【インタビュー】サカグチアミが語る、New EP『Hush』と“旅する”音楽人生。「人生に色濃く残る作品を、棺桶まで持っていけるように」

アーティスト

2017年、シングル「好-じょし-」でメジャーデビューし、SNS世代を中心に爆発的な支持を得てきたシンガーソングライター・サカグチアミ。活動10周年を迎えた2025年、彼女は坂口有望から「サカグチアミ」へと改名し、新たな航海へと乗り出した。

レーベル移籍第二弾となるDigital EP『Hush』のテーマは、意外にも彼女が「苦手」と公言してきた“全曲ラブソング”。等身大の言葉で綴られた4つの恋の形、そして現在進行中の全国ツアーへの想いまで、今の彼女のすべてを詰め込んだロングインタビューをお届けします。

“苦手”なラブソングに挑んだ理由

――今回のEP『Hush』は“全曲ラブソング”がテーマですね。これまでのサカグチさんのイメージからすると少し意外な気もしますが、制作の経緯を教えてください。

サカグチ
実は、改名後1作目のEP『名前』を作る前から、「2作目はラブソングにしよう」って決めていたんです。前作では自分の得意分野である、生活に寄り添う“ライフソング”を出し切れた感覚があって。だからこそ2作目は、自分にとっては挑戦だけど、私のラブソングを待ってくれているファンの皆さんのために、あえて“変化球”としてのラブソングを突き詰めてみようと思ったんです。

――前作と対になるようなイメージでしょうか?

サカグチ
そうですね。ライフソングとラブソング、両A面のような形で今の私を表現して、このフェーズをスタートさせたいという思いがありました。

――ジャケット写真やMVの「赤と白」というカラーも、前作の「黒」から大きく変わりましたね。

サカグチ
前作は黒い服で「黒蝶」をイメージしていたので、今回は最初から白と赤をテーマにしようと決めていました。漢字の頃はパステルカラーが似合うと言われることが多かったんですけど、カタカナになってからは白、黒、赤といった強い色が自分に馴染んできている気がします。着飾るよりも、素材で勝負できる強い曲が増えてきたからかもしれません。

――改名は、音楽的な意識にも影響を与えていますか?

サカグチ
自分では変えたつもりはないんですけど、周りからは「曲もカタカナっぽくなったね」って言われます(笑)。あとは、バンド主体で活動するようになったことで、メンバーと一緒に「サカグチアミ」というソロプロジェクトを作り上げている感覚が強くなりました。

――1曲目の「サニーサンデー」は、イントロから多幸感に溢れていますね。

サカグチ
このイントロ、デモテープでの私の拙いピアノ演奏をそのまま再現してもらったんです。それが素朴でいいなって。実はこの曲、書いたのは2年くらい前で、めっちゃ好きな人がいた時に一気に書き上げました。でも、あまりにも自分の本心が露出しすぎていて……。恥ずかしくて人に聴かせられず、1年以上も温めていたんです。

――歌詞にある〈いつかはヨーロッパを旅して〉や〈来世もあなたと踊りたい〉というフレーズも、すごく可愛らしいです。

サカグチ
ありがとうございます。私の曲作りは日記に近いので、当時の感情がそのままパッケージされています。リード曲の「Hush」にも引けを取らないインパクトがある曲だったので、迷わず1曲目に選びました。

恋の始まりの“脳内サイレン”を描いた「Hush」

――リード曲「Hush」は、疾走感のあるサウンドが印象的です。サウンドプロデュースの野村陽一郎さんとは、前作に続くタッグですね。

サカグチ
陽一郎さんは私のラブソングの良さを誰よりも理解してくださる方なんです。制作では、恋が始まる瞬間の「期待しちゃいけない」という戸惑いや、胸の奥で鳴り続ける“脳内サイレン”をどう表現するかを話し合いました。

「絆創膏」に込めた想いと、緻密な「長さ」

――3曲目の「絆創膏」は、上京して最初に住んだ部屋で書かれたそうですね。

サカグチ
はい。2021年頃かな。「絆創膏」の中に「絆を創る」という文字が入っているのが素敵だなと思って。当時は狭い部屋でいろんな物語があって、今の自分に言い聞かせるように歌っています。

――そして4曲目の「長さ」。〈2万km離れても0mに感じてた〉といった数字の使い方が非常に緻密です。

サカグチ
「好き」になるタイミングと「好き」じゃなくなるタイミングって、二人同時じゃないですよね。その切なさを一番分かりやすく伝えるために、数字を使って二人のズレを表現しました。歌録りでは野村さんにディレクションしていただき、一拍一拍に言葉を乗せることで、ライブで歌っていた時とは全く違う響きになりました。

 

ライブは「旅」。ファンとエネルギーを交換する場所

――現在、全国ツアー「Mitsuke I tour」の真っ最中ですね。地元・大阪での公演はいかがでしたか?(取材は大阪公演の翌日)

サカグチ
もう、最高でした! カタカナになって初めての地元ワンマンだったので、お客さんも「どう変わったんだろう?」って少しドキドキしていたと思うんですけど、序盤からものすごい一体感で。11年歌ってきても、未だに「良いライブってこれだ!」って新鮮に感動できる。今は少し抜け殻状態です(笑)。

――今回のツアーでは、ファンが1曲丸ごと歌うという試みもされているとか。

サカグチ
前作の「Life Goes On」という曲をみんなで歌っています。デビュー当時に歌詞を飛ばした際、ファンのみんなが歌ってくれたあの衝撃と感動が忘れられなくて。日本のお客さんはじっくり聴くタイプの方が多いんですけど、みんなが一つになって歌う光景は本当に宝物です。

――さらに、日替わりで未発表曲を披露して、ファンの拍手でアルバムに入れる曲を決めるという驚きの企画も!

サカグチ
そうなんです! 6年ぶりとなるフルアルバムを年内に予定しているんですけど、その選曲を皆さんに委ねてみようかなと。各地で毎回拍手が凄すぎて、逆に選びづらくなっています(笑)。

これからのサカグチアミ。旅人として、表現者として

――改めて、これからの展望について教えてください。

サカグチ
今の時代、形のない音楽が増えていますけど、私はやっぱり「人生に色濃く残るもの」を届けたい。自分が文庫本を大切に読み続けるように、誰かが「棺桶まで持っていきたい」と思えるような作品を残すのが目標です。

――サカグチさんにとって、音楽活動とは何でしょうか?

サカグチ
「旅」ですね。実際にその土地へ足を運んで、生で歌を届けることが何より好きなんです。SNSも嬉しいけど、同じ時間を共有してエネルギーを交換したい。これからも旅を続けながら、日々感じたことを日記のように綴っていきたいです。

――最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

サカグチ
カタカナになって新体制で再出発しました。これから生まれてくる作品を楽しみにしていてほしいですし、ぜひライブ会場に「こんな私が聴いていますよ」って会いに来てください!

サカグチアミ New EP『Hush』

音楽配信:https://lnk.to/sakaguchiami_hush

  1. サニーサンデー
  2. Hush (リード曲)
  3. 絆創膏
  4. 長さ

Sound Produced by 野村陽一郎

サカグチアミ Mitsuke I tour

* 5月16日(土) 名古屋 CLUB UPSET[ [[[[[[[[[開催終了]

* 5月17日(日) 大阪 梅田シャングリラ [開催終了]

* 5月29日(金) 仙台LIVE HOUSE enn 2nd[開催終了]

* 5月31日(日) 札幌PLANT[開催終了]

* 6月13日(土) 広島CAVE-BE

* 6月14日(日) 福岡INSA

* 6月27日(土) 高松DIME

* 6月28日(日) 神戸VARIT.

* 7月4日(土) 東京 SHIBUYA WWW X 

インタビュー・文・撮影:ごとうまき