【BEGIN ギタリスト島袋 優】山田孝之、玉城千春など豪華アーティストが参加した初のソロアルバムの制作秘話語る

アーティスト

BEGINのギタリスト・島袋 優の初のソロアルバム「55rpm」が2024年2月21日に発売された。レコードの回転数と現在55歳の島袋の年齢をかけて名付けた「55rpm」には、島袋の呼びかけによって豪華なアーティストが参加。それぞれ強い個性を持ったジャンル・ストーリー13の短篇集のようなアルバムに仕上がっている。アルバム発売を前に島袋さんにインタビューを実施した。参加アーティストとのアルバム制作秘話や、音楽だけでなくアートの世界でも活躍する島袋さんの“いま”について訊きました。

初めて自分の為に作曲

── このアルバムを制作するきっかけとなったのがORANGE RANGEのHIROKIさんとNAOTOさんの一声だとか。

島袋
2021年に彼らと飲んでいるときに彼らに「優さんのソロアルバムを作ったら面白いのが出来そう」と言ってくれて。酒の勢いもあって「ORANGE RANGEがプロデュースしてくれるならやるよ!」って言ったら快諾してくれたんです。NAOTOが「ミュージシャンの友達に一曲ずつプロデュースしてもらうのはどうか?」というアイディアを出してくれて、知り合いのミュージシャンに声をかけていきました。皆さん二つ返事で引き受けてくださって。そして実際にCDを手に取って、あぁいよいよ実現したんだなと。僕は幸せ者です。

── 楽曲それぞれに参加アーティストの個性が色濃く出ていますよね。例えば「シージャーGO GO!」を聴いた時、“MONGOL800だ!”ってテンション上がりましたし。

島袋
皆さんには“島袋優という人間を使って音楽で遊んで欲しい”“言われたことはなんでもやるから”とだけ伝えました。キヨサク (MONGOL800)や前川真悟 (かりゆし58) とはこれまでにもコンサートに出てもらったりと長い付き合いになるのですが、一緒に音を作るのは今回が初。新鮮で面白かったです。

── 島袋さんは多くの楽曲提供をされているので、自分の為に曲を書くことってあまりないですよね?

島袋
まずないですね。楽曲提供させてもらったとしてもボーカリストがいるし、BEGINには比嘉栄昇がいる。自分が歌うということを想像して曲を書いたことが一度もないし、人に書いてもらったこともありませんから新鮮でした。

楽曲について

── 13曲全てが主役級の珠玉の一曲。選ぶのは難しいと思いますが、この中でも制作で印象に残っているエピソードはありますか?

島袋
玉城千春(Kiroro)さんが作詞・作曲してくれた「ラブソングを歌ってみるよ 」かな。レコーディングの最中に千春がデモを録ってくれる奇跡のような体験をしました。千春の曲のレコーディングをしていた時に、千春が「優ニィちょっと待って!いま優ニィの為の曲が頭に浮かんだ!逃げないうちに今レコーディングしたい」って。このデモは僕が演奏して千春が歌っているのですが、改めて聴き直した時、彼女の歌声に圧倒されて、この優しさを出せるか不安になったほど(笑)。運転中もずっと練習していた曲です。

── それにしても参加アーティストの顔ぶれがとにかく豪華。例えば、クレイジーケンバンドの横山剣さんがヴォーカルで参加されている「太平洋音頭」の最後にはお馴染みのあのフレーズも入っていて、思わず口元が緩みました!

島袋
剣さんとはお互いタイミングが合わず、レコーディングに立ち会うことができなかったんです。だからあのフレーズを入れてほしいとか言えなかったし、そもそも言うのも失礼かなと思っていたので、出来上がった曲を聴くとあの言葉が入っていたから嬉しかったなぁ。

──『 NHKみんなのうた』でも流れていた「からっぽカタツムリ」には俳優の山田孝之さんがヴォーカルで参加されていますが、山田さんとも親交があるのですね。

島袋
もう20年以上前の話ですが、彼が出演していたNHKの朝ドラ「ちゅらさん」でBEGINも演奏するシーンで出演していました。その時はお互いなんとなく覚えている感じだったのですが、ある時共通の知人を通して会って、意気投合!彼も僕もお酒を飲むのが好きでよく飲んでいます。ある時、孝之と千春とキヨサクで一緒にいた時に、“4人で音楽作ってみない?”ってなって。それで出来上がったのが この曲です。

ギタリストらしい楽曲も。

── そして「今日は明日のイエスタデイ」「converse」のギターの曲も外せないですよね。

島袋
ギタリストのアルバムなのでギターでイケイケの曲から入れました。「converse」はBEGINでベースを弾いてくれている後輩の迎里中(むかいざと あたる)が作ってくれました。彼とはとても付き合いが長いので、僕がどんなギターを弾くのかよく知ってくれています。converseは会話する、語るという意味があるので、ギターで語るように弾いています。

── 「青のまま」はBEGINの「ここから未来へ」のカップリング曲ですが、歌詞がすごくいいです。

島袋
BEGINのピアノ 上地等が大好きな曲です。この曲は僕が作詞作曲をしましたが、母の死をきっかけに生まれた曲。母が亡くなった時、大事な人が亡くなった時でも食事の用意をしたり、忙しく動き回りながら子どもの世話をする母になった妹を見て、結局日常って変わらずに流れていくんだと思ったんです。また祖父は漁師なんですが、祖父の父が亡くなった時もお金がないから仕事をしないといけなかった。そういった話を祖父から聞いていたのもあって、この詞を書きました。どんなに辛いことがあっても、日常も、空も海も変わらずそこにあるんだと。

──レコーディングはどんな感じで行われたかも気になります。

島袋
僕が敬愛するHanah Springがコーラスで参加してくれているのですが、これは完全にデータのみでのやり取り。タピオカの気持ちになって、切ないラブソングとして昇華した「タピオカとパンケーキ」は、沖縄で録ったデモテープをNAOTOに送って編曲してもらって、歌を録るという感じで行いました。「スターリリー」に関してはオケが仕上がっていたのでそこに僕のギターと歌を乗せたりと、曲によってバラバラです。

曲作りもアートも同じ、絵画は最高の趣味!

── 「55rpm」のジャケットは島袋さんが描かれたとのこと。島袋さんのアート展『Guitart lslandart』が3月11日(月)〜17日(日)まで+ART GALLERY(渋谷)で開催されますね。

島袋
昨年、恩納村で初めての個展をさせていただきましたが、東京は初めて。面白いコラージュも考えています。僕は子どもの頃から絵を描くのが好きで、モノを作るのが好きだったんです。だから高校卒業後は東京の美術学校に行きたくて受験したけど落ちてしまって。美大専門の予備校に行っている時に栄昇に“BEGINやろう”って誘われたのが始まり。もしあの時受かっていたら別の人生を歩んでいたでしょう。

── 10年前に沖縄に移住をし、アートの活動もするように。島袋さんにとってアート活動とは ?

島袋
楽曲制作とも通ずるところがあります。まず何を歌うかを決める作業が大変。テーマが決まると完成に向かって一直線ですが、絵も一緒。あと、沖縄はとにかく時間の流れが緩やかなんです。東京にいるときは何かしながら仕事や用事をすることが多かった。だけど沖縄にいると一つのことにじっくりと向き合うことができる。ふと久しぶりに絵を描いてみようと描き始めたのが11年前くらいで、コロナ禍は毎日のように絵を描いていました。

BEGINの売れなかった時代を支えてくれたのが関西

── ソロアルバムの発売記念ライブも沖縄、東京で開催が決まっていますが、大阪での開催も楽しみにしています!BEGINにとって大阪は第二の故郷だと以前おっしゃっていたのが印象的ですが、関西とは縁があるのですね。

島袋
「恋しくて」が売れた後、長らくヒット曲が出ない時期が続きました。その後「涙そうそう」や「島人ぬ宝」が生まれたのですが……。やっぱり売れなくなったら人は離れていく。これも仕方ないことなのですが、そんな中でも唯一、関西ではお客さんがずっと来てくれた。有山じゅんじさんや上田正樹さんなどの大好きなミュージシャンもいる大阪が好きだというのもありますが。僕たちが売れなかった時代を支えてくれたのは関西なんです。

── BEGINは今年、「お天気祭りツアー2024」の開催や、6月29日(土)には毎年恒例の「沖縄からうた開き!うたの日コンサート2024 inよみたん」の開催が決定したりと盛り沢山ですが、BEGINのライブは未就学児OKなのもいいですよね。

島袋
小さい子どもがいるとライブに行きづらかったりするから、僕たちはそういうのをなくしたいなというのがあって。栄昇もステージから“子どもが泣いても気にしないで”、って言っています。もちろん最初はお客さん同士のトラブルもあったのですが、それも時間をかけるとBEGINのライブでは子どもを連れてくるのも普通になってきてます。是非お子さんも一緒に、家族みんなでライブに来て楽しんでほしいです。

 

CD、配信、ライブ情報など

■CD、配信
「55rpm」(ヨミ : ゴジュウゴアールピーエム)
2024年2月21日(水)発売
定価:¥3,300(税抜価格:¥3,000)TECI-1817

01. 今日は明日のイエスタデイ
02. タピオカとパンケーキ
03. ラブソングを歌ってみるよ
04. ドミナント色のレコード
05. シージャー GO GO!
06. 太平洋音頭
07. converse
08. スターリリー
09. 海の声 (Mighty Crown Reggae Remix ver.)
10. 貝がらの唄
11. 青のまま
12. 歓びのブルース
13. からっぽカタツムリ(椰子唄楽団)

■アナログ盤リリース情報
「55rpm」(ヨミ : ゴジュウゴアールピーエム)
2024年4月6日(土)発売
定価:¥4,500(税抜価格:¥4,091)
TEJI-45075
POS:4988004173585

Side-A
01. 今日は明日のイエスタデイ
02. タピオカとパンケーキ
03. ラブソングを歌ってみるよ
04. ドミナント色のレコード
05. シージャー GO GO!
06. からっぽカタツムリ(椰子唄楽団)

Side-B
01. 太平洋音頭
02. スターリリー
03. 海の声 (Mighty Crown Reggae Remix ver.)
04. 貝がらの唄
05. 歓びのブルース

【参加ゲストアーティスト】
アルベルト城間(DIAMANTES)
YU(D-51)
大橋卓弥(スキマスイッチ)
キヨサク(MONGOL800)
奏絵(いーどぅし)
KEITA(seven oops)
SAMI-T from MIGHTY CROWN
下地イサム
玉城千春(Kiroro)
NAOTO、HIROKI(ORANGE RANGE)
Hanah Spring
ハローユキトモ(ヤングオオハラ)
ひがあゆみ
HoRookies
前川真悟(かりゆし58)
山田孝之
横山剣(クレイジーケンバンド)
Rude-α
※五十音順

島袋 優 ソロアルバム「55rpm」 & HoRookies「bang!bang!bang!」発売記念ライブ

<沖縄公演>

3月2日(土)沖縄・TopNote

開場 18:00 / 開演 18:30
出演 島袋 優(BEGIN) / HoRookies

<東京公演>

3月9日(土)東京・晴れたら空に豆まいて
開場 18:00 / 開演 18:30
出演 島袋 優(BEGIN) / HoRookies

『Guitart Islandart』(ヨミ:ギタート アイランダート)
開催日時:2024年3月11日(月)〜3月17日(日)
会場:+ART GALLERY (東京都渋谷区道玄坂1-2-3 渋谷フクラス(東急プラザ渋谷)3F )
時間:午前11時〜午後8時
※入場無料
※3月17日(日)はイベントを開催予定。詳細は後日BEGINオフィシャルHP・SNSで発表。
主催:アミューズ
共催・会場運営:プラスアートギャラリー
企画協力:レ・クリエーション

■島袋優「55rpm」特設サイト
https://www.teichiku.co.jp/artist/shimabukuro-masaru/55rpm/

インタビュー・文・撮影:ごとうまき