『五木ひろしコンサート〜よこはま・たそがれから時は流れて〜』 が大阪・新歌舞伎座にて10月3日・4日に開催された。 第1部は歌手生活59周年にちなみ、 時代を彩ったヒットソング59曲のメドレーが届けられ、 第2部では五木のオリジナルソングが展開。 1部と2部で合計75曲を披露(現在五木の年齢が75歳)。 千客万来、五木の歌声に酔いしれた。
第1部、 1時間かけて59曲メドレーをノンストップで熱唱する姿は圧巻で、音楽史を感じられる豪華な内容となっている。
1964年に発売された「あゝ上野駅」からスタート。「 シクラメンのかほり」や「サウスポー」「夢追い酒」 など70年代のヒットソングに続き、「SWEET MEMORIES 」「桃色吐息」「乾杯」 の80年代を彩った曲を、 楽曲によってはダンサーも交えながら届けられた。 90年代になると楽曲の雰囲気も変わり「SAY YES」「島唄」「LOVE LOVE LOVE」「CAN YOU CELEBRATE?」「だんご3兄弟」などが展開される。 そして2000年代からは「LOVEマシーン」「ハナミズキ」「 吾亦紅」「また君に恋してる」など、演歌歌謡からJ- POPのヒット曲が披露された。中でも2010〜20年代「 ヘビーローテーション」「R.Y.U.S.E.I」「恋」 などでは、バックダンサーとともに自身も踊りながら熱唱。 次々に展開される楽曲にも心が躍り、ステージでも、 常に挑戦し続ける五木の姿が見られた。そしてラストの59曲目は、五木が作詞作曲を手がけた「時は流れて・・・ 」で締め括られた。
「この歳で水一滴も飲まずに25〜 26曲を歌うので口パクじゃないのか、 って疑われたこともありますが(笑)、 僕はいつだってガチンコ勝負。 キーの高さも昔から変えていません。 五木ひろしが五木ひろしでなくなると終わり。見ている人が“ 昔は上手かったのにな……”と哀れんだら終わり。 そう思われるまで、僕はやり続けます。」と、 以前当メディアが行ったインタビューではコンサートに向き合う信 念と思いを語っている。
第2部のステージでは五木のオリジナル曲16曲を披露。 着流しで登場した五木は「長良川艶歌」「細雪」などを熱唱し、 真っ白なスーツに衣裳チェンジ。
「思い出深い新歌舞伎座に立つと、 まるで地元に帰ってきたような感覚です。」 新歌舞伎座での公演は1610回を超えている。 歌が好きで好きでしょうがなかった子ども時代、 苦労する母の姿を見て楽をさせてやりたいとの思いで、 歌手を夢見て16歳で上京した。 下積み時代はクラブでギターの弾き語りをして生計を立てていた時 期もあり、それが自身の転機にもなったという。 中学の頃友達から借りて独学で学んだギターは、 歌手になってから現在まで五木を支えて助けていた存在。「 よこはま・たそがれ」「暖簾」などを含む4曲は、 思い出深いギターとともに弾き語りで届けられた。
「夜明けのブルース」や五木寛之氏と制作した「 ふりむけば日本海」では観客も手拍子で盛り上がり、ラストは「 あなたに」で締め括られた。
五木は「来年で歌手生活60周年。 来年のコンサートでは60曲を届けるつもりです。 僕はこれからも進化し続けます。」と60周年に向けて意気込む。 歌謡界のトップランナーの更なる進化を目の当たりにしたコンサー トとなった。
2024年2月26日(月)・27日(火)には大阪・ 新歌舞伎座にて「三波春夫 生誕100年特別企画 三波春夫メモリアルコンサート」が開催される。五木ひろし・ 三山ひろし・市川由紀乃・辰巳ゆうと・東京力車が出演するが、 次は五木がどんなことに挑戦するのか胸が膨らむ。
取材・文:ごとうまき