伝説のロックスターと孤独なシンガーが時を超える――小池徹平が挑む、日本初演の超熱狂的グラムロック・ミュージカル『ETERNITY』

インタビュー
2024年、2025年と韓国・大学路(テハンノ)で上演され、客席を熱狂と涙で包み込んだ“永遠のグラムロック・ミュージカル”『ETERNITY』が、2026年夏、ついに日本初演を迎えます。1960年代の伝説的グラムロックスター「ブルードット」と、現代でロックスターを夢見る孤独なシンガー「カイパー」。
交わるはずのない二人の世界を、たった一枚のレコードが時を超えて繋ぐ斬新な物語。
今回は、数々の話題作で圧倒的な存在感を放ち続け、本作で小西遼生さんとWキャストでブルードットを演じる小池徹平さんが取材会に出席。
本格的なお稽古が始まる前日というタイミングで、韓国での観劇エピソードから、役へのアプローチ、そして40代を迎えた今、本作に挑む熱い想いをたっぷりと語っていただきました。

本場・韓国で体感した『ETERNITY』の鼓動「客席と一体になる、新しいジャンルの演劇」

――今年1月、演出の河原雅彦さんとともに韓国へ実際に再演を観に行かれたそうですね。現地での体験はいかがでしたか?

小池
本当に贅沢な時間を過ごさせていただきました。観劇する前に現地のキャストの方々にお会いしてお話を伺ったり、実際に終演後の舞台に上がらせてもらったりして。劇中に登場する『スタイロフォン』という珍しい楽器があるのですが、「ちょっと触らせてください!」とおねだりして触らせてもらいました(笑)。日本版の幕が開く前に、作品の“鼓動”に直接触れられるような素晴らしい体験ができ、仕事ではありつつも至れり尽くせりの贅沢な旅になりました。そこで作品の深さや面白さ、楽曲の素晴らしさを肌で感じて、「これを日本で、このキャストでできるんだ」と、すごく想像が膨らみましたね。

――言葉の壁を超えて、特にどのような部分に魅力を感じられましたか?

小池
全編韓国語だったので、台詞の細かいニュアンスまでは完全には分からなかったはずなんです。でも、自分の体感としては「8割がライブで、2割が芝居」というくらいの比率に感じられるほど、ロックライブを観ている感覚に近かった。ロックスターであるブルードットがパフォーマンスをするシーンでは、観客の皆さんも本当に彼のライブを観に来たファンの一員になっていて、会場全体がものすごい熱量で巻き込まれていくんです。言葉が分からなくてもこれだけ熱くなれる。ミュージカルファンの方はもちろん、普段ロックライブに行くのが好きな方でも絶対に楽しめる、新しいジャンルの演劇だなと確信しました。

――ビジュアル撮影の際、日本版オリジナルのこだわりも感じられたとか。

小池
そうなんです! 韓国版のブルードットは金髪のロングヘアという印象が強かったので、僕もてっきり金髪にするのかなと思っていたんです。でもビジュアル撮影に行ってみたら、ちょっと赤みがかった、肩くらいの長さのウルフヘアのような方向性になっていて。どこかデヴィッド・ボウイや、THE YELLOW MONKEYの吉井和哉さんのような、あの時代のロックスターを彷彿とさせる仕上がりでした。演出の河原さん自身、グラムロックが本当に大好きな方なので、日本版オリジナルのブルードットを作ろうとされている意図とこだわりがビジュアルの段階から強く伝わってきました。ここからお稽古を経て、役がどう変化し進化していくのか、僕自身もすごくワクワクしています。

華やかなスターの裏にある「孤独」――かつて15歳で上京し、強がっていた自分を重ねて

――ブルードットはステージではカリスマですが、心に深い孤独を抱えているキャラクターです。ご自身と重なる部分や、共感できるものはありますか?

小池
ブルードットは両親から虐待を受けて家を飛び出したという、非常に繊細な傷を持った人物です。僕自身の家庭環境とは逆ではあるのですが……でも、「自分の意志で家を飛び出すように上京した」という点では、彼に通じる繊細な感情の動きが理解できる気がしています。
華やかなロックスターとしての立ち振る舞いはもちろんですが、彼を作る上で最も重要なのは、その裏にある孤独や、アーティストとして紡ぐ歌詞に現れる繊細な部分だと思うんです。そこへ向けて、自分が上京して一人きりになった当時の記憶や感情を、無理のない範囲でうまくリンクさせて、丁寧に役へ寄せていきたいなと思っています。

――デビュー当時の小池さんはまさに“王子様”のような輝きを放たれていましたが、大阪からお一人で出てこられた当時は、やはり孤独や寂しさと戦っておられたのでしょうか。

小池
やっぱり寂しかったですよ。「自分が東京に行きたい」と言って出てきた手前、親に「寂しい」なんて絶対に言えなかったですしね。当時はまだ15、16歳でしたけど、すごく強がっていました。特に母親が心配性だったので、よく連絡をくれるたびに「大丈夫だよ、元気でやってるよ」って、あたふたした生活をごまかしながら伝えていました。「ここで弱音を吐いたら負けだ」と思っていましたから。
でも、そんな寂しさ以上に、芸能界という場所での毎日は刺激的でした。転校した学校には、同じ年齢で同じように夢に向かって頑張っている仲間たちがたくさんいて、彼らの存在にものすごく救われました。その時のちょっと意地を張って強がっていた感覚や、仲間に救われた絆のようなものは、今回の役を作る上でも重なってくるかもしれません

40代の幕開け、守りに入らず攻め続ける。舞台だからこそ生まれる“生き物”の熱量

――小池さんは今年1月に40歳を迎えられました。気持ちの面での変化はありますか?

小池
20代、30代、40代と、それぞれ人生の節目があると思います。僕が40代になって一作目として出演させていただいたのが、ついこの間まで上演していたミュージカル『どろんぱ』だったのですが、刀を使った激しい殺陣もあり、がっつり歌うという、体力をものすごく使うハードな作品だったんです。「40代一発目でこれだけ動けるなら、守りに入るんじゃなくて攻めていけ!」と、作品からエネルギーをもらったような感覚がありました。
そこで勢いがついた中、今回また、日本版のオリジナルキャストとして新しいミュージカル『ETERNITY』にチャレンジさせていただける。40代は「どんどん新しいことに挑戦していきなさい」と言われているような気がして、今はとにかくワクワクしています。

――最後に、大阪公演(箕面・東京建物 Brillia HALL)を楽しみに待っているファンへメッセージをお願いします。

小池
映像作品はカメラに向けて1回のワンシーンに集中力を爆発させる面白さがありますが、舞台の醍醐味は、客席に足を運んでくださるお客様に向けて、生身の人間が100%のパフォーマンスを届けることにあります。その日その日で生まれる感情の溢れ方や、ちょっとしたハプニングも含めて、同じ公演は二度とない“生物(なまもの)”の良さがあります。
特にこの『ETERNITY』は、東京から始まって、さらに進化を遂げた状態で僕の地元でもある大阪へと繋がっていきます。ものすごく熱い、ライブのような感覚を味わえる作品です。お客様もぜひ、ブルードットの熱狂的なファンになったつもりで客席に参加してください。声を出していただいてもいいですし、ペンライトを大きく振って応援してくださったら、僕もめちゃくちゃテンションが上がります! ぜひ劇場に遊びに来てください。お待ちしています!

公演情報
ミュージカル『ETERNITY』
大阪公演:2026年8月8日(土)〜8月9日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL 箕面(箕面市立文化芸能劇場)大ホール
出演:小池徹平、小西遼生(Wキャスト) / 小野田龍之介 伊藤あさひ(Wキャスト) / 美弥るりか

取材・文・撮影:ごとうまき
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