お笑いコンビ「アキナ」の山名文和が、ファン待望の初エッセイ『しあわせは小走りでやって来る』(ヨシモトブックス)を2026年6月9日(火)に発売する。これに先駆け、6月7日(日)に大阪・HMV&BOOKS NAMBAにて出版記念イベントが開催された。ゲストには山名文和の妻であり、吉本新喜劇の宇都宮まきが登壇。第一部・第二部ともにチケットが即完売する大盛況となったイベントの前に囲み取材が行われた。
完璧な表紙に隠された「パンのようなエッセイ」へのこだわり
イベントに登場した山名文和は、完成したばかりの書籍を手に取り「素晴らしいです。本当にめっちゃ嬉しい」と満面の笑みを見せた。表紙を手掛けたのは、犬の画集などを数多く出版している、くまおり純。山名が「どこからどう見ても完璧」と絶賛する表紙は、帯を外すと愛犬の足跡や綿毛が飛んでいるような、遊び心のある演出が施されている。
日々、机に向かって言葉を紡いだ山名。エッセイの執筆について、独特な表現でその魅力を語った。
「毎日書いてると、日記じゃないですけどめっちゃ腹立ってること書いてる時は文章にすっごい棘が出て、気持ちが優しい時、優しいことを書いてる時はすごく優しい文章になり、後で読み返した時に改めて気づかされる。その日の天候や湿度、気温で焼き具合が変わる『パン』のように、日々の変化がそのままエッセイの味になっている」
妻・宇都宮まきが読んではずかしくも号泣した理由
一足先に本書を読んだ宇都宮は、「すごく素敵だな、いいなと思って気づいたら感動して泣いてたんです」と大絶賛。しかし、涙した理由を尋ねられると、新喜劇女優らしいユーモアを交えて会場を笑わせた。
「どこで泣いたかっていうと、この64ページの『結婚』っていうところで泣いた。結局私は自分のことが大好きなんだなと再認識した(笑)。自分のこと書いてくれてるところで感動して泣くなんて」
そんな宇都宮だが、山名の執筆中の姿は一度も見たことがなかったという。相方のアキナ・秋山賢太が休養していた5ヶ月間、劇場出番の合間などを縫って、近所の“大富豪”から借りた勉強部屋や喫茶店にこもって集中していたという。
宇都宮は「家に帰ってきたら、子どもたちと全力で遊んでくれるし、私ともいっぱいしゃべったり。本が出来上がった時、いつの間に書いたん!?と余計に感動したし、そういう姿を見せずにいつも元気で明るいパパでいてくれたので、すごいかっこいいなと思いました」と、夫へのリスペクトを語った。
さらに、山名の繊細な感性についても言及。「子どもの頃の出来事に対する気持ちの動き方とか、よくそんなことを覚えているなということも鮮明に書かれていた。感受性が強い。だからこそ、今の子育てでも子どもに対して私ではできない寄り添い方をしてるので、そこをすごい尊敬するところ」と、良き父親としての素顔も明かした。

イベントの様子
愛犬「おまめ」を迎え入れた記念日に贈る、すべての層に届く一冊
本書のベースとなったのは、WEB連載『芝居のライフ』で書き続けてきた、愛犬である保護犬・柴犬の「おまめ」との暮らしである。サボってしまった時期もあったというが、約3〜4ヶ月の本格的な執筆期間を経て、おまめを家に迎え入れた記念日である「6月9日」の発売に向けて一冊にまとめ上げられた。
「これまでの人生、M-1大滑りとかね、うまくいくかと思いきやどっかで頭を打つみたいなことばっかりで、本当に思い通りになっていない連続やった」と自身の歩みを振り返る山名。
「漠然と中学、高校ぐらいから幸せになりたいなと思って、幸せになるってなんやろなというのをずっとぼんやり数十年間考えてきた。犬を引き取り、結婚して、子どもができた過程の中で、お金とか物質的なことじゃない、ささやかな日常の中に『あ、こんなんで全然幸せなんや』と思える感覚を持てた。そんな気持ちを本に込めた」
最後に、記者から「今回の本に関しては思い通りに上手くいきましたか?」と問われると、山名は力強く答えた。
「完璧だと思います!生まれて初めてうまくいった(笑)。犬を飼っている方はもちろん、犬に全然興味ない方、学生さん、年配の方まで、すべての層にフィットする本」
日々の中で「幸せってなんだろう」と感じているすべての人に、小走りで温かい感動を届けてくれる一冊となっている。
取材・文・撮影:ごとうまき