【インタビュー】蝶花楼桃花の笑いと挑戦、20周年目前!全国独演会への情熱語る。

インタビュー

落語家の蝶花楼桃花さんが、2025年夏に全国13都市を巡る独演会ツアーを開催する。7月4日(金)の兵庫・神戸新開地からスタートし、8月24日(日)の沖縄でフィナーレを迎えるこのツアーは、桃花さんの落語家人生20周年を目前に控えた意欲的な企画だ。広島や青森、岩手など、自主公演としては初となる地域も含まれる今回のツアーでは、どんな笑いと感動が待っているのか。落語への情熱、女性落語家としての挑戦、そしてツアーにかける思いを、桃花さんにたっぷりと語っていただいた。

全国ツアーのコンセプトと意気込み

── 『2025年夏の独演会ツアー』が7月からスタートします。まずはこのツアーのコンセプトや、込めた思いを教えてください。

蝶花楼桃花

二ツ目の頃から小さな規模でツアーをやってきましたが、だんだん規模が大きくなり、今回は13都市を巡る大きな挑戦です。特に広島、岡山、青森、岩手は自主公演としては初めての土地。私の落語をまだ知らない方にも届けたいというのが一番の目標です。キャパシティを広げて、たくさんの人に会いに行くツアーにしたいですね。どんなお客様が来てくれるのか、どんな反応があるのか、今からワクワクしています!


── 今回のツアーで披露する演目はどのように考えていますか? 会場によって変える予定ですか?

蝶花楼桃花

ツアーによっては“このネタを引っ提げて回る!”という年もありましたが、今回は“たくさんの人に会いに行く”がコンセプト。初めて落語を聴く方も多いと思うので、わかりやすく楽しめる演目を意識しています。会場のお客様の雰囲気でネタが変わることもあるので、私自身もその場で感じながら選びたいですね。古典落語と新作落語をバランスよく織り交ぜて、どの会場でも楽しめる構成にしたいと思っています。


── 昨年、31日連続で新作落語31席を披露する独演会『桃花三十一夜~ももか さんじゅういちや~』を達成されました。あの経験は今回のツアーにどう影響していますか?

蝶花楼桃花

31席を一気に覚えたのは、人生で一度きりの挑戦でした(笑)。あの時は勢いで突き進みましたが、今は当時おろしたネタを磨き上げる段階です。特に新作落語は、例えば、いとうあさこさんに書いてもらった「聖子ちゃんと明菜ちゃんのファンが喧嘩する噺」とか、ノリノリでやったつもりが意外とウケなかったことも(笑)。そんな失敗も含めて、反応を見ながら育てているネタをこのツアーでたくさん披露したいですね。


独演会の魅力

── 大阪では8月2日(土)に朝日生命ホールで公演があります。この会場での独演会は初めてですか?

蝶花楼桃花

はい、朝日生命ホールでの独演会は初めてです。大阪での独演会自体は真打に昇進してからは3・4回目くらいですが、毎回新鮮な気持ちで臨んでいます。関西のお客様は、先輩から「江戸の落語家は受けないよ」「笑かしてみろや!」と、言われるくらい厳しいと聞いていましたが、実際は温かく迎えてくれてホッとしました(笑)。今はそんな怖い印象はなく、むしろ楽しみです!


── 寄席と独演会の違いや、独演会ならではの魅力はどこにあると思いますか?

蝶花楼桃花

寄席はいろんな落語家の話が楽しめるチームプレイですが、独演会は私の世界をフルに味わってもらう場。私の個性や持ち味を最大限に出せるネタを選びます。ゲストの方も会場によってお迎えしますが、ゲストさんの持ち味と私の演目をバランスよく組み合わせて、お客様に満足してお帰りいただけるような構成にしたいですね。


女性落語家としての挑戦と信念

── 女性落語家のリーダー的存在として活躍されています。古典落語は男性目線で作られたものが多い中、女性として演じる難しさややりがいは?

蝶花楼桃花

古典落語は確かに江戸の男性文化から生まれているので、違和感を減らす工夫はどの女性落語家もしています。私は、女性が言うと抵抗感が出そうな言葉や表現を調整したり、現代に合うようにアレンジしたりします。それでも昔は「女が落語やるな」とヤジを飛ばされたこともありました。でも、続けることで認めてもらえると信じてやってきました。今はヤジもなくなり、理解が広がっているのを感じます。開き直って「私は女で落語をやる!」という気持ちで挑んでいます。


── 25歳で入門された時、師匠(春風亭小朝)から受け継いだ教えで特に印象に残っていることは?

蝶花楼桃花

師匠は「女性が古典落語をやるのは難しい」という考えながらも私を弟子にしてくれました。それは「自分なりの落語をやりなさい」というメッセージだと受け止めています。もう一つ師匠から教わったのは、前座時代、荷物を持つ時のこと。寄席の楽屋にある師匠方のお荷物は、率先して重いものから持ちなさい。口でくわえてでも君が全部持ちなさい、と教えられました。ズルをしない姿勢が大事だと学びました。その教えが今も私の指針で、どんな困難も真正面から受け止める癖がつきました。

20周年への展望と後輩への思い

── 来年は落語家人生20周年ですね。今後の展望や、どんな落語家になりたいですか?

蝶花楼桃花

女性落語家として30年やってる先輩がいても、まだおばあちゃん落語家はいないんです。だから、私たちがそのモデルにならないといけないという責任を感じます。20周年は一つの節目として、お祭りっぽい企画やセカンドシングルのリリースを考えています! 長く続けることで、落語を通して私の生き様や人柄を見せられたらいいなと。いつか「桃花が出てきただけで満足」と言ってもらえるような、説得力のある落語家になりたいです。


── 女性落語家を目指す後輩や若い人たちに伝えたいことは?

蝶花楼桃花

私たちの世代が苦労したことは、次の世代に絶対に引き継がせたくない。そのために道を整えてきたつもりです。新しい世代には、想像もつかないような新しい落語の世界を切り開いてほしい。「うわ、こんな発想があったか!」と驚くような後輩が出てきたら、めっちゃ嬉しいですね!


── プライベートでのリフレッシュ方法やハマっていることはありますか?

蝶花楼桃花

純喫茶巡りが大好きで、地方に行くとモーニングやコーヒーを楽しんでいます。その土地の雰囲気を感じたり、ネタのヒントが転がっていたりするんです。あとは任侠映画を見て、健さんの気分で肩で風を切って帰るのが好き(笑)。無敵な気持ちになれるんですよね。食べ物も大好きなので、美味しいものを食べてパワーチャージしています!


── 最後に、ツアーを楽しみにしているファンや初めての方へメッセージをお願いします。

蝶花楼桃花

初めての方も、ずっと応援してくれてる方も、みんなが楽しめる独演会にしたいです。今回は13都市を巡り、たくさんの人に会いたいという思いを詰め込んだツアー。私の落語で笑って、楽しんで、特別な時間を一緒に過ごしましょう! 全国の会場で、皆さんの笑顔を待っています!


2025年夏の独演会ツアー情報

  • 7月4日(金)19:00 兵庫・神戸新開地 喜楽館
  • 7月21日(月祝)13:00 東京・なかのZEROホール
  • 7月26日(土)13:00 愛媛・松山市民会館小ホール
  • 7月27日(日)13:00 広島・エディオン紙屋町ホール
  • 7月28日(月)13:00 岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ小ホール
  • 8月2日(土)12:30 大阪・朝日生命ホール
  • 8月3日(日)13:00 愛知・今池ガスホール
  • 8月8日(金)18:30 青森・新町ビルNewsホール
  • 8月9日(土)15:00 北海道・エルプラザホール
  • 8月10日(日)14:00 岩手・プラザおでって おでってホール
  • 8月11日(月祝)13:00 宮城・エルパーク仙台 スタジオホール
  • 8月23日(土)14:00 福岡・西鉄ホール
  • 8月24日(日)13:00 沖縄・桜坂劇場ホールA

 

インタビュー・文・撮影:ごとうまき