2021年1月5日から1月13日まで大阪 新歌舞伎座にて『両国花錦闘士』(りょうごくおしゃれりきし)の大阪公演が始まる。 同公演は10月に伊藤健太郎が道路交通法違反の疑いで逮捕され、主役が変更となった。 大阪公演を前に、今月23日に無事東京公演を終えた主演の原 嘉孝さんが意気込みなどを語ってくれた。また今回は同公演の浅生博一プロデューサーも同席。演出、さらに原さんの魅力についても聞くことができた。
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舞台の見どころ と 東京公演を終えて
ーー見どころについて
原:肉体美は見て欲しいです。僕だけではなく20名近い男たちがオープニングからまわし一枚で歌って踊っての光景は他では観れないかと思います。オープニングから、嫌でもお客様がスト―リーの中にグッと入り込めるのではないかなと思います。また、神技であり神に捧げる伝統ある相撲を年末年始に出来ることは縁起が良いことだと思っていて、博多公演まで無事完走できると信じています。
ーー東京公演を終えての感想と大阪公演への意気込み
原:コロナ禍で、そして役変更など大変な中、東京公演が無事終了したのは一安心です。 色んなことがありましたがキャストスタッフ合わせて102人の舞台に対しての成功への気持ちが揺るがなかった。102人が黙々と自分にできることをして、その姿勢などに支えられ助けられながら、僕はセンターで胸を張って演じることができました。感謝しています。
大阪公演での楽しみは、小ネタが多くあるんですが、大阪の方にはどのネタが刺さるのかが楽しみです。大阪公演でも芝居がちょっとずつ変わっていくと思います。
ーー舞台のセンターに立っての感想と、博多公演までの舞台を終えたときに、どのようになっていたいですか?
原:僕が座長として先頭に立って引っ張っていくような感じではなく、みんなでこの作品を支えているという意識を持って稽古をしてきました。公演初日の前日に『明日から自信を持ってセンターに立ちます』とメインキャスト4人や木村了君に伝えました。
東京公演での千秋楽は感動しましたね。今はプレッシャーとかはなくて、自信を持ってセンターに立てることができています。
板の上に立つのは24人だけど、総勢102人で舞台をしている。その人たちの思いも背負って舞台に立っているという意識は持っています。博多公演を終えたあと、形に残るわけではないですが、自信が持てる自分がいたらなと。僕、豆腐メンタルなんですよ。すぐに泣くし(笑)
ーー代役が決まってから大変だったこと
原:代役が決まってから一ヶ月はしっかりと稽古ができました。立ち稽古前に相撲の所作を毎日一時間指導をしてもらっています。股割り、四股を踏むなどといった所作を自分の中に落とし込むことが大変でした。
実際に両国国技館にも足を運びました。力士たちがその所作を綺麗に流しながらしていて、流したほうが玄人っぽくみえるのだとわかり勉強になりましたね。
また相撲を愛する紺野美沙子さんも彼らの行う相撲の稽古を見て、『相撲教習所でやっている内容と変わらない』と、びっくりされていたとのこと。
共演者について
ーー 元々演じられる予定だった役を現在は木村 了さんが演じていますが、木村さんの演技を見ての感想は?
原:最初演じる予定だった主役の兄役の稽古は一週間ぐらいしていて、自分の思う兄役へのアプローチの仕方と木村了くんのアプローチの仕方が全く違うんです。僕はワイルド系な兄のイメージで演じようとしていたんですが、了くんはインテリ系で演じていて。僕にはその引き出しがなかった。了くんがカンパニーに入った初日の稽古を見て悔しくもありましたが、勉強になりましたね。自分の演じる予定だった役に先輩役者が入るということも含め、良い経験ができました。
ーータラればで・・・相撲を真剣に勝負したい出演者はいますか?
原:徳永ゆうき です。彼とはプライベートでもすごく仲よしで、僕の楽屋にも入り浸ったりして(笑)取り組みでコテンパンにしてやろうと(笑)ただ徳永君は柔道をやっていたから、きっと強いでしょうね。
ーーカンパニーについて
原:若い人たちが中心のカンパニーなので、最初は修学旅行か?というほど和気藹々とした雰囲気で。でもやるときはやるといった、メリハリのあるチームです。また、りょうさんや紺野美沙子さん、新しく入った木村 了くんが全体を見てくれて助けられました。だから僕は自分の役に集中できましたね。監督のようなキャストもいてバランスの取れたカンパニーです。
カラダ作りについて
ーー色々とあった中での主役抜擢、元々は主役昇龍の兄役として出演予定でしたが、身体づくりなどはどうされましたか?
原:2月からプライベートで体を鍛えて7〜8キロ増やし、主演に決まってからそこから2キロ絞りました。ジャニーズって”細マッチョ”なイメージですが、僕の中ではムキムキになりたい思いがあって、コロナの影響もあったし仕事関係なく鍛えていたんです。ファンや事務所、滝沢さん(滝沢秀明 副社長)からは『これ以上ムキムキにならないで』と言われていたんですが、東京公演では滝沢さんが楽屋に来て僕の体を見て『仕上がってるね』と言ってもらえた。結果としてこうして仕事に繋がったので鍛えていて良かったです。ただ、東京の24公演が終わり3キロぐらい減ってしまい・・・。体重維持が大変ですね。年末年始、暴飲暴食に気を付けて維持をしていきたいです。
ーー細マッチョには戻りたくない?
原:この舞台が終わっても細マッチョには戻りたくないですね。『職業、消防士ですか?』って言われるぐらい鍛えたいです。(笑)
舞台・演出について
今回演劇プロデューサーの浅生博一さんからもお話を聞くことができた。
演劇プロデューサー浅生博一から見た原 嘉孝の魅力とは
ーー代役を決めた経緯は?
原さんの実力と舞台に対する姿勢、さらに人柄など総合的に見て選んだと彼を称賛した。さらに浅生さんは『結果、彼を主演にして相違なかった』と話した。
作品を面白くするためには議論もする
ーー”もっと面白くする”そのためには何を大事にしていますか?
原:第一優先は、演出家の青木豪さんに従うこと。その中でキャストができることは自分の役と向き合い、その役を掘り下げていくという作業、そして作品全体を考えたときに、どこのシーンをもっと稽古するかなど、他にもプロデューサーやキャストの意見を出し合う場があればあるほど作品は深まると思っています。作品を考えれば考えるほどお客さんにも伝わるのかなと。例えば、小ネタひとつにしても何十通りの言い方を試してみたり、試すことによりそれが自分の引き出しになる。 細かい部分の積み重ねが大切だと思っています。
劇団☆新感線ファンにも観に来てもらいたい
三銃士企画はケレン味とスペクタクル感が満載の”次世代の劇団☆新感線”というコンセプトで立ちあげ、青木豪さんにご快諾をいただき同公演が実現したという。
ーー新感線ファンに向けても一言お願いします。
原:新感線が好きならこの作品も愛してもらえると信じています。是非来てください。
東京公演で舞台上からお客さんの顔を見て、スタンディングオベーションで満面の笑みで拍手をしてくれて、あの姿を見てると自分たちのやってきたことは間違いではないと確信を持てました。大阪の人にも楽しんでもらいたいですね。感染対策も万全にしているので安心して来て下さい。
取材・文/ごとうまき
6、7万人規模の興行で座長や主演を務めるのは彼は初めてですが、座長としてしっかりしているかという点では、お互いに共に育つという教育でやっています。
なんせ原君は芝居に関して一生懸命で、台詞も歌もダンスもとにかく覚えるのが早い。そして彼の人格、彼なら102人のスタッフ・キャストが彼を支えてくれるのではないか という気持ちがありました。