【全てのおばあちゃんに捧ぐ】アカデミー賞有力!『ミナリ』

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24
エンタメ

日本で3月19日に公開された『ミナリ』は第93回アカデミー賞で6部門にノミネートされている。主演男優賞ならびに助演女優賞では歴史に残る偉業が期待されており、アカデミー賞最有力候補作品とされている。

本作は、1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家が理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた心温まる家族映画。

 

動画でも本作の解説をしています。文面ではなく動画で見たい方はコチラ↓

今を時めくA24とPLAN Bの最強タッグ

『ムーンライト』や『レディ・バード』など話題性と作家性が強く、今やオスカーの常連となったスタジオ「A24」と、『それでも夜が明ける』でエンターテイメントの定義を変えたブラッド・ピットの「PLAN B」が、リー•アイザック・チョンの脚本にほれ込み、タッグを組んだ。これだけでも期待大である。低予算ながらも、各国の映画祭の観客賞及びアカデミー賞®へと続く重要な賞を次々とおさえた。

君の名は。のハリウッド実写版を手がける監督がメガホンをとった

そんな家族の希望に満ちた温かいドラマを父には「ウォーキング・デッド」シリーズのスティーヴン・ユァン。監督は、『君の名は。』ハリウッド実写版を手掛けることでも話題のリー・アイザック・チョン。

あらすじ

主人公は、アメリカにやって来た韓国の移民家族。農業で成功することを夢見る父、現実的な妻モニカ、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見出すが夫婦は喧嘩ばかり。子どもたち二人で留守をさせるわけにもいかず、韓国から祖母(モニカの母)を呼び寄せ、3世代の生活が始まるも、一家に降りかかる数々の困難と事件。理不尽かつ不条理な運命に倒れてもまた立ち上がり、人生は続いていく。

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

 

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タイトルのミナリとは

タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)。たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められており、本作は親子の愛情を描いた作品である。

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

見どころ~本作のカギを握るのはおばあちゃん~

字が書けない、花札が好きで破天荒で毒舌なおばあちゃんが本作でのキーパーソン。長男のデイビッドとの二人の絆が見どころである。おばちゃんとの生活によって家族がどのように変わっていくか、揺れ動く夫婦の関係、姉弟の絆、おばあちゃんと孫との愛、そして韓国移民とアメリカ人との関係性。おばあちゃんの行いによって物語は良くも悪くも進んでゆくのだが・・・。

スンジャおばあちゃん演じるユン・ヨジョンは「藁にもすがる獣たち」でも名演技を披露している。 Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

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人種差別などの描写はない

移民の話と聞くといじめや人種差別などマイナスなイメージが浮かぶかもしれないが、本作はそのような嫌な描写は一切ない。むしろ、数々の困難に陥る韓国移民一家を支えている。

家族とは何か、幸せとは何か、そして生きるとは何か、を改めて問う心温まる作品なのである。

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

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期待しすぎずに鑑賞しましょう。

韓国映画界の勢いが止まらない!パラサイト半地下の家族に続きアカデミー賞有力候補と言われている本作は、アカデミー賞作品賞含む6部門にノミネートされている。本作は筆者は高評価をしているが、低評価も多くつけられている。淡々と家族の日常が描かれているため、見る人によっては非常に退屈に感じるのかもしれない。低評価をつけている人の多くにアカデミー賞有力候補と騒がれているため、期待値を上げての鑑賞で、余計にガックリしたのかもしれない。分かり易いエンタメではなく、文学的かつエモーショナルに、じわじわと感動が押し寄せる。特にデイビッドの成長と彼のおばあちゃんへの愛情を現す描写にはグッとくるものがある(個人的には小学校の国語で習う「もちもちの木」の物語を彷彿させた)。そしてあの映像美とデイビッド演じるアラン・キムの無邪気で可愛い姿には誰もが否定はしないはず。

誰もが大切に想う人、子供の頃に自分を愛してくれた誰かを思い出すのではないだろうかーー。

Photo by Melissa Lukenbaugh, Courtesy of A24

ミナリ
監督・脚本:リー・アイザック・チョン
キャスト:スティーブン・ユァン、ハン・イェリ、アラン・キム、ノエル・ケイト・チョー、ユン・ヨジョン
製作:2020年製作/115分/G/アメリカ
原題:Minari
配給:ギャガ
文/ごとうまき