【インタビュー】葵かを里、新境地へ――。連作で描く「滝」の情熱と、立山の雄大さに抱かれて。

インタビュー

2026年4月1日、葵かを里さんの通算22枚目となる両A面シングル「白糸恋情歌 / 立山の春」がリリースされました。前作「華厳の滝」から続くドラマティックな恋模様を歌った「白糸恋情歌」と、大自然の生命力を描いた「立山の春」。デビュー21年目を迎え、さらなる進化を続ける葵さんに、新曲に込めた想いと制作の舞台裏をたっぷりとお聞きしました。

前作「華厳の滝」から続く、女の情念と浄化のストーリー

――今回の新曲「白糸恋情歌」、葵さんのどこかミステリアスで内に熱いものを秘めたイメージにぴったりの楽曲ですね。

ありがとうございます。実は今回の「白糸恋情歌」は、前作「華厳の滝」のストーリーの続きなんです。作詞の麻こよみ先生、作曲の弦哲也先生とのタッグ第2弾として、同じ女性の物語を描いています。

――前作では、愛する男性に裏切られた直後の激しい情念が描かれていました。

そうなんです。華厳の滝の時は、裏切られた直後の悔しさや、はらわたが煮えくり返るような思い、それでも憎めない未練が入り混じった状態でした。あれから月日が流れ、少しずつ落ち着きはしたものの、最後に残った未練をどうするか……。そこで向かったのが「白糸の滝」なんです。

――同じ滝でも、華厳の滝とは表情が違いますよね。

華厳の滝は荒々しく力強いですが、全国各地にある白糸の滝は、細い筋が流れる優雅で女性的な美しさがあります。その優しさで、荒ぶる自分の気持ちを静めていく。未練を断ち切り、心を浄化させてやっと前を向く。そんな「浄化と決意」のストーリーが込められているんです。

「私じゃない」――初めての拒絶から涙の理解へ

――今回の楽曲、メロディーラインが非常に新鮮に感じました。

実は、初めて弦先生のデモテープを聴いた時、「これは私じゃない」と思ってしまったんです。出だしの4小節を聴いて、今までの20年間やってきた「艶歌」のメロディーとどこか違っていて。正直に言うと、最初は少し拒絶反応があったほどなんです(笑)。

――それは意外です! 具体的にどのような部分に戸惑いを感じたのでしょうか。

前半が非常に「歌謡曲タッチ」なんですね。私はこれまで、どっぷりと演歌らしい節回しを大切にしてきましたから。でも、4〜5回と繰り返し聴いているうちに、ふと気づいたんです。「ああ、先生は私に新しい引き出しを作ってくださったんだ」って。

――先生からの導きだったのですね。

その答えに辿り着いた瞬間、パッと霧が晴れたような感覚になって、涙が止まりませんでした。私の新しい可能性を引き出そうとしてくださる先生方の愛に、感謝の気持ちでいっぱいになりました。実際に歌ってみると、ものすごく歌いやすいんですよ(笑)。後半に向かって演歌の盛り上がりを見せる構成も、今の私にとって非常に新鮮な挑戦になりました。

舞踊の師として、表現者として

――葵さんといえば「舞いながら歌う」姿が印象的ですが、今回の舞はどのようなイメージですか?

私は日舞の芙蓉流の名取でもありますので、今回も師匠に素敵な振りをつけていただきました。踊りは小さい頃からずっと好きで続けてきたもの。歌と舞踊を融合させることで、葵かを里ならではの世界を表現したいと常に考えています。

――柔らかな物腰の中に、一本筋の通った強さを感じます。歌詞の主人公とも重なる部分があるのではないでしょうか。

経験がないので(笑)、自分と似ているかどうかは分かりませんが、歌の主人公は純粋ゆえに裏切られ、それでも凛として立ち直ろうとする強い女性だと思っています。私自身、この仕事を長く続けていこうという気持ちがあるのは、ある種の「しぶとさ」や「芯の強さ」があるからかもしれませんね。

立山の雄大さが教えてくれる「生きることの大切さ」

――もう一曲の「立山の春」は、富山県が舞台ですね。

はい。立山はいつか歌にしたいとずっと思っていた場所でした。以前、麻先生に相談した時は「立山は男の山だから」と言われたこともあったのですが、春から夏にかけての立山は本当に表情豊かで優しいんです。

――歌詞には「弥陀ヶ原」や「ミクリガ池」「雪の大谷」といった具体的な地名が散りばめられています。

私自身も「雪の大谷」に足を運びましたが、10メートルを優に超える雪の壁の間を通る体験は本当に素晴らしかったです。大自然を前にすると、自分の悩みなんてちっぽけなものだと思えますよね。この曲には、自然の美しさを体感しながら「今日という日を大切に生きていこう」という前向きなメッセージを込めています。

歌とともに歩み、足跡を残す

――葵さんはこれまでも、歌の舞台となった場所に桜や紅葉を植樹されるなど、地域との絆を大切にされていますね。

20周年を迎えた時、改めて「日本の魅力を歌と舞で伝える歌い手でありたい」と強く思いました。ただ歌うだけでなく、その土地に実際に足を運び、体感し、交流する。そうして残した足跡が、100年後の景色の一部になって、地域活性化の一助になればこれほど嬉しいことはありません。

――ファンの方々と一緒に植えた「香嵐渓」の紅葉も、新緑が美しい季節になったそうですね。

そうなんです! ファンの方が写真を送ってくださって。昨日のことのように思い出します。これからも、歌を通じて皆さんと一緒に素晴らしい景色を見続けていきたいですね。

――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

今回の新曲は、私にとって大きな挑戦であり、新しい「葵かを里」を感じていただける作品になりました。「白糸恋情歌」で心の浄化を、そして「立山の春」で生きる活力を感じていただければ幸いです。4月1日のリリースをぜひ楽しみにしていてください!

【新譜情報】

両A面シングル『白糸恋情歌 / 立山の春』

発売日:2026年4月1日

価格:1,550円(税抜 1,409円)

品番:TKCA-91694

収録曲:

  1. 白糸恋情歌(作詞:麻こよみ / 作曲:弦哲也 / 編曲:猪股義周)
  2. 立山の春(作詞:麻こよみ / 作曲:弦哲也 / 編曲:猪股義周)

※各楽曲のオリジナルカラオケ、半音下げ、1音半上げカラオケも収録。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき