世界190カ国で配信され、社会現象を巻き起こしたドラマ『愛の不時着』。これまで韓国でのミュージカル化、そして日本での韓国語版上演と、その人気は留まることを知らない。そして2026年夏、ついに待望の「日本人キャスト版」ミュージカルとして、新たな息吹が吹き込まれる。
注目のリ・ジョンヒョク役を演じるのは、俳優、そしてアーティストとして圧倒的な存在感を放つ三山凌輝。自身初となるミュージカル出演への想い、そして作品に懸ける情熱を語った記者会見の模様をレポートする。
コロナ禍に救われた「運命の一作」との出会い
三山と本作の出会いは、世界が止まったコロナ禍に遡る。「当時、自分も駆け出しで、仕事が止まってしまった不安の中で出会ったのがドラマ『愛の不時着』でした」と振り返る。
「人間としての革新を、自分の手で責任を持って決断していく。そのメッセージ性が当時の自分に深く刺さり、人生の指針を再認識させてくれた作品です。そんな思い入れのある大好きな作品に、こうして携われることは本当に誇らしいです」
その言葉からは、単なる出演決定の喜びを超えた、作品への深いリスペクトが伝わってきた。
「アーティスト×役者」の集大成として挑む初ミュージカル
俳優としてのキャリアを着実に積み上げ、アーティストとしても第一線を走ってきた三山にとって、本作は「新たな集大成」になるという。
「ミュージカルは初めての挑戦ですが、これまで培ってきた音楽と芝居の経験が掛け合わされる場所。歌、芝居、そしてアクション。すべてを凝縮した満足度の高いものにしたいです。感情のつなぎ目を自然に、かつミュージカル特有の非現実的な美しさへと昇華させたいと考えています」と、高い志を語った。
特にアクションについては、韓国チームの「本場を超えていきましょう」という熱いスタンスに呼応し、気合十分である。舞台ならではの躍動感あふれるリ・ジョンヒョクに期待が高まる。

リ・ジョンヒョクの“チャーミングな人間味”を大切に
キャラクターへの解釈についても、三山らしい独自の視点が光る。リ・ジョンヒョクという人物を「クールなだけではなく、実は1話からすごくチャーミングで人間味がある」と分析する。
「ユン・セリとの出会いで見せるパワーバランスの妙や、不器用ながらも真っ直ぐな男らしさ。そこにあるギャップをどれだけ演じられるかが鍵になると思っています。自分自身も、飾らないけれど芯があるリ・ジョンヒョクのような生き方に共鳴する部分が多いです。ただ、彼はちょっと鈍感すぎるかな(笑)。僕はもっと繊細に周りに気づいちゃうタイプなので、そこは逆かもしれません」
今回の座組では、ユン・セリ役に元宝塚トップスターの花乃まりあ、ク・スンジュン役にn.SSignのKAZUTAら、個性豊かなキャストが顔を揃える。
三山は既にKAZUTAと対面しており、「本当に太陽のような素敵な方。素晴らしいバイブスで稽古に臨めるはずです」と手応えを感じている様子だ。また、初共演となる花乃に対しても「一方的に緊張とドキドキを抱えていますが、会えるのが楽しみです」と笑顔を見せた。
「座長というポジションに気負いすぎることなく、一歩一歩の選択で作品の質をどこまで高められるか。責任を持って取り組みたいです。そして何より、人と人の対話を大切に、最高のチームワークを築いていきたいと考えています」
大阪公演への期待――「粉もん」パワーで駆け抜ける
2026年7月の東京公演を皮切りに、8月には大阪公演も控えている。大阪の印象を問われると、「たこ焼き、モダン焼き、全部美味しい!以前のツアーでもスタッフやダンサー全員と鉄板焼きを食べて、最高に盛り上がりました」と、すっかり大阪の食の虜になっている様子であった。大阪のファンにとっても、三山のパワフルなパフォーマンスを間近で見られる貴重な機会となる。
最後に、公演を楽しみにしているファンへメッセージが送られた。
「リスペクトしている作品だからこそ、全身全霊で挑みます。原作ファンの方にも、初めてミュージカルとして触れる方にも、『全く新しい、素晴らしい作品だった』と言ってもらえるクオリティをお約束します。ぜひ、劇場でこの奇跡の第一歩を見届けてください」
三山凌輝という表現者が、北朝鮮の将校リ・ジョンヒョクとして舞台に立つ時。そこには、切なくも美しい、誰も見たことのない『愛の不時着』が待っているはずだ。

【公演概要】
ミュージカル『愛の不時着』日本人キャスト版
日時:2026年7月31日(金)~2026年8月2日(日) ≪全4回≫
会場:東京建物 Brillia HALL 箕面
出演:三山凌輝、花乃まりあ、KAZUTA(n.SSign)、中村麗乃、上田堪大 ほか
取材・文:ごとうまき