2
10月4日(水)東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGEOPEN 18:15 / START 18:45出演EOW / THE FRANK VOX / Harmony Skit / 浜野はるき

第3回サンロードフェスティバル 音楽と花火の祭典
2023年10月7日(土)
宮崎・宮崎市青島 こどものくに

FRANK FES 2023~オトナの階段昇る。YASU編~
10月20日(金)大阪・アメリカ村 DROP開場 18:00 / 開演 18:30

 

インタビュー・文・撮影:ごとうまき