【本編全てiPhoneで撮影】台湾発のラブコメディー『恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター』

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映画

「花束みたいな恋をした」を彷彿させる台湾ラブコメ

本作は潔癖症で強迫性障害を持つ男性が同じ病をかかえる女性と出会い恋をする物語。カラフルでポップな色調や音楽からハッピーエンドなラブコメディかと思いきや、まさかの大どんでん返しが繰り広げられる。本作から見えるのは人間の弱さと脆さ、はたまた愛を継続させることがいかに難しいかといった難題を私たちに突きつけてくる。

 

私は鑑賞の途中から思った。あぁ、これはまさに台湾版の「花束みたいな恋をした」なんだと。サブカル好きの二人の男女の出会いから別れを描いている「花恋」は、恋愛を美化させない“現実的なストーリー”が現代を生きる私たちの琴線に触れて大ヒットを巻き起こした。サブカルを共通点に二人の恋が始まった「花恋」に対して、本作は“強迫性障害”が二人の恋が始まる切り口となっている。しかし本作の方が、恋の終止符、人の気持ちの移り変わりや、恋をすると盲目になる人間の弱さと愚かさを残酷に描き出し、人によっては過去の失恋による古傷がキリキリと痛むかもしれない。

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恋愛は共通点の探り合いから始まることが多い。共通の趣味、価値観が同じといったことは恋愛する上での重要なポイントとなり、はじめはそれだけで好意を抱きやすい。そんな“共通点”は二人の恋愛が始まり関係が深まることで、より結束力を強めることにもなる。しかし“共通点”だけで始まった恋は驚くほどに脆く、崩れやすく、呆気なく解れてしまうもの。

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物語は後半から一転、シリアスな世界へ移り変わる。

iPhoneで撮影したと思わせるような、縦の画角から始まる物語。そう、本作は全編をiPhoneで撮影しているという。画角が変わった時が物語の切り替わりだ。このように映像効果を巧みに駆使してストーリーを表現しているところも本作の魅力。

相手の幸せを願い、相手の幸せを喜べるような相手が愛する人だとよく言われているけれど、実際そんな相手に出逢えるのって一生の中でほんの僅か。恋愛をする人の多くが恋に恋していたり、実は自分のエゴが剥き出しだったり、はたまた恋してる自分に酔ってるだけだったりもする。

そんな“気付き”をもたらしてくれる本作、ラストの展開はある意味衝撃的かもしれない。菅野美穂似の主演の女優さんが可愛くって癒される。是非ご賞味あれ。

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恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター

監督:リャオ・ミンイー
キャスト:リン・ボーホン、ニッキー・シエ
脚本:リャオ・ミンイー
製作:2020年製作/100分/G/台湾
配給:エスピーオー、フィルモット
原題:怪胎 I WeirDO

文/ごとうまき