【秋川雅史インタビュー・円熟味を増す歌声 更なる高みへ】“不要不急”で痛感した歌手としての使命 「僕は、人生を通して音楽を突き詰める」

秋川雅史
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「千の風になって」で知られる国民的テノール歌手・秋川雅史さんが8月13日(土)大阪にやってくる!会場は住友生命いずみホール、題して「秋川雅史コンサート〜日本の未来を担う若手声楽家との共演〜」が開催される。未来の音楽界を担う精鋭たちとの一期一会の共演、魅惑の歌声が届けられる。

コンサートに先駆け、秋川雅史さんをインタビュー。秋川さんのコンサートにかける情熱、ストイックに自己研鑽し続ける自身の音楽との向き合い方、昨年「二科展」にて見事入選を果たした木彫刻のこと、はたまた人生観にいたるまで、沢山語ってもらいました。

コンサートについて

本公演は“コロナ禍で歌う場所を失った若手音楽家を応援したい”がテーマ。若手声楽家たちと共演し、人々に希望を与えられたら…との思いから開催が決まった。秋川さん自身もコロナ禍でコンサートが軒並み延期・中止になったのは言うまでもないが、若手声楽家たちはさらなる打撃を受け苦境に立たされている。

秋川さん
音楽業界はコロナで壊滅的でしたが、その影響を最も受けたのが若手音楽家。もし自分が30歳そこそこで2年間、今のように活動の場を奪われていたら、相当堪えていたと思う。未来の音楽界を担う精鋭たちをこれから様々な形で応援したいと思い、その一つが今回のコンサートなんです。

コンサートは常にナマモノ。練習では見えなかったものが本番では明るみに。そこでの臨機応変な対応力が舞台人の腕の見せ所だと秋川さんは話す。

秋川さん
本番の舞台、歌い手は、練習では見えなかった様々なことで思考を巡らせる。ここで必要なのが柔軟な対応力。若い人たちにも実際に経験し学んでもらえたら。

秋川さん
いずみホールで共演する関西出身の声楽家(鳥山浩詩、近藤麻帆、村岡瞳)たちとは実はまだお会いしてなくて、コンサート当日に初めて会うんですよ。一度音を合わせたら、その後互いの息を合わせられるようにと、音楽大学で勉強を積んでこられた人たちだから。逆に何度も練習して臨むより、その日に出会って本番を迎える“新鮮さ”があるほど、面白いステージになる。

本公演は、クラシックからポピュラーまで数々の名曲が歌われる。秋川雅史のソロから始まり、オペラのワンシーンをそれぞれの歌い手とデュエット、さらに四重唱と、最後はお馴染みの曲「千の風になって」をみんなで歌う充実した内容となっている。

中規模ホールの中では日本一の良さを誇るいずみホールには秋川さんも太鼓判を押すほど。最高のホールで奏でられる至宝の歌声に酔いしれたい。

17年の時を経て、「千の風になって」の奥深さを表現できるようになった

ーー「千の風になって」に対する捉え方は変化しましたか?

秋川さん
曲に対する解釈や歌い方は変わっていません。ただ、17年前の録音と今歌ったものを聴き比べると、表現の仕方が全く違う。当時の自分の未熟な表現にはかなり恥ずかしくって、まるで20年前に書いたラブレターを見た感覚(笑)。今思えば、当時は秋川雅史の良さを世の中に届けるのに必死になっていた。力を抜いて自然体で今は歌えている。これまでの人生経験やインプレッションが蓄積され、自然に変化したと思います。

歌手と彫刻家の二刀流、彫刻への思い

秋川さんは彫刻家としての顔も持つ。11年前、自己流で木彫刻を見様見真似で始め、後に関侊雲に師事。コロナ禍前に制作を始めていた楠木正成像をステイホーム期間中に仕上げた。昨年知人に勧められ出展した第105 回『二科展』彫刻部では「木彫楠公像(楠木正成像)」が入選。また、秋川さんの仏像が3つの寺に奉納され、今年9月17日〜19日に靖山画廊 SEIZAN GALLERLY(銀座)にて初の個展も開催するなど、彫刻の腕前も発揮している。

秋川さん
これまでにサッカー(今も継続中)、ボウリングやビリヤードにもハマりました。一つ始めたら極めないと気が済まない性格なんでしょうね。ボウリングはシューズとボールを揃えて、ビリヤードでもキューを買って家で素振りから練習したりと、ハマりやすい性格。生涯通して極めようとしているのが音楽、彫刻も43歳から生涯続ける趣味になりました

ーー歌と彫刻、共通することは?

秋川さん
共通するのは“イメージ力”、そして“失敗してもやり直しが効かないこと”。練習を積んだり、コンサートで声を出すことも大事だけど、それ以上に大切なのは歌っていない時も頭の中でメロディーを流し、表現のイメージを作り上げること。イメージ力がないと人を感動させることはできない。彫刻も作る前に形をイメージして粘土で作り、粘土から木に落とし込んでいく。彫刻は掘りすぎると戻らないので、掘りすぎないように気をつけている。コンサートでも失敗することがありますが、もう後戻りができない…人生と一緒です。

夢は“究極の歌声”を出すこと

自分の夢は「究極の歌声を出すこと」と話す秋川さん。私たちからすれば、すでにその域に達しているように感じるが、本人はまだまだだと話す。

秋川さん
日々、トレーニングをして練習していると、歌が上達しているんです。今54歳なんですが、まだまだ上達している。そうすると更なる高みを目指したくなる。追いかければ追いかけるほど、目標地点が逃げて行く。自分で歌っていて不満だらけですよ。あれもこれもできないって、課題が常に降りかかる。だけど、最近では彫刻と出会ったおかげで楽しんで上達できることを知って、もっと歌も楽しもうと感じるようになりました。

秋川雅史

秋川雅史の人生観

14歳で歌手になることを決めてから、勇往邁進し、行き当たりばったりの人生を歩んでこなかったという。“自分の人生は常に自分で決定したい!”、“人生は美術の作品のようだ”と話す。

秋川さん
サッカーの試合でゴールキーパーがボールを受け取り、左のディフェンスにボールを渡す判断をすると、そこから試合の流れが動いて行く。もしその時右に投げていたら試合の中身は全く違うものになる。瞬間、瞬間での行動で人生は変わる。だから人生においてのあらゆる決断は自分できちんとしたいんです。

コロナ禍で問われた音楽の必要性

2年前“音楽は不要不急”と言われた。果たして本当にそうなのか?秋川さんも苦悶し続け、ある答えに辿り着いた。

秋川さん
コロナパンデミックは音楽業界に大変革をもたらした出来事、“音楽は生活に必要か?”というテーマを考えさせられた時期でした。色んな業種が必要とされている中、あぁ、音楽は生活には必要ないんだと…。だからこそ、必要とされるために、“音楽家はどうあるべきなのか?”と、今後も私たち音楽家にとっての大きな課題です。自分の歌で、聞く人の心が動かないと、歌手としての意味がない。そのためにも死に物狂いで歌を磨いていかねばと痛感しました。

コンサートとは自分の限界への挑戦と社会貢献

コンサートでは常に体力、精神力ともに限界に挑戦していると話す秋川さんはコンサートに対する情熱も並大抵ではないようだ。

秋川さん
歌っている時は無我夢中で、余白は残していません。僕たちは生活に不必要なものを世の中に届けている。だからこそ、人々の希望や元気に繋がるような、“エネルギーと希望”を届けることが使命。これが社会貢献につながるのだと。少しでも皆さまの心に響くよう、磨いていきます。

インタビューからも伝わる、歌やコンサートに対する情熱。その思いが”熱い風になって”、人々の心に潤いをもたらしてくれるのだろう。自分への限界に挑戦し続け、全力投球でコンサートに挑む秋川さんの歌が聴く人の心に響かないわけがない!

秋川雅史コンサート~未来の日本を担う若手声楽家との共演~

日時:8月13日 (土)

場所:住友生命いずみホール(大阪)

チケット:クラシック音楽専用ホール:住友生命いずみホール:チケット予約・購入 (izumihall.jp)

・オフィシャルサイト:https://www.masafumiakikawa.com/

・テイチクエンタテインメント:https://www.teichiku.co.jp/artist/akikawa/

インタビュー・文/ごとうまき