コーヒーを飲んで帰るはずだった――取り返しのつかない「 お酒の大失敗」
2026
詩人のドンファは、恋人ジュニを家まで送り届けた際、玄関先で彼女の父と鉢合わせ、思いがけずジュニの家族と一日を過ごすことになる。初めはぎくしゃくしていたが、ジュニの家族に家や近所を案内され会話を重ねるうちに少しずつ距離を縮めていく。やがて一家が揃う夕食の席で、勧められるまま酒を口にするうち、緊張から酔いが回り、次第に気まずい雰囲気が漂いはじめる。
恋人の両親との対面から始まるドラマといえば、『ミート・ザ・ペアレンツ』(00)、『招かれざる客』(67)、『ゲット・アウト』(17)など、数々の名作が思い浮かぶ。そんな繰り返し描かれてきた普遍的な題材に、定職につかない詩人の青年を主人公に据え、酒席での言い争いというホン・サンスらしい要素を掛け合わせることで、辛くて可笑しく目が離せない“酩酊ホームドラマ”が誕生した。

『自然は君に何を語るのか』©2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
主人公ドンファを演じるのは、『旅人の必需品』(24)でイザベル・ユペール演じる主人公のボーイフレンド役を務めるなど、多数のホン・サンス作品に出演し、“ポスト・クォン・ヘヒョ”を思わせるハ・ソングク。本作で満を持してホン・サンス映画初主演に大抜擢され、自らの生き方にプライドを持ちながらも、酒の席でつい“やらかしてしまう”青年を、哀愁とユーモアたっぷりに演じ切った。突然現れた娘の恋人を迎える両親役は、ホン・サンス映画の常連であるクォン・ヘヒョ(『それから』『WALK UP』)とチョ・ユニ(『小川のほとりで』『旅人の必需品』)。実生活でも夫婦である二人は、娘の恋愛を優しく見守りながらも、ときに厳しい評価をくだす両親役をリアルに演じる。本作は、第75回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で上映され、「軽やかに酔い、鋭く刺さるホン・サンスの真骨頂(the reel bits.com)」と称賛。恋人の家族と過ごすことになった思いがけない一日を、皮肉とユーモアをたっぷりに描く本作は、身に覚えのある「あるある」の連続に引き込まれる中毒性のある一作となっている。
監督デビュー30周年記念! 5カ月連続で新作を味わう「月刊ホン・サンス」
第5弾は新作『自然は君に何を語るのか』、人気作『正しい日 間違えた日』も権利切れ特別復活!
ユーロスペースほかにて、ホン・サンス監督のデビュー30周年を記念した特別企画「月刊ホン・サンス」を開催中。2025年11月から2026年3月までの5カ月間、最新作を含む新作5本を月替わりで公開する。最終章・第5弾は、第75回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作、初対面の恋人の家族との食事の席で失態を犯す青年の一日を描く『自然は君に何を語るのか』。さらに、一部劇場限定で新作にリンクしたテーマで過去作を振り返る特集「別冊ホン・サンス」では、些細な選択の違いがもたらす二通りの結末を描く『正しい日 間違えた日』(15)を上映。日本ではすでに権利切れとなっている本作が、本企画のために特別復活上映される。登場人物たちの何気ない言動が思いがけない結果を招き、酒をめぐる小さな行動の重みが徐々に浮かび上がる――新作と旧作を続けて味わうことで、ホン・サンス映画の魅力をより深く堪能できる、贅沢なプログラムとなっている。

『自然は君に何を語るのか』©2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.

『自然は君に何を語るのか』©2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
『自然は君に何を語るのか』
脚本・監督・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:ハ・ソングク、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、カン・ソイ、パク・ミソ
2025年|韓国|韓国語|108分|カラー|16:9|ステレオ|原題:그 자연이 네게 뭐라고 하니|英題:WHAT DOES THAT NATURE SAY TO YOU
字幕:大塚毅彦 配給:ミモザフィルムズ
© 2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.







