【原田波人インタビュー】尽きることなき夢、ファンの皆さんと一つ一つ叶えていきたい。

アーティスト
“演歌Z世代の旗頭”とのキャッチフレーズで、演歌歌謡界に新たな風を吹き込む原田波人。新曲「純情ホトトギス」(2023年4月5日発売)は、キャッチーなフレーズとダンサブルなメロディーが印象的な楽曲で、原田の故郷・和歌山が舞台の「紀伊国音頭」とともに、″つんく♂″がプロデュースしている。どちらも聴くだけで元気になれる つんく♂ワールドが感じられるナンバーだ。今回はそれぞれの楽曲への思いや制作秘話などを語ってもらった。現在20歳とは思えないほどに思慮深く、不屈の闘志を秘めた熱い原田さんの人柄が垣間見れた時間となった

聴けば聴くほど魅力が沁みる、“スルメソング”

 ── 「純情ホトトギス」は、前作「偽りのくちびる」のカップリング曲でカバーされた「シングルベッド」をきっかけに、つんく♂さんのプロデュースに繋がったのですか?
原田
そうですね。前作のカップリングでカバーさせていただいた「シングルベッド」を、つんく♂さんに聴いていただいて、楽曲を作っていただきました。僕も、制作陣の皆さんも、心のどこかで“つんく♂さんに曲を作ってもらいたい”という思いがあったので、まさか本当に実現するなんて思ってもいませんでした。つんく♂さんにプロデュースしていただくことを聞いた時には、既に楽曲が完成していて。頭が追いつかなくて、驚きと嬉しさが両方やってきたという感じです。
── これまでにつんく♂さんの楽曲などに対してどのような印象がありましたか?
原田
母と伯母がシャ乱Qが大好きで、よくライブにも行っていたみたいなんですよ。それに、90年代に流行った楽曲が、また僕たちの世代でもブームになっていて。それこそ「シングルベッド」なども、よくカラオケで歌っていました。小学校の運動会ではモーニング娘。さんの楽曲で踊ったり。つんく♂さんの一度聴いたら忘れられない歌詞やメロディーに、いつも引き込まれます。
── そんな「純情ホトトギス」をはじめに聴かれた時の心境、そして歌ってからの周りの皆さんの反応はいかがですか?
原田
これまで歌ってきた大人っぽい歌とはガラッと変わった曲なので、自分に歌えるのか?という不安もありました。そして、つんく♂さんの世界観を壊さないように、自分のオリジナルカラーを出すにはどうしたら良いか、を考えました。歌詞の「ホチョチョッチョ」の“チョ”の部分、「泣いてないぜ」の“ぜ”の部分が僕のカラーであり、色っぽさを感じるとディレクターさんに言っていただきましたので、この部分は僕らしさを感じていただけるのではないでしょうか。この曲を皆さんに最初にお届けした時は、“原田波人、こんな歌歌うの?”と、ポカーンという反応で(笑)。だけど、聴けば聴くほど良い歌でクセになるという声も沢山いただき、僕は勝手に“スルメソング”と名付けています(笑)。
── つんく♂さんとは歌について何かお話をされましたか?
原田
現在はハワイにいらっしゃるので、リモートでお話を伺いました。なぜ“ホトトギス”なのか?という質問をしたところ、僕が「NHKのど自慢」などに出ていた時の映像をつんくさんが見てくださり、僕の爽やかな印象を強調するために夏の季語である「ホトトギス」を用いられたとのこと。さらに「純情」をつけることで、より爽やかさが増す印象にしてくださいました。

“令和版「まつり」”で、日本中を元気に

── 「紀伊国音頭」も聴いているだけで楽しくなる歌。“つんく♂さん らしさ”も感じられる一曲です。
原田
僕に故郷の歌をプレゼントしたいと言ってくださいました。つんく♂さんからも、とにかく楽しんで歌うように、この歌で日本中を元気にしてほしい、といったアドバイスをいただきました。上京してしみじみと思うのは、和歌山って知名度がそんなに高くないということ。以前から和歌山県の観光発信人をさせていただいているので、自分の出身地である和歌山を盛り上げたいという思いは強くありました。そんな中、紀伊国音頭を聴いてこれだ!と。歌の中には名物のみかんや梅干し、高野山、白浜などが出てくるので、「紀伊国音頭」でも、和歌山の良さを広めていきます!
── 音頭だけあって、原田さんの歌声がいっぱい聴こえてきますね。
原田
コロナ禍もようやく落ち着いたのでみんなで歌える歌を、という意味も込められています。“魅せる音楽を”というテーマのもと、僕1人の声を沢山入れていただきました。いろんなところで“ワッショイ、ワッショイ”と言っています。それも僕の声が幼稚園児の声からおばあちゃんの声まで変化しています。通常は、仮歌をして微調整しながら本番に臨むのですが、今回は僕がよりリラックスして、楽しんでいる方が良いとのことで、どちらも仮歌の段階で終わりました。CDを聴いてもらえるだけでも楽しさが伝わるのではないでしょうか。
── ライブやコンサートでも、かなり盛り上がりそうです。
原田
「紀伊国音頭」は、つんく♂さんのカラーも色濃く出た音頭です。“チュラチュチュチュ”という可愛いフレーズも、皆さん一緒に楽しんでくださっていて、コロナ禍が収束してきた証の歌なのかなと。僕がデビューしたのがコロナ禍真っ只中だったこともあり、ようやく皆さんと楽しめるようになり、嬉しいですよね。

上京して、家族のありがたみを知った。

── お祖父さまの影響で4歳から歌を始めたとのこと。その頃から歌手に憧れていたのでしょうか?
原田
僕はおじいちゃん子だったので、ずっと隣りで音楽番組を見たり聴いたりして、独学で学びました。特に石川さゆりさんや伍代夏子さんが好きでしたね。歌手に憧れるというより、当たり前に過ごしていたら歌手になれるものだと思っていたんですよ。だけど大きくなるにつれて、そう簡単にはなれないことに気がつき、オーディションに出たり、「NHKのど自慢」などに出るようになりました。
── 2016年に「NHKのど自慢」和歌山県大会に出場し週チャンピオンに。2017年は「NHKのど自慢」グランドチャンピオン大会に出場し、同年、和歌山歌謡選手権で優勝。順風満帆で“俺いけるじゃん!″って思いませんでした?
原田
当時は調子に乗っていましたね(笑)、自分が一番歌が上手いと思っていましたから(笑)。だけど井の中の蛙だってことに、すぐに気付かされました。2019年の日本クラウン新人オーディションを受ける前にもオーディションを一度受けてるのですが、僕は何も賞をいただけず悔しい思いをしましたし、そこから勉強をするようになりました。
── 2019年日本クラウン新人オーディションで準グランプリを獲得し、2021年に上京し、デビューされました。東京での生活は慣れましたか?
原田
今は慣れましたが、上京したての頃は、故郷が恋しくて仕方がありませんでした。コロナ禍で移動も制限されていたし、仕事関係以外の人とは会わない生活。特に2022年初めの頃は、コロナの影響で仕事がなくなった時期でもあり、その時が一番寂しかった。家族全員仲が良かったこともあり、これまで1人の時間があまりなかったから余計に辛かったし、家族の有り難みが身に染みましたね。

欲望は果てしなく。好きなものはとことん突き詰める

── 国会中継をTVで見るのが趣味とのこと。若いのに素晴らしい!
原田
国会中継に興味をもったきっかけが、東日本大震災があったのが小学校2年生の時。あの時衝撃を受けて、いろいろと思うことがあったりで、今後どう動くのだろうという思いで国会中継を見るようになりました。最初は話す内容も分からず、ニュアンスで汲み取っていましたが、次第に面白くなってきて。質疑応答の整合性をチェックしたり、法案が可決したときは条文を読んだりして、楽しんでいます。この間も国会の見学ツアーに行ってきたんですが、あの歴史を感じる建築物や独特の匂いに感動して、鳥肌が立ちました。僕、オタク気質なんですよ。好きなものに対してとことん追求してしまいます。
── 原田さんは歌声も中身も大人っぽいし、すごくしっかりされていますよね。長男ですか?
原田
3人きょうだいの末っ子なんですよ。今度2023サマーフェスティバル(2023年8月6日@シティープラザ大阪)で、青山新さんとご一緒させていただきますが、彼も3人兄弟の末っ子。似たもの同士なのでよく喧嘩をします(笑)。先日、新浜レオンさんと3人でご一緒した際もレオンさんが長男という感じで(笑)。青山新くんと僕でどんな化学反応が起こせるのか、とても楽しみです。
── どんな歌手になっていきたいですか?今後の目標など教えてください。
原田
SNSを駆使して、僕たちZ世代の人たちにも、演歌の魅力を伝えていきたいです。全部を知ってもらわなくてもいい。たとえ“ホチョチョッチョ”の部分だけでも覚えてもらえるような、印象の強い歌手になっていきたいし、まだ誰もがやったことのない事に挑戦していきたいですね!今作はつんく♂さんにプロデュースをしていただき、思ってもみなかったことが実現しました。だけど、もう一度つんく♂さんに曲を作ってもらいたい!とか、武道館で歌いたいとか……いろんな欲がどんどん湧き出てきます。そしてその欲望は死ぬまで尽き果てることはないのだろうなと。その夢を一つ一つ実現させて、ファンの皆さまと一緒にいろんな景色をみれるように精進します!

 

インタビュー・文・撮影/ごとうまき