【ダニエル・クレイグ卒業】 6代目ジェームズ・ボンドが終幕『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』

映画
ジェームズ・ボンドの活躍を描く「007」シリーズ25作目、去年から延期に延期を重ね、遂に10月1日に公開された。緊急事態宣言も解除されたことにより映画館は大賑わい、首を長くして待っていた多くのファンにとって特別な日となった。
また6代目ジェームズ・ボンドを勤めたダニエル・クレイグが今作でラストとのことで一抹の寂しさ、いや、ファンにとっては大きな喪失感を伴うのだろう。
本作からいきなり見ても十分に楽しめるが、可能であればこれまでの作品「カジノ・ロワイヤル」から前作の「スペクター」までの4作品を観ると集大成的位置づけである本作をより楽しむことができる。

あらすじ

現役を退きジャマイカで穏やかな生活を送っていたボンド。ある日CIA出身の旧友フェリックス・ライターが助けを求めにやってきたことから、平穏な日常は終わりを告げる。
誘拐された科学者を救出するという任務に就いたボンドは、その過酷なミッションの中で、世界に脅威をもたらす最新技術を手にした黒幕を追うことになるがーー。
5度目のボンドにお馴染みダニエル・クレイグ、前作「007 スペクター」からは、レア・セドゥー、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、ロリー・キニア、レイフ・ファインズらが顔を揃える。そして新たに登場する注目の美女アナ・デ・アルマス、「キャプテン・マーベル」のラシャーナ・リンチらが出演。「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ・マーキュリー役でアカデミー主演男優賞を受賞し世界にその名を轟かせたラミ・マレックが悪役として登場。

(C)2019 DANJAQ, LLC AND MGM. ALL RIGHTS RESERVED.

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今作のテーマは『復讐』『過去と未来』そして『家族』

そして、ダニエル版ジェームズ・ボンドのシリーズで一貫して描かれる“因縁”を「No Time To Die」というタイトル通り華麗に締めくくっている。
人はただ存在するだけでなくどのように生き、その時間を使い切るかーー。ダニエル版の終幕に相応しいメッセージで訴えている。
前作『スペクター』から続く陰謀を押さえつけるために命懸けのアクションを展開しながらも、ノルウェー、イタリアの世界遺産マテラ、ジャマイカ、本拠地のロンドンを舞台とした美しいロケーションムービーとしての魅力も遺憾なく発揮している。
皮肉なことにコロナパンデミックを彷彿させるような内容が描かれていたり、ラミ・マレック演じる悪役がサフィン側の持ち物や島などの多くに日本文化が散りばめられ少し複雑な心情にもなるが(ボヘミアンラプソディのフレディの印象が強いラミー・マレックの悪役には新鮮だ)、本作を手掛けた監督が日系アメリカ人とのことで、日本文化が多く使われているのかもしれない。

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またキューバでのシーンでパロマを演じたアナ・デ・アルマスの美しさには衝撃を受けた。あんなにセクシーで可愛く強いって、最強じゃない?残念なことにこの魅惑的なミューズの出番は少なく、逆にシーンの短さが後ろ髪を引かれる思いに拍車がかかる。(サクッと切り上げちゃうシーン、個人的には名シーンではないかと)

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上映時間164分はファンにとっては最高のファンサービスではあるが、筆者には冗長に感じた。今のところ本作への評価は大きく分かれているが、期待値を上げずに鑑賞すればかなり満足できる内容となっている。新たなボンドが楽しみでならない。

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007 ノー・タイム・トゥ・ダイ

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
脚本:ニール・パービス ロバート・ウェイド キャリー・ジョージ・フクナガ フィービー・ウォーラー=ブリッジ
キャスト:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ロリー・キニア、レア・セドゥー、ラミ・マレック
製作:2021年製作/164分/G/アメリカ
配給:東宝東和
原題:No Time to Die

文/ごとうまき