『三日間の幸福』『恋する寄生虫』などで若い世代から熱い支持を集める作家・三秋縋の小説『君の話』が実写映画化され、11月27日(金)より全国公開される。主演は北村匠海、ヒロインに出口夏希。監督は『四月の永い夢』でモスクワ国際映画祭・国際映画批評家連盟賞を受賞した中川龍太郎、脚本はNHK連続テレビ小説「虎に翼」の吉田恵里香が手がける。
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“偽物の記憶”から始まる恋
舞台は、記憶を消したり、理想の記憶を作ったりできる少し先の未来。家族との過去に傷つき、人を避けるように生きてきた大学生・天谷千尋(北村)は、つらい記憶を消す薬「レーテ」を服用する。ところが目覚めると、会ったこともない幼馴染・夏凪灯花(出口)と過ごした日々の記憶が残っていた。
クリニックでは、理想の記憶を作る別の薬が誤って処方された可能性を告げられる。偽物と分かっていても、鮮やかによみがえる初恋の記憶を消せずにいる千尋。そんなある日、記憶の中にしかいないはずの灯花が現実の千尋の前に現れ、隣の部屋に住み始める――。
記憶が作られたものだとしたら、そこから生まれた「好き」という感情も偽物なのか。記憶とは何か、人を愛するとは何かを問いかける純愛ラブストーリーだ。

©2026「君の話」製作委員会
実力派と注目株がそろったキャスト
千尋の大学の同級生・江森役には、Aぇ! groupの佐野晶哉。連続テレビ小説「風、薫る」への出演など、俳優としても活躍の場を広げている。高校時代の同級生・桐本役は、Netflix「グラスハート」のヒロインで注目を集めた宮﨑優。千尋が消したいと願う過去に深く関わる父親役を、原田泰造が務める。
企画・プロデュースの小岩井宏悦氏は、原作刊行直後に映画化をオファー。実現まで8年を要したが、「8年かかったからこそ今のキャスティングが叶った」と振り返る。久しくラブストーリーから離れていた北村が今作の試みに共鳴して参加したことや、出口の正確かつ表現力豊かな芝居に驚かされたことも明かしている。

©2026「君の話」製作委員会
関西弁の江森、神戸ロケ――関西ゆかりの見どころも
ロケは神戸を拠点に、北関東などでも行われた。SF的な世界観を東京で撮ると日常の風景に埋もれてしまうと考えた中川監督が、「最初から東京以外で」と希望したという。
兵庫県出身の佐野が演じる江森は、台本では標準語だったものの、撮影初日に監督の提案ですべて関西弁へと変更。「一気に芝居がナチュラルで柔らかくなった」と監督は語る。関西の観客にとっては、親しみやすさを感じられる見どころの一つになりそうだ。
原作では千尋と灯花の視点に分かれて描かれる物語を、映画では主要人物4人が密接に関わり合うよう再構成。千尋・灯花・江森の3人で飲みに行く場面など、映画ならではのアンサンブルが物語に広がりをもたらしている。

©2026「君の話」製作委員会
Mrs. GREEN APPLEの書き下ろし主題歌「本と彗星」
主題歌は、Mrs. GREEN APPLEが本作のために書き下ろした新曲「本と彗星」。制作陣からの「希望が伝わる楽曲に」というリクエストに応え、壮大で温かな光を感じさせるナンバーとなっている。エンドロールには千尋と灯花のスチール写真が流れ、物語の余韻に最後まで浸れる構成だ。
【筆者感想】切なくも温かい、人を愛することの尊さ
酸いも甘いも経験してきた大人の自分が、こんなにも美しく儚い純愛を観てしまっていいのだろうかと、少し申し訳なくなるほど。照れくささで直視できない瞬間もありつつ、気づけば10代の頃のような瑞々しい気持ちでスクリーンに見入っていた。
神戸ロケということもあり、見知った景色がスクリーンに映るたびに思わず口元が緩んでしまいました。圧倒的な映像美と、切なくも美しい物語に心がじんわりと温まる。少し肌寒くなってきたこれからの季節に、まさにぴったりの作品だ。
人を好きになること、そして誰かに好きになってもらえることが、どれほど尊いことなのか。大切な人と過ごすなかで自分自身も変わっていき、誰かに愛され、必要とされた過去が、これからの人生を支える大きな糧になる――。そんな普遍的で温かいメッセージが、静かに心へ染み渡る一作となっている。
【作品情報】 『君の話』 11月27日(金)より全国公開
出演:北村匠海、出口夏希、佐野晶哉(Aぇ! group)、宮﨑優、原田泰造
監督:中川龍太郎
脚本:吉田恵里香
原作:三秋縋『君の話』(ハヤカワ文庫)
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「本と彗星」
配給:松竹 ©2026「君の話」製作委員会
文:ごとうまき






