【青木源太インタビュー】大阪に移住して一年半「肩の力が抜け、弱さも出せるようになった」

インタビュー

フリーアナウンサーの青木源太さんがMCを務める関西テレビ『旬感LIVE とれたてっ!』(平日13:50~15:45)は、2025年3月31日から放送時間を2時間に拡大し、さらなる進化を遂げている。生放送の臨場感と、ハイヒールリンゴや橋本徹ら豪華レギュラー陣との掛け合いで、関西の視聴者を魅了。番組開始(2023年10月)から1年半、大阪に移住して新たな挑戦を続ける青木さんに、番組の舞台裏、印象的なエピソード、関西での暮らし、日本の伝統への気づきなどを語ってもらった。アナウンサーとしての情熱と人間味あふれる青木さんの魅力に迫る

番組の進化と生放送の魅力

── 3月31日から2時間枠に拡大した『旬感LIVE とれたてっ!』。2週間経っての感想を教えてください。(インタビュー時は4月半ば)

青木

正直、1か月分の疲れを感じるほど濃密な2週間でした(笑)。ニュースが次々に入ってくるスピード感に「あっという間」と感じます。ただ、花粉症で喉が不調で…。喉を治すには使わないのが一番なのに、毎日2時間喋り続けるので、なかなか治らないんです。でも、その大変さも含めて、ライブ感が楽しいですね。

── この1ヶ月間で特に印象に残ったコーナーやニュースは?

青木
水曜の『あなたにも降りかかる?修羅場ストーリー』は、ドラマ仕立てでドロドロした昼ドラのような感じで意外と盛り上がって。情報番組にドラマってどうなるんだろうと最初は思いましたが、やってみると出演者が身を乗り出すくらいに熱量がすごいんです。

── 視聴率へのプレッシャーはありますか?

青木
番組開始から1年半、視聴率は徐々に上がってきています。でも、ずっと右肩上がりはあり得ないです。停滞期は必ず来るので、そういう時こそスタッフとの団結力が試されると感じています。まだ1年半の番組なので、いろんな試練があると思いますが、力を合わせて乗り越えたいですね。

── 特に関西では、生の情報番組への関心が高いように感じます。生放送の意義や役割をどのように感じていますか?

青木
地上波における生の情報番組の役割は大きくなってきていると感じています。地上波はネットのストックコンテンツとは違い、リアルタイムのニーズに応える存在感が大きいと感じています。特に13:50~15:45は世の中が動く時間帯。ニュースの最新情報や状況変化を臨機応変に伝えるのが使命です。例えば、2~3時の会見や気象庁の会見など、橋本徹さんの法律視点など専門家の解説で掘り下げる。他局と同じ会見でも、どう砕いて伝えるか、どのタイミングで切り上げるかが選ばれる鍵だと思います。

番組の成長

── 番組開始から1年半。立ち上げ時の心境や印象的なエピソードを教えてください。

青木
アナウンサー時代から帯番組の立ち上げは、日本テレビ『バゲット』に続き2度目。混乱や迷走は覚悟していましたが、2023年10月から2024年3月までの半年は、まさに「自転車操業」の手探り状態でした。特に印象に残っていることは、吉田 敬(ブラックマヨネーズ)さんのボケに全然反応できなかったことですね。「ビックリドンキー」を「ビクドン」と呼ぶ関西の言い方にポカーンとして、「ごめんなさい、わかりません」と言ってしまった思い出も(笑)。また、表面がデコボコした寝具を紹介する時に「親近感ある」と言う吉田さんの自分の顔に例えたボケにも反応できず……。共演者のツッコミで笑いが沸き起こりましたが、関西のノリに慣れるまでが大変でした。

── 今はどんな成長を感じますか?

青木
人員補充や体制整備が進み、視聴者の視聴習慣やスタッフの準備リズムが整ってきました。最初はバラバラだったリズムが、いい意味でルーティン化され、番組に安定感が生まれたのが嬉しいですね。最近は、スタッフに「青木さんも意見を言ってみたら?」と促され、発言が増えた。思ったことを言うことで共演者を引き出せるんだと気づき、進行に奥行きが出てきた気がします。

レギュラー陣との化学反応

── 他のレギュラー陣との関係性や印象はいかがですか?

青木
番組が始まった時、ハイヒールリンゴさんのことを「リンゴ姉さん」と呼びたいと目標にしていましたが、まだ呼べていません(笑)。でも東京では「リンゴ姉さんと話した」と自慢してますが(笑)、これはリンゴさんには内緒です。月曜は週末の話題を扱うので、リンゴさんの視点が楽しみですね。橋本徹さんは鋭いコメントで牽引しつつ、CM前の「負け顔」が視聴率アップの秘訣。以前、橋下さんが次女に“ちょっと怒られたエピソード”を話す時、父親の顔になって、その時めちゃくちゃ視聴率の数字が上がっていたんです(笑)。黒田有(メッセンジャー)さんは強い主張を繰り返し、最高潮で自分で落とすスタイルが番組を盛り上げています。小籔千豊さんは新喜劇の舞台での経験からくる「引きつける力」が圧巻で、金融や芸能のコメントで存在感を発揮してくださっています。

── 関西での暮らしや仕事で変わったことは?

青木
東京では「弱みを見せるとつけ込まれる」と警戒していましたが、大阪は「失敗を笑いに変え、一緒に頑張ろう」という雰囲気。肩の力が抜け、弱さも出せるようになりました。例えば、吉田さんのボケに反応できなくても、共演者が笑いに変えてくれる。暮らしでは、1年半前は「新大阪とカンテレしか行かない」状態だったけど、今は関西を満喫しています。ハーベストの丘は子供と楽しめるお気に入りスポットです。淡路島のおしゃれなカフェや白浜、広島にも家族で足を伸ばして、西日本ライフを満喫しています。

職人との対話から学んだこと

── ものづくりコーナーで職人に取材する機会が多いですが、印象的なエピソードは?

青木
普段会えない職人さんに会い、話を聞けるのがアナウンサーの醍醐味。伝統芸能の職人さんとの対話は“幸せな時間”です。彼らの姿勢に刺激を受け、「アナウンサーという職人を目指したい」と感じます。こだわりは、初対面の挨拶シーンから撮影すること。「『とれたてっ!』から参りました、青木です」と頭を下げ、人生や職人の先輩への感謝を込めています。見せるためじゃなく、コーナーの姿勢を伝えるためです。

──日本の伝統や職人の姿勢から気づいたことは?

青木
“美は細部に宿る”ことを実感しました。機能を超えた素材や技のぬくもり、データ化できないこだわりに感動しますね。言葉にできない温かさが、日本の伝統の深さだと思います。職人さんの姿を見るたび、自分もアナウンサーとして細部にこだわりたいと感じます。

── もし青木さんが職人になるとしたら、どんなものづくりに挑戦したいですか?

青木
不器用で根気がない自分にはものづくりは難しいと感じています(笑)。アナウンサーは「拡める職人」だと思っています。僕はいろんな分野に興味がある人間なので、一つのことを突き詰めるより、幅広く伝え続けるのが性に合ってますね。

アナウンサーとしての情熱と未来

── 新人アナウンサーや新入社員へのアドバイスをお願いします。

青木
「どんな道を選んでも、それを正解にするのは自分次第」。20年前、日本テレビに入社した時、まさか大阪で20年目を迎えるとは思いませんでした。でも、周囲に恵まれ、思い込みも含めて“正解”にできた。どんな選択でも、情熱高く生きれば道は開けると伝えたいです。

── アナウンサーになっていなかったら、どんな職業に就いていたと思いますか?

青木
アナウンサーでなくても、メディア関係に携わっていたと思います。僕はメディアが好きで、試験時はアナウンサーで落ちたら制作を目指すつもりでした。テレビ作りに携わりたかったので、縁でアナウンサーになりましたが、制作の視点にも興味があります。今も番組作りに関わる喜びを感じています。

── 最後に、『とれたてっ!』の魅力とファンへのメッセージを。

青木
生放送の臨場感と豪華レギュラー陣の掛け合いが織りなす“今”が魅力です。ドラマや伝統工芸など多彩なコーナーで、性別や世代を問わず2時間楽しめます。SNSで、番組の裏側や共演者の魅力をチェックして、生放送のエネルギーや関西の笑いを一緒に体感してください! まだ1年半の番組なので、これからもスタッフと挑戦を続け、視聴者の皆さんと成長していきたいです。

取材・文・撮影:ごとうまき