【インタビュー】KeNN、コンプレックスを武器に変えて。「間違った教育」から生まれた真実のポップネス

アーティスト

YouTubeやTikTokで4万人以上のフォロワーを抱え、デビューシングル「Something Wrong」が世界10カ国の主要プレイリストに選出されるなど、彗星のごとく現れた次世代のポップスター、KeNN。2026年4月8日にリリースされる待望のファーストEP「From Miseducation」には、ブラックミュージックのグルーヴとJ-POPのキャッチーさが鮮烈にブレンドされている。北海道の深い森で育った世界を見据える彼のルーツと、本作に込めた想いを聞きました。

ゆりかごの前に置かれたスピーカーと、遠軽の森

ーーKeNNさんのご出身は北海道の遠軽町(えんがるちょう)とのことですが、どのような環境でお育ちになりましたか?

KeNN
本当に「家を出たらすぐ山と川」というような、大自然の中でしたね。山に山菜を採りに行ったり、川に釣りに行ったり。でも、家の中は少し特殊でした。両親がDJをやっていたので、一軒家の家の中にDJブースがあって。お腹の中にいる時から、そして生まれてからはゆりかごの前にも大きなスピーカーが置いてあるような環境でした(笑)。

ーーまさに音楽が呼吸と同じようにあったのですね。ご両親はどのような音楽を流しておられましたか?

KeNN
昔ながらのアナログレコードを使って、バーやダイナーで回すようなスタイルでした。だから常に多様なジャンルの音楽が流れていて。今の私の音楽の基盤にあるブラックミュージックやヒップホップのグルーヴは、その頃に無意識に身体に染み込んだものだと思います。

ーー大自然と、ディープな音楽カルチャー。その両極端な環境がKeNNさんの豊かな感性を作っていると。

KeNN
そうですね。都会で人に紛れて生活するよりも、広い視野で自然からエネルギーを受ける生活の方が、心に余裕を持てた気がします。今の私の楽曲にどこか異国の、例えばカリフォルニアの海のような開放感を感じていただけるとしたら、それは北海道の広い空の下で育った感覚が反映されているのかもしれません。

「Miseducation」という言葉に込めた皮肉と誇り

ーー今回のEPタイトル「From Miseducation(フロム・ミスエデュケーション)」。直訳すると「間違った教育から」という意味ですが、ここにはどのような意図があるのでしょうか?

KeNN
私が育った環境って、地元でもかなり浮いていたんですよ。親がDJで、着ている服も聴いている曲も周りの子たちとは全然違う。「普通の両親」のもとで育つコミュニティの中では、自分が受けている教育やカルチャーは、もしかしたら「間違ったもの」なんじゃないか、と子供心にコンプレックスを感じていた時期もありました。

ーーそれが今では、最大の武器になっていますよね。

KeNN
はい。音楽の道に進んでから、その環境を「羨ましい」と言ってもらえるようになって。かつて「ミスエデュケーション」だと思っていたことが、実は何にも代えがたいギフトだった。その皮肉と、今ではそれを誇りに思っているという気持ちを込めています。

ーーローリン・ヒルの名盤「The Miseducation of Lauryn Hill」へのリスペクトも感じられます。

KeNN
母が一番好きなアルバムなんです。車でも家でもずっと流れていました。無意識のうちに私のルーツになっているアーティストなので、このタイトルにすることは母への感謝というか、当時の教育を自分なりに「良い形」で消化できたという報告のような意味もあります。

日本人としてのアイデンティティと、世界への挑戦

ーーリード曲の「メマイ」は、カタカナ表記が印象的です。楽曲制作でのこだわりを教えてください。

KeNN
私はジャスティン・ビーバーに憧れて音楽を始めましたが、同時に日本人であるというアイデンティティも大切にしたいと思っています。カタカナの「メマイ」という響きはキャッチーだし、ビジュアルとしても可愛い。日本語の美しさを大事にしながら、そこにブラックミュージックのグルーヴを落とし込む。そのブレンド具合には一番魂を込めました。

ーー「メマイ」というタイトル通り、展開が目まぐるしく変わる構成ですよね。

KeNN
本当に苦戦しました(笑)。J-POP特有の展開の多さを追求しつつ、セクションごとに違う表情を見せたかった。ミュージックビデオでも「夢の中」をテーマに、憧れの人が別の誰かに変わったりする不思議な世界観を表現しているので、視覚的にもその「目まぐるしさ」を楽しんでほしいです。

ーー英語の歌詞も非常にナチュラルですが、独学だと伺いました。

KeNN
留学経験はなくて、2年前のシンガポール公演が人生初海外でした。でも小さい頃から洋楽ばかり聴いていたので、耳で覚えるのが早かったんです。大学も英語専攻だったので、もし音楽をやっていなければ英語の先生になっていたかもしれませんね(笑)。

アクロバットからルービックキューブまで。多才な素顔

ーー音楽以外でも、スノーボードの選手(セミプロ)だったり、アクロバットができたりと、驚くほど多才ですよね。

KeNN
体を動かすのが大好きなんです。ライブでもマイク一本でパフォーマンスする時は、バック転をしたりアクロバットを取り入れたりもします。器用貧乏というか、多趣味で(笑)。ルービックキューブを高速で揃えたり、けん玉も得意ですよ。

ーーその身体能力や演出力は、今後のライブパフォーマンスの大きな武器になりそうです。

KeNN
演出も自分でやっていきたいですね。最近のコーチェラ(Coachella)などの海外フェスを見ていると、パフォーマンスに動きがあって、カリスマ性が溢れている。私もギターを弾くだけでなく、もっと活発でエネルギーに満ちた自分を見せていきたいです。

世界中のファンへ恩返しを。目指すは真の「ポップスター」

ーー最後に、今後の展望を教えてください。

KeNN
日本で愛されることはもちろんですが、漠然と「世界的なポップスターになりたい」という大きな目標があります。自分の楽曲の力、自分のポップネスとカリスマ性で勝負したいです。

ーーすでに東南アジアなどでは熱狂的なファンがいらっしゃいます。

KeNN
はい。シンガポールやインドネシアでライブをした際、温かく迎えてくれたファンの方々にワンマンライブという形で恩返しをしたいです。そしてそこからヨーロッパ、アメリカへと広げていきたい。世界中どこへ行っても、KeNNの音楽が鳴っている。そんな未来を目指して走り続けます。

作品情報

KeNN 1st EP 「From Miseducation」

2026.04.08 Digital Release

  1. メマイ (Lead Single)
  2. 脱兎
  3. Something Wrong
  4. One in a million
  5. Moonlight
  6. RUST
  7. sad dance.
  8. One in a million (Acoustic)

インタビュー・文・撮影:ごとうまき