【ロングインタビュー】浜浦彩乃、1stアルバム『IRODORI』に込めた不屈の「こぶし魂」と、今描く新しい彩り

J-pop

2020年3月30日、こぶしファクトリーは無観客の東京ドームシティホールでその活動に終止符を打ちました。あれから6年。俳優として、そしてソロアーティストとして、自らの足で歩み続けてきた浜浦彩乃さんが、待望の1stアルバム『IRODORI』をリリースします。

「今の私だからこそ、歌える歌がある」

かつての「エース」としての重圧を脱ぎ捨て、一人の表現者として覚悟を決めた彼女に、これまでの歩みとハロプロへの消えない愛、そして未来への決意を深く語ってもらいました。

消極的だった少女を「情熱の赤」に変えたもの

――3月11日に発売される待望の1stアルバム、タイトルは『IRODORI』。今の浜浦さんを象徴する色を挙げるとしたら、何色ですか?

浜浦
今は迷わず「赤」と言えます。でも、実はもともとの性格はすごく消極的だったんです。研修生の頃やこぶしファクトリーとして活動していた頃も、どこかで自分に自信が持ちきれない部分があって。それがソロとして活動させていただき、舞台やライブでたくさんの方と出会う中で、少しずつ自信が積み重なってきました。

特に先日、自分のオリジナル曲だけで回った東名阪のライブツアーを経て、「もっと前へ、もっと熱く表現したい」という欲が湧いてきたんです。今回のアルバムに収録した楽曲たちも、一曲一曲に対してものすごい熱量を持って向き合ったので、今の私は「情熱の赤」に染まっているなと感じます。

――リード曲の「恋の終わり」は、これまでの「力強い浜浦彩乃」のイメージを覆すような、しっとりとした切ないバラードですね。

浜浦
レコーディングは本当に苦戦しました!一曲に3〜4時間はかけましたね。「恋の終わり」は「か弱くて繊細な女の子」が主人公なのですが、私、どうしてもこぶし時代からの力強い歌い方が染み付いていて(笑)。ディレクターさんからも「もっとか弱く」と何度もアドバイスをいただいて、今まで挑戦したことのない表現に挑みました。

――一方で、「未来への扉」などでは美しいファルセット(裏声)も披露されています。

浜浦
ファルセットは、実は舞台の経験が大きく影響しているんです。2.5次元舞台やミュージカルで様々な役を演じる中で、キャラクターに合わせた声の出し方を学んできました。その経験があったからこそ、「今の自分ならこの歌い方ができる」と自信を持って楽曲を選ぶことができました。ソロとして一人で一曲を歌いきる時、聴いている方を飽きさせないように「声色」を自在に変える技術は、この数年で一番成長した部分だと思います。

「こぶしファクトリー」という誇り――魂は楽曲の中に生きている

――ファンの方が特に気になるのは、やはり「こぶし魂」を感じる楽曲があるかどうかだと思います。

浜浦
それなら「閃撃フリクション」を聴いてほしいです!これは私が大好きなロック調の曲で、一番こぶしファクトリーっぽい魂を感じてもらえると思います。作詞作曲の和田陸さんはソロになってからずっと一緒にライブを盛り上げてくれているバンドメンバーなので、私の強みを一番わかってくださっていて。「ここで拳(こぶし)を効かせて」「ここはがなりを入れて」という、私のルーツを全開に出せる一曲になりました。

――こぶしファクトリー時代、浜浦さんは「エース」として、そしてどこか「裏番長」のような、グループを支える強さを求められていましたよね。ソロになった今、その意識に変化はありますか?

浜浦
グループにいた時は、常に「自分がしっかりしてみんなを引っ張らなきゃ」「支えなきゃ」という責任感が強かったです。でも今は、いい意味で肩の力が抜けました。完璧主義なところは変わらないんですけど(笑)。

ただ、不思議なことに舞台の現場に行くと、自然とダンスリーダーのような役割になっていたり、結局リーダーシップを取っていることが多いんです。これは、ハロプロで「プロとしてどうあるべきか」を徹底的に叩き込まれた経験が、体に染み付いているからだと思います。

無観客での解散、そして「約束の場所」へ

――2020年の解散コンサートは、コロナ禍による無観客開催でした。あの時の心境は、今振り返るといかがですか?

浜浦
正直、当時はやるせなさがすごくありました。最後なのに、ファンの方の声援を直接聞くことができない。でも、その止まった時間が、昨年12月の「あやちゃんずライブ(広瀬彩海との共演)」で動き出した感覚があったんです。ファンの皆さんの熱量がすごくて、一気にこぶし時代の感覚が戻ってきて……。「ああ、みんなずっと待っていてくれたんだ」と確信できました。

――あやちゃんずLIVE2026 ~Harmony Anthem~が今年も5月24日、「こぶしの日」に開催が決定しましたね。

浜浦
はい!本当に嬉しいです。解散の時に直接お別れを言えなかった分、今の私たちの活動を通して、あの日の寂しさを楽しい思い出で塗り替えていきたい。それがファンの方への一番の恩返しだと思っています。実はメンバーとは今でも年1回は必ず集まって「牛角」に行っていますし(笑)、絆は一生ものです。いつかまた5人で……という夢も、捨てずに持っていたいですね。

小田さくらへの想いと、受け継がれる「ハロプロ精神」

 ――ハロー!プロジェクトといえば、盟友の小田さくら(モーニング娘。’26)さんが卒業を発表されました。今の心境は?

浜浦
今も頻繁に会っています。年始もお笑いライブに行ったり、カラオケに行ってBerryz工房・℃-uteさんの曲を歌い狂ったりしました(笑)。彼女の自宅にもよく遊びに行きます。ずっとモーニング娘。の第一線で戦っている小田を見てきたので、卒業と聞いた時は驚きましたが、彼女が決めた道なら全力で応援したいです。卒業公演は、何が何でも予定を空けて見に行くと約束しています。卒業したら、今まで忙しくてできなかった二人旅に連れ出したいですね。

――嗣永桃子さんといった偉大な先輩たちから受け取ったものは、今の浜浦さんにどう生きていますか?

浜浦
嗣永さんは、今でも私にとって「永遠に最高のアイドル」です。落ち込んだ時に嗣永さんの動画を見ると、自然と元気が出る。彼女たちから学んだのは、「どんな時もプロとしてステージに立つ」という執念に近い完璧主義。このアルバムも、中途半端なものは絶対に出したくないという思いで、作家さんとも何度もやり取りをして作り上げました。

アルバムの核となる、ファンへの「誓い」

――アルバムのラストを飾る「Promised Place(約束の場所)」は、まさにその思いが結晶化したような曲ですね。

浜浦
この曲には、私がどうしても入れたかった言葉を詰め込んでいただきました。2番のサビの「必ず逢えるとあの日にキミと誓い合った」という歌詞。ハロー!プロジェクトを卒業する日の最後のブログに、「また必ず会いましょう」って書いたんです。あの時のファンの方との約束を、どうしても歌にしたくて。

ソロとして一歩踏み出すのは本当に怖かったです。でも、勇気を出して進んでみたら、温かく迎えてくれる皆さんがいた。今の私は、もう一人じゃない。この歌を歌うたびに、皆さんと「約束の場所」へ向かっているんだと強く感じます。

――メジャーデビューから2年目。これからの展望を聞かせてください。

浜浦
アーティストとしての私の「最終目標」は、東京ドームシティホールにソロとして立つことです。あそこは、私たちが無観客で解散を迎えた場所。いつか必ず、会場をファンの皆さんでいっぱいにして、あの日の続きをやりたい。それが私の覚悟です。

――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

浜浦
いつも支えてくださる皆さん、本当にありがとうございます。皆さんがいなければ、今の私はありません。今回のアルバム『IRODORI』は、これまでの感謝と、これからの決意をすべて込めた「今の浜浦彩乃」そのものです。リード曲「恋の終わり」のMVでは、一人の女性としての繊細な表情にも挑戦しました。今の私だからできる表現を、ぜひ受け取ってください。夢の場所まで、私についてきてください。これからもよろしくお願いします!

【リリース情報】2026年3月11日発売 1stアルバム「IRODORI」(イロドリ)

  • 初回限定盤 (CD+DVD):VIZL-2510 / 税込 8,800円
  • 撮り下ろしアコースティックライブ映像、「恋の終わり」MV、メイキング収録
  • 通常盤 (CD):VICL-66122 / 税込 3,300円

インタビュー・文・撮影:ごとうまき