【中川晃教インタビュー】ミュージカル「ジャージ・ボーイズ」大阪公演で最高のハーモニーを届けたい!

中川晃教
アーティスト
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』が11月3日(木・祝)から6日(日)まで大阪・新歌舞伎座にて上演される。
全世界を熱狂させたこの伝説のミュージカルは、「君の瞳に恋してる」 で知られる1960年代アメリカ音楽界を席巻した「ザ・フォー・シーズンズ」の成功と挫折をオリジナル・メンバー4人からの視点で描かれたミュージカル。数多の大ヒットナンバーがお芝居とともに届けられる。2016年に日本初演を、2018年に再演、そして今年4年ぶり3度目の上演となり、大阪・新歌舞伎座では2018年以来の待ちに待った再演となる。
今回は“天使の歌声”と称えられたフランキー・ヴァリをWキャストで演じる中川晃教が取材会に出席。大阪公演目前に、意気込みや作品の魅力について語った。

大阪公演に向けて

——10月29日に東京公演(日生劇場にて)を終えられましたが、無事完走されての心境は?
中川
2018年の新歌舞伎座での大阪公演から4年、やっと大阪で公演ができる!という感じです。初演のメンバー藤岡正明くん、spiくん以外は本作での大阪公演が初めてだし、大阪のお客さまから良い洗礼を受けながら、本作の魅力を旋風のごとく巻き起こせたら…。期待とワクワクが入り混じっています。
本作は音楽が中心となっているので、コンサートを見ている感覚にもなるが、同時に物語も進んでいくので観客は、より前のめりになって楽しめる作品となっている。
中川
毎回大阪での公演で感じるのは、客席から高い集中力を感じます。作品の持つ“間”やテンポ感も感じてもらえているのかなと。新歌舞伎座という和の空間で、ニュージャージー州の世界観を表現することもこの土地ならではで、とっても楽しみです。

Wキャスト花村想太さんについて

これまでは1人でフランキーを演じていた中川だが、今年からWキャストで花村想太が出演。オーディションによって第二のフランキーを勝ち取った。中川率いるチームBLACKと花村率いるチームGREENの2チーム制で構成されている。
——待望の第二のフランキーが現れましたが、歌い方など含めどのように感じていますか?
中川
僕はこの作品を多くの方に愛してもらい、長く続けていきたいと初演から思っていました。やっともう1人のフランキー・ヴァリ、花村想太くんに出会えた!という喜びの中やっています。これも一つの“奇跡と軌跡”です。花村さんの歌を聴いたとき、新たな「君の瞳に恋してる」が生まれた!と感動しました。
中川
また本作では高音を出し続けます。ナンバー数も30曲以上、セリフも多いんです。これを初演、再演は1人でやっていたのかと、今振り返ると、自分を褒めたくなりますね(笑)。この4年間“トワング“という独特の発声に磨きをかけてきました。花村さんのおかげで思う存分フランキー役を演じきれています。
——客席から花村さんのフランキーを見て、どのように感じましたか?
中川
私は、これまでシングルキャストだったため、今年やっと客席から、プレビュー公演の初日を観劇することができました。同じ役、同じ歌、同じ声とテクニックを表現する相手を見ると沢山の発見があるんです。見方を変えると、見えなかったものが浮き彫りに。花村さんにとっては初めて演じる役で、とてもプレッシャーを感じているようなので、壁を作らず、優しく声をかけ対話するように意識しています。
1人では感動を生むことができないことを実感していると話す。

愛、仲間、普遍的なテーマが描かれている

——客席から見て改めて気づかれたことは?
中川
脚本が素晴らしいことを改めて気付かされました。誰もが共感できるストーリーで、4人それぞれの人生を描きながらも誰もが共感できるテーマが集まっている。そして最後はみんな立って、手拍子して、踊りたくなるような演出。ライブ感や高揚感も感じてもらえるのではないのでしょうか。

チームBLACKは成熟さ、チームGREENはフレッシュさ

——それぞれのチームの良さや魅力は?
中川
チームGREENの花村想太さん、尾上右近さん、有澤樟太郎さん、spiさんが肩を並べるのはミュージカル界において、とても新鮮なこと。本作はフランキー・ヴァリの16歳の頃から始まり、晩年60代近くまで演じるのですが、根底には仲間の友情や愛が流れています。この4人がフレッシュに演じてくれている。一方で、僕たちのチームBLACKは、チームGREENに比べると少し先輩なので、成熟感や深み、経験を経た4人のハーモニーや友情を感じてもらえたら。

チームGREEN【写真提供:東宝演劇部】

チームBLACKは藤岡正明がいないと成立しない
さらにチームBLACKではトミー・デヴィートを演じる藤岡正明が音楽面で大きな存在であると中川は言う。
中川
音楽のことに関しては、彼がいないと成立しないというくらいに大きな存在です。ハーモニーの楽しさに気づくまでの過程が大変で稽古も厳しい。藤岡さんは声の出し方やリズム感など専門性を大切にし、理論的にレクチャーしてくれる、初演から心強い存在です。

チームBLACK【写真提供:東宝演劇部】

中川さんにとって本作が特別な理由

——改めて本作の魅力を教えてください。
中川
ミュージカル界において、ジュークボックスミュージカル(カタログミュージカル)として大きな影響を与えている作品です。さまざまなミュージカルがある中でも本作は歌の曲数が多い。そして物語の中に数々のヒット曲が頻出します。まるで歌番組、ショーを見ているような感じ。その中でお芝居も繰り広げられ、さらに4人のハーモニーも見せ所。苦労は多いですが、その山を越えた時の達成感は格別なものがあります。他のミュージカル作品では味わえない特別なものがあります。
「君の瞳に恋してる」などのヒット曲が生まれた背景を知ることができるのも本作ならではの醍醐味、ライブとお芝居のバランスも魅力的だ。
——3度目のフランキーを演じる上で共感する部分や新たな発見はありますか?
中川
例えばフランキーが娘を失うシーンがあるんですが、2016年に演じた時は想像でしかなかったのですが、人生経験を経て、自分自身も感じ方が変わってきました。他にも、ふとした瞬間に共感する部分は多くあります。そんな時にこの作品と出会えて良かったと感じます。きっとお客さまも同じように共感してくださるのかな、と。
——大阪公演期間中の11月5日に40歳の誕生日を迎える中川さん、40代に向けての抱負などを聞かせてください。
中川
フランキー16歳の頃からを演じるのですが、 40歳前の自分が16歳の役を演じられるのかな?といった不安が最初はありました。だけど意外と演じられるし、初々しさは忘れたくないと思っています。私は18歳でシンガー・ソングライターとしてデビューし、約20年間ミュージカルをやらせてもらっています。デビュー当時はここまで長くミュージカルをやり続けているなんて想像もしていなかったし、ミュージカルにいろんなことを教えてもらっています。同じ役、同じ作品を重ねれば重ねるほどに最高を目指したい、明日もその最高を超えたいという気持ちでいます。40代に入っても更なる高みを目指し、そこに夢や希望、喜びを持ち続けたい。フランキーも88歳、いまだにあの声で歌われているので、僕も彼のように一生歌い続けていきたいです。

【写真提供:東宝演劇部】

——最後にメッセージを!
中川
4年ぶりの4日間の公演、来てくださったお客さまに「また来たい!」と思ってもらえるように、一公演、一公演に魂込めて最高の舞台を作っていきたいと思っています。そして、その瞬間にお客さまにも立ち会ってもらいたい。足を運んでいただけることを心から願っています。私たちも最高のハーモニーを届けますので楽しみにしてください!
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は大阪・新歌舞伎座にて11月3日(木・祝)から6日(日)まで。

公演概要・チケット

ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』
公演期間 2022年11月3日(木・祝)~6日(日)
料金 (税込)
S席(1階・2階正面) 14,000円
A席(2階左右・2階正面最後列) 9,500円
B席(3階) 4,500円

日程・上映時間

日付 曜日 12:00 17:00
11/3 木・祝 GREEN BLACK ♪
4 GREEN
5 BLACK GREEN
6 BLACK

チームBLACK(中川晃教、藤岡正明、東啓介、大山真志)
チームGREEN(花村想太、尾上右近、有澤樟太郎、spi)

♪=アフタートークショー(ザ・フォー・シーズンズとボブ・クルー)
登壇者:中川晃教、藤岡正明、東啓介、大山真志、加藤潤一
※登壇者変更の可能性あり。

チケットミュージカル「ジャージー・ボーイズ」 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 ミュージカル・ショーのチケット購入・予約] (pia.jp)

新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(10:00~16:00)

取材・文/ごとうまき