【ハラミちゃんインタビュー】“名曲配達人”が届ける6年目の進化!全国ツアーでパワーアップ原点回帰

インタビュー

絶対音感、即興演奏などの特技を活かし、東京都庁や京都駅、仙台空港、パリ、ロンドンなど、 日本全国、世界各地のストリートピアノ動画で人気を博すピアニストでYouTuberのハラミちゃんが、2025年5月18日からNHKホールで開幕する『ハラミちゃん全国ピアノツアー2025 ~あなたの街に名曲お届けするぬ!~』を前に、意気込みを語ってくださいました。全国20都市を巡る大規模ツアーは、彼女の音楽への情熱とファンとの絆を象徴するもの。名曲を「配達人」として届けるというコンセプトのもと、老若男女の心をつかむハラミちゃんの魅力に迫ります。彼女のピアノが織りなす物語と、ツアーにかける思いを、たっぷりとお届けします。

全世代が楽しめるツアー

── 今回のツアーは全国20都市を巡る大規模なものですが、この壮大なツアーに挑戦することになったきっかけを教えてください。

ハラミちゃん

毎年ツアーはやってきましたが、昨年が活動5周年で、5つのコンセプトでライブを行いました。昭和の名曲を弾く公演、童謡やアニメソング中心の子ども向けの公演、学生に向けたMrs. GREEN APPLEさんやTikTok等で流行の曲ばかりを弾く公演など、さまざまな層の方に楽しんでもらえるライブを展開しました。昨年の5周年でいただいたパワーを集約して、今回は「全世代が楽しめるツアー」を1つのコンセプトで作りたいと思い、20都市を回る大規模なツアーに挑戦しようと決めました!

── ツアーのスタートがNHKホールですが、特別な思いはありますか?

ハラミちゃん

以前番組で演奏したことがあるNHKホールですが、ワンマンライブは初めて。学生時代、好きなアーティストのライブを2階の奥の席から見て、人の多さに圧倒されて憧れた場所でもあります。今はNHKでレギュラーの仕事もさせていただいているので、行くたびに「いつかここでライブをしたい」と思っていたので、本当に嬉しいです!

──今回のツアーではハラミちゃんが「名曲配達人」として、ファンに愛される名曲を届けるというテーマが掲げられています。このコンセプトはどのようにして生まれましたか?

ハラミちゃん

昨年は活動5周年の集大成として、色々な自分の演奏を楽しんでもらえるよう5つのコンセプトに分けてライブをしたので、今回は全世代が一緒に楽しめるものにしたいと考えました。名曲って人によって定義が違う。世間的に有名じゃなくても、自分にとって特別な曲ってありますよね。みんなが好きな名曲もあれば、個人にとっての名曲もある。そういう曲を各都市に届けたいと思ったんです。ツアー特設HPのリクエストフォームで、ファンの皆さんから「みなさんにとっての名曲」とそのエピソードを募集しています。それぞれの物語とともに、名曲を私が「配達人」として届けるライブにしたいなと。

── リクエストフォームにはどんな投稿が届いていますか?

ハラミちゃん

もう何度も泣かされています(笑)。文章だけなのに、皆さんの人生の喜びや悲しみが伝わってきて……。落ち込んだ時に音楽がそばにあったというエピソードが多くて、改めて音楽の力の凄さを再認識しています。いただいたメッセージと共に曲を聴くと、また違った深みを感じますね。ライブでは、そのメッセージを思い浮かべながら弾きたいです。

── メッセージはライブで紹介する予定ですか?

ハラミちゃん
読む場合もあれば、読まない場合もあるので、ちょっと秘密にしておきます(笑)。でも、メッセージは私の心の中でしっかり生きています!

全世代をつなぐピアノの力

── ハラミちゃんの演奏は、昭和の曲から令和の最新曲まで幅広いですが、今回はどんな曲が登場しますか?

ハラミちゃん
具体的なアーティスト名は秘密ですが、どの世代の曲もまんべんなく弾きます。子どもたちが「こんな曲あったんだ!」と新しい発見をしたり、年配の方が「最近の曲もいいね」と感じてくれる瞬間があればいいな。ピアノはメロディーとリズム、ハーモニーだけでシンプルに伝わるから、世代の架け橋になれるのかなって。そこがすごく嬉しいですね。

──アレンジのこだわりは?

ハラミちゃん

原曲の良さを最大限に伝えることを意識しています。ドラムやギターのパートを耳コピして、10本の指でどう表現するかを考えます。年代に合わせるというより、曲そのものの魅力を引き出すアレンジを心がけています。

新たな都市と会場への期待

──追加公演で愛媛、長野、神奈川など新たな公演地が追加されていますが、楽しみにしている会場は?

ハラミちゃん

北海道の旭川ですね!北海道は札幌での公演が多く、ファンの方が4、5時間かけて来てくれることも多くて申し訳なかったんです。今回は旭川でも公演できるので、すごく楽しみです!

──異なる会場でのパフォーマンスの変化などはどう考えていますか?

ハラミちゃん

全公演でセットリストが違うので、聴ける曲が毎回変わります。例えば、関西だと奈良、大阪、兵庫の3公演は全部違う曲目です。あと、47都道府県を回った経験から、隣の県でも反応が全然違うんですよ(笑)。笑いが起こるポイントや盛り上がる曲が違ったりするので、その違いを楽しみたいですね。私は楽譜通りに弾かないので、会場の熱量でアレンジやテンポが変わるんです。その「揺らぎ」を楽しんでもらえたら嬉しいです。

── 関西公演への意気込みや印象を教えてください。

ハラミちゃん

実は私、生まれた瞬間だけ大阪なんですよ。記憶はないけど、身近に感じる場所ですね。関西のお客さまは人懐っこくて、いつも味方でいてくれるような温かさがあります。YouTubeの視聴者さんも、関東より人口は少ないはずなのに、熱量は関西の方がすごい!(笑) 団結力も感じるので、関西公演は特に熱いライブにしたいです。あと、大阪の串カツの紅生姜が大好きで! 紅生姜の味の柿の種もあって、大阪駅でいつも大量に買って帰ります(笑)。

ツアーの裏テーマ「パワーアップ原点回帰」

──今回のツアーの魅力や裏テーマを教えてください。

ハラミちゃん

自分の中で掲げているスローガンは「パワーアップ原点回帰」です。活動初期から全世代に名曲を届けることをやってきましたが、6年目に入って、海外でのストリートピアノや日本一周、さまざまなコラボで表現の幅が広がったと感じています。最近だと、沖縄で夏川りみさんとコラボさせていただいたんですが、夏川さんの「力を抜いて伝える」姿勢に学びを得ました。“伝えたいと思う時ほど力まないこと”で、お客さんの心を動かせるんだなって。そういう経験が積み重なった6年目の音色を、ぜひ生で聴いてほしいです。YouTubeやテレビとは全然違う、生のピアノの響きを感じてもらいたいですね。

──これまでのライブやコンサートで最も印象深いエピソードを教えてください。

ハラミちゃん

日本武道館でのライブですね。360度のステージはストリートピアノみたいで、ペンライトが星空のようでした。活動2年半で武道館に立った時は、夢見心地で実感がなかったけど、実は毎日「誰もいない武道館」の悪夢を見てたんです(笑)。あの頃は自分のスピードについていけてなかったけど、今は少し落ち着いて、しっかり状況を見ながらライブができるようになりました。6年目のパワーアップした自分を、今回のツアーで届けたいです。

今後の夢とコラボの展望

──これまで多くのアーティストとコラボレーションされてきましたが、今後挑戦したいコラボレーションは?

ハラミちゃん

音楽以外の分野、例えば書道家や彫刻家、画家とコラボして、アートとピアノがどう共鳴するか見てみたいです。新しい化学反応が生まれそうで楽しみですね。

──海外で行きたい場所は?

ハラミちゃん
ウィーンです! クラシックの本場で、街並みも美しい。クラシックから音楽を始めた私としては、人生で一度は行ってみたい場所です。

── 今回のツアーで、ピアニストとして新たに挑戦したいことは?

ハラミちゃん

私は「野生のピアニスト」として、どんなピアノでも、どんな場所でも弾くスタイルを大切にしています。コンサートホールやストリートピアノ、老人ホームや保育園でも、ピアノがあればどこでも行きたい。ツアーでも、コンサートだからって気負わず、フラッと登場してみんなと楽しむ「野生」のスタンスを忘れずにいたいです。そして、全国のまだ行ったことのない場所にもピアノを届けたいです。

── ハラミちゃんにとって、ファンの皆さんとの絆は大きな原動力だと思います。5年後、10年後のファンとの繋がりをどうイメージしていますか?

ハラミちゃん

ファンの皆さんには本当に支えられています。ライブに来れない方も、会ったことのない方も、それぞれの形で応援してくれるのが嬉しいです。特に「ハラミちゃんを見てピアノを始めた」と言ってもらえるのが一番の喜び。いつか「ハラミちゃんピアノ教室」みたいな場所を作って、ファンの皆さんが好きな曲を弾きながら繋がれたらいいなと夢見てます。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき