桂紋四郎、笑福亭笑利、桂九ノ一、樋口大喜、石崎ひゅーい、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ) 、森良太が競演の落語家とミュージシャンの異色のコラボ『スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜』が2月16日(水) 北とぴあ つつじホール(東京都)で開催された。その様子が2月21日23:59まで配信されている(チケットはこちら)。2021年7月19日に大阪でも開催された公演から、本公演は更にパワーアップ、落語と音楽が融合した「協和音」によって会場は笑顔と感動で埋め尽くされた。
MCを務めたFM802 DJの樋口大喜による軽快なトークで幕が開けられた本公演は、前回同様にタッグを組んだミュージシャンと落語家の3つのペアがセッションし、“物語”を紡いでいく。
スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
森良太×桂九ノ一
トップバッターを飾るのは森良太と桂九ノ一のコラボレーション。「冴えない男」をテーマに、歌と噺が繰り広げられる。大物落語家を父に持つ森良太はギター片手に弾き語りを披露。『弾き語りと落語の共通点は日常の切り取り方』だと話す森さんの崇高な歌声が響き渡る。以前よりシュッとした九ノ一さん、その豊かな表現力とリアクションで古典落語をのびのびと熱演、画面越しからも本公演に対する熱意と楽しさが溢れ出している。
森良太 スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
桂九ノ一 スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)×笑福亭笑利
次に登場するのは抜群のコンビネーションで会場を沸かせたヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)と笑福亭笑利。前回から際立っていた二人の相性の良さが本公演でより浮き彫りになった。
ヤマサキセイヤさんはレコーディングで却下された楽曲のバージョンを披露、ここでしか聴くことの出来ないレアな弾き語りでファンを楽しませた。笑利さんはキュウソネコカミの楽曲を全て聴き込み、その楽曲の中から着想を得た創作落語を披露。「夢」をテーマとした歌と創作落語が見事に融合し、一つの“応援歌”として昇華。前半は笑いが多いが、後半は鼻の奥がツンとするような、人情噺となる。かつて芸人として活躍していた笑利さん自身と重ねたところもあるのだろうか。笑利さんといえば、2月19日に繁昌亭で開催された「落語とビジュアルアートのアニュアーレ(上方落語の若手8人が三題噺を創作し、ビジュアルアートを学ぶ若者がそのネタを元に1枚の絵を制作して競うイベント)」で最優秀賞に輝くという嬉しいニュースが届いたばかり。高座に登場する“創作物”にも、笑利さんの手先の器用さが発揮されている。
スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
ヤマサキセイヤ スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
笑福亭笑利 スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
石崎ひゅーい×桂紋四郎
ラストを飾るのは石崎ひゅーいと桂紋四郎。前回の大阪公演よりも緊張していると話す石崎さんは、今回は着物ではなく私服で登場。『大阪公演ではギター侍感があったので、今回は私服です』と笑いをとった。石崎さんのエモーショナルな楽曲に乗せて響く甘い伸びやかな歌声が、会場を包み込む。
紋四郎さんは、より深みを増した演出で古典落語を披露、紋四郎さんの声が耳に心地よく、その情景がハッキリと浮かび上がる。さらに噺の内容と、後に歌われた石崎さんの歌が見事にリンクし、二人が創り出した世界観に酔いしれることだろう。公演終了後、自身のInstagramで石崎さんと二人で映る写真をアップした紋四郎さんは「アドレナリンが出っ放し」と公演終了後も高揚感に包まれた様子だった。
スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
石崎ひゅーい スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
桂紋四郎 スペシャ寄席 其の2〜江戸如月編〜
前回の「スペシャ寄席」から、彼らは互いのライブや寄席に足を運び、親交を深めていったというが、本公演でさらに絆が深まったのではないだろうか。
本公演を見て最も印象に残ったのが、出演者たちのキラリと光る汗と溢れ出る笑顔。最高にイイ表情で、熱きセッションに全力で楽しむ姿に、なんだか見ているこっちまで幸福感に満たされる。落語をより多くの人に広めようと新たなことにも果敢に挑み、実現していく姿にも敬意を表したい。次の開催を心待ちにしている。
配信チケット
配信期間:2月17日18:00〜21日23:59
出演:桂紋四郎/笑福亭笑利/桂九ノ一/樋口大喜/石崎ひゅーい/ヤマサキセイヤ/森良太
料金:配信3,000円
配信チケット販売:2月21日21:00まで
文/ごとうまき