由美かおる49年ぶりの銀幕復帰!がん闘病中のプロデューサーが贈る、魂の再生の物語
春のやわらかな日差しに包まれた大阪。万博の理念である「誰もが幸せに生きる社会」に共鳴し、大阪府観光局の全面バックアップのもと、映画『小春日和〜Indian Summer〜』の製作発表記者会見が行われた。
本作は、多発性骨髄腫という難病と闘いながら、現役の精神科医・女優として活動する楠部知子が企画・プロデュースを務めるヒューマンドラマだ。「がんを公表し、落ち込むのではなく『今、何ができるか』を考えた」と語る楠部の熱意に、日本映画界のレジェンドや実力派キャストが集結した。
レジェンド・由美かおるが「おばあちゃん役」で魅せる新境地
会見の目玉となったのは、実に49年ぶりの映画出演となる由美かおるの登壇だ。15歳でデビューして以来、第一線を走り続けてきた彼女が本作で演じるのは、主人公を厳しくも温かく見守る「鈴子ばあちゃん」。
「今までは若い役ばかりでしたが、年を重ね、高齢者の方々の気持ちが分かるようになってきた今、このお話をいただき感激しています」と、満面の笑みで語った。自身のトレードマークでもあった若々しいイメージを封印し、あえて「おばあちゃん」という役にチャレンジした決め手は、作品に流れる「真実の愛」だったという。
「人は人を助けなければいけない。本当のことを言ってあげる人が必要なんです」と語る彼女の言葉には、長いキャリアを支えてきた根底には愛があった。さらに、自ら志願してレコーディングに臨んだという主題歌「とまり木」についても、「歌手・由美かおるとして、この一曲に全てを賭けています」と並々ならぬ意気込みを見せた。

「一歩の重み」を伝える実力派キャストの共演
主人公・小春を演じるのは、本作の共同プロデューサーも務める水村美咲。10年来の知人である楠部からのがん報告と映画製作の相談を同時に受け、「即答で引き受けた」と振り返る。「弱音を吐かない楠部さんの力強さを小春に重ねた」という彼女の演技は、困難に直面する多くの観客の背中を押すだろう。
また、末期がんの妻を持つ夫を演じる国木田かっぱは、「病気になった本人だけでなく、支える家族の不安や葛藤も、暗くなりすぎずリアルに描きたかった」と役柄への想いを語った。
監督・松本動が抱いた「覚悟」
メガホンを取った松本動監督は、当初このオファーに頭を悩ませたという。「楠部さんの体調を考えると、数ヶ月先の保証もない。責任は重大だった」と明かす。しかし、企画段階から密にコミュニケーションを重ね、信頼できるチームを構築。「今ではこの作品を引き受けて本当に良かった」と自信を覗かせる。
本作は、がんという重いテーマを扱いながらも、決して絶望を描く物語ではない。小春が家を飛び出し、看護助手として働く病院で出会う人々——明るく前向きに闘病する女性3人組「キャンサーズ」や、自分らしい最期を選択する患者たちとの触れ合いを通じ、「どう生きるか」を模索していく群像劇だ。
明日への一歩を踏み出すために
会見の最後、登壇者たちは映画ファンに向けてメッセージを送った。
「足踏みもまた、一歩。動き続ければ必ず笑顔で会える日が来る」(水村美咲)
「困難は幸せを感じるためのステップ。笑顔で向かい合えば乗り越えられる」(国木田かっぱ)
「愛こそがいかに大切かを感じてほしい」(由美かおる)
精神科医である楠部プロデューサーが「人生に前向きになれるメッセージ」を込めて、治療と並行しながら作り上げた本作。2026年5月16日より大阪にて先行ロードショー、その後、池袋シネマ・ロサほか全国で順次公開される。
混沌とした現代において、お互いを認め合い、自立して生きることの尊さを問いかける本作。劇場の暗闇の中で、あなた自身の「小春日和」を見つけてほしい。
映画『小春日和〜Indian Summer〜』
出演:水村美咲、千原ゆら、由美かおる、柴田理恵、佐野史郎、国木田かっぱ ほか
監督・脚本:松本動
企画・プロデュース:楠部知子
公式HP:koharubiyori-movie.com
文・撮影:ごとうまき