【ロングインタビュー】デビュー10周年!三丘翔太「歌を通して日本の風景を愛おしく感じて欲しい」

アーティスト

昭和歌謡の魅力を届ける“懐メロボーイ”と異名をとる三丘翔太が、2024年10月16日に10枚目のシングル『ゆうなぎの唄』をリリースした。今作は、ヨナ抜き音階を用いたメジャーワルツの抒情歌で、海辺に暮らす人々の営みを情感豊かに歌っている。
関西プレスに初登場となる三丘さんに、新曲のこと、プライベートについてなど沢山聞きました。独特な世界観が魅力の三丘さん。ユニークでマイペースな人柄が溢れるインタビューとなりました。

MVのロケ地は高校時代の思い出の場所

── 今作はヨナ抜き音階(ファとシを抜いた音階)が用いられており、昭和初期の唱歌、叙情歌のように懐かしさが感じられます。

三丘
僕自身、以前からこのような曲を歌いたくて今回作っていただきました。日本は海に囲まれた国ですから、至る所に海辺の街の風景があります。また、海辺で生まれ育ったことのない人も旅で必ず目にする機会があると思うので、この歌で海辺の風景、日本の風景をリアルに感じてもらえたら嬉しいです。

── 三丘さんも静岡生まれの横浜育ちとのことで、ご自身も幼少期から海辺の街に馴染みがありますよね。

三丘
10歳から横浜に住んでいますが、僕が育った街は金沢八景の漁師町。海の匂いが感じられるところで育ちました。だけど僕、泳げないんですよ(笑)。
ちなみにMVは葉山で、日没ギリギリで撮ったものです。なんとここ、高校生の時によく行っていた場所で、友達の実家がすぐ近くにあるんですよ!まさかここで撮るとは思いませんでしたし、懐かしい気持ちで撮影に臨みました。

── 歌う上で意識されていることは?

三丘
感情的にならずにシンプルに歌うことを意識しています。口角を上げずに、自然に歌うことをレコーディングでも心がけました。

── 作詞の前田たかひろ先生に書いていただくのは初めてとのことですね。

三丘
はい。前田先生はこれまでにJ-popの曲を沢山書いておられる方です。なので、独特な言葉選び、違った視点で日本の風景を捉えられているなと、歌詞をいただいた瞬間に感じました。

── 三丘さんの“ゆうなぎ”にまつわる思い出はありますか?

三丘
金沢八景にかかる橋があって、夕暮れどきになると富士山が見えるんです。その風景が本当に美しくて。学校からの帰り道、その橋を渡って富士山を見ていました。

『困るのよ』は今回もレッスンを受けずに収録

── カップリング曲『困るのよ』は前作のカップリング曲『捨てられないの』の流れを引き継いだ曲となっています。今作はまた違った物語になっているのでしょうか?

三丘
どうなんでしょうね。違うような気もしますが、同じ街にいそうですよね。だけど、穏やかな『ゆうなぎの唄』を聴いてから、ムード歌謡『困るのよ』を聴くとビックリしますよね(笑)。このギャップに自分でも驚きます。でも、“困るのよ”って普段皆さんがお使いの言葉だと思いますし、それを見事に、さくらちさと先生と水森英夫先生に歌にしていただきました。僕自身あまり詞の世界には入らないのですが、歌っていると心地がいいです。「こまるのよ♪」って、無責任に歌っている感じで(笑)。

── 『捨てられないの』はレッスン受けずにすぐにオケ録りされたとのことですが、今回は?

三丘
今回もレッスン受けずに録りました。僕自身ムード歌謡が好きなのもありますし、今回は特に自然に入ることができました。そのまま入った方が作りすぎずに良いのかなと思います。

鳥羽一郎さんの歌を通して世界が広がった

── “懐メロボーイ”と呼ばれている三丘さん、1000曲以上のレパートリーをお持ちとのこと。

三丘
デビューの時に数えたのが1000曲なので、あれから10年経って、いろんな歌にチャレンジしたのでもっと増えています。数え直してはいませんが(笑)。

── ご自身が一番影響を受けた曲は?

三丘
やっぱり生まれて初めて歌った演歌『孫』は外せません。これが『孫』でなかったらまた違ったのかなと思います。『孫』を歌っただけで持て囃してもらいましたから。あとは、鳥羽一郎さんの唄や、股旅、街道ものも多く歌っていました。鳥羽さんは、日本のいろんな場所を多く歌っておられるので、鳥羽さんの歌を通して日本の土地を知りましたね。小学校5年ぐらいの時に、友達に「今何聴いてるの?」って聞かれて「来島海峡」って答えていましたから(笑)。

三丘
そして、天童よしみさんは、僕にとって演歌の教科書、お手本のような方です。声変わりするまではよく歌っていましたし、天童さんのおかげで小節が回るようになりました。以前デュエットをさせていただいた時は、感慨深かったですね。

── 三丘さんのInstagramの写真も上手ですし、音楽制作や編集をされたり、YouTubeの【歌姫-UTAHIME Cover-】も編集したりと多才ですよね。

三丘
飽きっぽいので、気が向いた時にやりたいことをやっています!特にアレンジは凝りだすとずっとやっています。パソコンの中に楽器の音源が沢山あって、価格も結構するんですよ(笑)。これだけ多く揃っているし、カバー曲もアレンジしているので、今後はオリジナル曲もアレンジできたらいいな……と思っています。歌姫-UTAHIME Cover-は自分が歌いたい歌を選曲していますが、アレンジをすると2〜3日かかり、十何時間寝ずにやったりします。

原動力は自分の好きなことに対してお客さんが喜んでくれること

── 三丘さんのリフレッシュ方法は?

三丘
基本1人行動で、常に好きなことをやっています。例えば新宿御苑にふらっと行ったり、映画観に行ったり。必ず週一回は劇場に足を運んでいます!あとは一人カラオケ。長い時は4〜5時間、最長11時間歌っていた時もあります。気づけば従業員が入れ替わっていて、リモコンの履歴が全て自分が歌った曲で埋め尽くされていたなんてことも(笑)。ちなみによく歌うのは清水翔太さん、EXILEです。

── 三丘さんの活動の原動力は?

三丘
自分の好きなことにお客さんが喜んでくださってること、というより皆さんに付き合っていただいているというのが正しいでしょうね。この10年間自然体でやらせてもらっているので、本当にありがたいです。

── その自然体なところや、落ち着いていて、地に足のついている感じが三丘さんの魅力ですよね。昨年31歳を迎えられましたが、30代になって心境の変化などありましたか?

三丘
少しずつきちんとしてきているのかな?出番ギリギリで着替えたり、ギリギリに起きたりしなくなりました。昔よりも余裕を持って行動できるようになってきましたね。忘れ物をすることも減りました(笑)。

── 今年でデビュー10周年になりますね。

三丘
ぼーっとしてたらもう10年、早いですよね。とはいえ、毎年毎年いろんな出会いをいただきありがたいです。『ゆうなぎの唄』とともに三丘を知っていただきたいので、自分のペースを崩さずに、いろんなことにトライしていきます!これからも三丘に付き合っていただけたら嬉しいです!

リリース・ライブ情報

▼リリース情報
2024年10月16日(水)発売「ゆうなぎの唄」
https://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/mitsuoka/discography/TECA-24055.html

▼ライブ情報
「テイチクアワー ~百歌繚乱~(第一部)」
日程:2025年2月11日(火・祝)
会場:東京・ティアラこうとう 小ホール
時間:開場 11:30 / 開演 12:00
料金:4,500円(税込)
チケット:一般発売中
https://www.teichiku.co.jp/90th/concert-2/

「テイチク創立90周年記念コンサート テイチクアワー~こころのこだま~」
日程:2025年2月11日(火・祝)
会場:東京・ティアラこうとう 大ホール
時間:開場 16:00 / 開演 16:30
料金:全席指定 10,000円(税込)
チケット:一般発売中
https://www.teichiku.co.jp/90th/concert/

★ライブ配信★
配信日:2025年2月11日(火・祝)
時間:16:30~
方式:ライブ配信およびアーカイブ配信(一週間限定)
料金:¥3,000(税別)
販売:Streaming+(イープラス)
https://eplus.jp/teichiku90th/

インタビュー・文・撮影:ごとうまき