【村木弾インタビュー】デビュー9年目にして念願の海の歌!「海の歌で漁船海難遺児のためのチャリティ公演をしたい!」

インタビュー

演歌歌手・村木弾の新曲『暴れ船』が2024年1月24日に発売された。北島三郎や鳥羽一郎の海の歌が好きで作曲家、故 船村徹氏に弟子入り。デビュー9年目にして初めて海の歌を歌うことに。カップリングには舟木一夫&船村徹の名曲「夕笛」のカバーが収録。新曲への思いや今後の目標について語っていただきました。

── 念願だった“海の歌”とのことですが今のお気持ちは?

村木
海の歌がずっと好きで船村先生に弟子入りしましたが、やっと作品をいただきました。僕は歌謡曲はイントロで決まると思っていて……。今作も素晴らしいイントロとアレンジで表現して下さり、とても良い作品をいただき嬉しく思っています。

── 作曲の徳久広司先生から何かアドバイスはありましたか?

村木
「弾ちゃんらしく」と言ってくださったので、のびのびと歌わせていただきました。最後の“暴れ船”の部分は、がなるように意識しました。メロディーを外さないように歌うことも大切ですが、それよりも言葉一つ一つ正確に、メリハリをつけて歌うとかっこよくキマると思います。

──カップリングでは、舟木一夫さんの「夕笛」を素敵なアレンジとともにカバーされています。

村木
これまでにも何度かコンサートで歌わせていただいています。この曲は僕の好きな舟木一夫さんの楽曲で、船村先生と舟木さんの作品でもあります。舟木さんにカバーしたいとお伝えしたら、“船村先生の楽曲だから好きに歌って”と言っていただきました。

村木
アレンジについては、船村先生の奥様にはオリジナルの方がいいと言われましたが(笑)。でも、舟木さんの「夕笛」とは違って、僕らしい一曲になったと思います。ギターとピアノとチェロだけで編成したバンドでアレンジし、ライブハウスで歌っているような雰囲気を出しました。

歌手を志したきっかけは……

──ところで村木さんが演歌を歌うようになったきっかけは?

村木
子どもの頃から演歌歌謡に馴染みがあったんです。両親が飲食店をしていたのですが、そこにレーザーディスクがあって、お客さんがカラオケを歌っていました。当時は僕もそのお店に入れたので、大人の歌う歌謡曲や演歌を聴いて育ちました。父が北島三郎さんのことが大好きで、僕もその影響で北島さんや鳥羽さんを好きになりました。

──高校では野球部のキャプテンをされていたんですよね。

村木
誰もやる人がいなかったのでなっただけなんですけどね(笑)。その後上京して、就職。鳶職なども経験しました。元々は道路や橋を作って、地図に残る仕事をしたいと思っていたんですよ。

── 歌手志望ではなかった……。歌手になろうと思ったきっかけは?

村木
現場が終わって皆で飲みに行くじゃないですか。スナックなどに行ってカラオケで必ず鳥羽一郎さんの演歌を歌っていたんです。そしたら、“上手〜♪”って、女性からの黄色い声援が飛んでくるんですよ。これなら俺も歌い手になれるんじゃないか、って調子に乗っちゃって。単純な理由です(笑)。

── そこから船村先生にテープを送って弟子入り。12年半、船村先生の付き人をされたとのこと。船村先生はどんな先生でしたか?

村木
情に熱く、懐が深い。毎日のように怒られていましたが、怒られても根底には優しさがある。“いろんな人に感謝すること”という先生の教えは強く僕に受け継がれています。いろんな人に支えられての自分があるんですよね。

── 村木さんがデビューし、程なくして船村先生は天国に旅立たれました。船村先生最後のお弟子さんなんですね。

村木
亡くなる3日前に先生の自宅でレッスンをしていました。これまでレッスンもしてもらったことがなく、デビューして初めてのレッスンだったんですよ。“せっかくだから一杯やっていけよ”と言っていただき、先生とお酒を飲みながら相撲の話や政治の話をしました。僕にとっては第二の父でしたから。もっと話したかったし、教えてもらいたいこともあるし、寂しいです。だけど、先生の楽曲を歌い継いでいくことが僕の使命。もし先生が生きていたら“継続しろ”とおっしゃると思います。

漁港でのチャリティ公演をするのが夢

── 漁港でチャリティ公演をするのが夢とのことですが、そう思うようになったきっかけは?

村木
鳥羽の兄貴がずっと海難遺児等の育成基金をされていて。ただ最近はやっていないみたいなので、僕としてはレコード会社を超えて一緒にやりたい旨を兄貴に伝えました。例えばコロムビアレコードだけの歌い手さんを集めて回って、チャリティを続けていきたいと思っています。きっと船村先生もやれとおっしゃるでしょう。僕は海の歌が好きで先生のところに来た。最後の弟子として、チャリティ公演を実現し、続けていきたいです。そのためにもしばらくは海の歌を歌っていきたいので楽しみにしていてくださいね!

── 10周年に向けての目標を教えてください。

村木
10周年に向けてもっと僕の歌を知ってもらうために、大阪でもライブが決定しました<10月11日(金)大阪MUSE BOXにて14時半開演>。やっぱり、ライブをやる時は生バンドでやりたいですよね。生伴奏は最高ですから。

── 数年前にアコースティックギターをはじめられたとのことですが、ライブでも披露されていましたね。

村木
まだまだ全然、相変わらず上達しません(笑)。とても楽しいし、ファンの方も優しくて、僕が間違えても笑って受け止めてくださる温かい方たちばかりです。ですが、優しさに甘えずに、場数を踏んで腕を磨いていきます。僕は歌詞を大事にして、昭和を感じられるフォークソングが好きで。今後はフォークソングなどの弾き語りしながら、歌の幅を広げていきたいです。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき