古田新太が初参戦!新しい家族の物語が誕生「一富士茄子牛焦げルギー」

インタビュー

「これでいいのって思いましたね」――取材会冒頭、おとん役のオファーを受けた時の気持ちを問われた古田新太は、いつもの飄々とした口調でそう答えた。
2026年1月、リーディングアクト「一富士茄子牛焦げルギー」が5回目の上演を迎える。2021年の初演から観客の涙を誘い続けてきた関西弁の家族の物語に、今回新たな顔ぶれが加わった。中学生の”ぼく”を演じるのは、STARTO ENTERTAINMENTのAmBitious・真弓孟之。そして”おとん”役には、劇団☆新感線の看板俳優・古田新太が初参加。4回目の出演となる”おかん”役の羽野晶紀を交え、また新しい家族が誕生する。

取材会では、3人が初対面とは思えない和やかな空気で始まった。真弓にとって、この作品は特別な意味を持つ。「関西ジュニアの先輩からこの台本を見せてもらったことがあって、ほっと心温まるエピソードだなぁと。いつか自分が演じてみたいなって思ってました」。3年越しの夢が叶った喜びと同時に、「続いてるからこそ、ここから僕で途切れさせるわけにはいかない」という責任感も語る。21歳の若き俳優は、「楽しみと不安のいいバランス」と率直な心境を明かした。


羽野は4回目の出演について、「また新しい家族を迎えて新鮮な気持ち」と語る。「私、過去にも二人の息子とおとんと出させていただいてるんですけど、毎回ね全然違うんですよ、同じ役をやるんですけど」。そして今回の古田の参加については、「とうとう来たな、ラスボス」と笑いながらも、「本当にいい話なので、古田さんにぜひやってもらいたかった」と期待を込める。


実は二人は、現在別の舞台で夫婦役を演じており、古田は「アキとは18歳の時からの付き合いだから」と冗談を飛ばし、「一度も交際していない」と羽野がツッコむ場面も。長年の信頼関係が垣間見える一幕だった。

古田の参加は、この作品に新しい風を吹き込みそうだ。「僕、あんまりいい人をやったことがないんで」と語る古田に、取材陣からは「今まで客席が笑ってるのは知っていますけど、泣いてるのってあんまり知らない」という質問が飛ぶ。古田は「基本的にはやったことないことをやるのが好き」としながらも、「でも泣かせませんけどね」と笑わせる。「みんな『えーっ』て言いながら帰るようなスタイルだと思ってます」。


その言葉に、羽野は「別に泣かそうと思って今までもやってるわけではない。知らずとじんわりと広がっていくような」と続け、「見に来てくださるお客様がね、本当に純粋なんやと思うんですよ」と観客への信頼を語った。

真弓にとって、古田と羽野は憧れの存在だ。「古田さんはすごい作品であったり深刻な役をやってらっしゃったイメージがめちゃくちゃ強くて」と語る一方、羽野については「関西ジュニアの先輩から聞く限り、本当に優しくて明るくて、マジでいいことしか聞かなかった」。
実際に会ってみると、「今日初めましてなのにもう『タケ』って呼んでくれてて」と感激。「テレビで見てる古田さんとまんま変わらない。すごく面白い方」と初対面の印象を語った。

古田は真弓について、「アンビシャスがまだグループデビューしてないってことに今日びっくりした」としながらも、「手下をコンプリートしていこうかな」とユーモアたっぷりに応じた。

作品について真弓は、「お母さんを失った状態で物語がスタートしているけど、おとんの前ではそれを見せないように強くあろうとする」と役柄を分析。「関西弁のボケとツッコミの掛け合いが多くて、クスッと笑えるような会話が魅力」としながらも、「内に秘めているものを表情や言葉なしで表現していかないといけない」と課題を語った。
羽野は「稽古期間がすごく短い。お客様が会場で想像する部分も非常にあって、みんなで一つになれるような作品」と説明し、「毎回ライブ感がある。来てくださったお客様も一緒に作っているなという感じがする」と作品の特徴を明かした。

真弓へのアドバイスを求められた羽野は、「稽古が少ないということは、1回1回の稽古で思いっきりやった方がいい。何をやっても受け止めてくれる大先輩と演出の河原さんもめちゃくちゃ面倒見がいいから、恥ずかしがらずに全力で開放してください」と伝えた。
古田は「そつなくやったら、早く帰れる」と笑わせつつ、「全力でやったいい稽古ほど早く終わります」とシンプルながら深いアドバイスを送った。
羽野は真弓に「過去の僕の台本が、私たちおとんとおかんの台本より誰よりもボロボロなんですよ。それをお客さんも見るんです。どんだけ頑張ってきたかっていうのがね、それでお客さんもすごい感動を感じる」と励ました。

最後に3人はそれぞれメッセージを送った。羽野は「間違いなく素敵な舞台になる。いろんな人に本当にこの素敵なお話を届けたい」、古田は「今日、タケと初めて会ったんですけども、タケがいいやつだというのがうっすらわかってきている。楽しい家族にして、みんな劇場を出るときにちょっとホッとしたりホロッとしたりという気持ちになっていただければ」、真弓は「至らないところもたくさんあるとは思いますが、古田さんと羽野さんという心強いおとんとおかんについていって、心がほっとなったり笑えたり、そんな感情になっていただけたら」。新しい家族が紡ぐ物語が、2026年1月、大阪と東京で幕を開ける。

公演情報
リーディングアクト「一富士茄子牛焦げルギー」
≪大阪公演≫2026年1月15日(木)~18日(日) サンケイホールブリーゼ
≪東京公演≫2026年1月29日(木)~2月1日(日) 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
一般発売:12月6日​​​​​​​​​​​​​​​​

取材・文・撮影:ごとうまき