【“だまし だまされ”魅了され】坂本冬美 渾身の歌と芝居のステージに会場沸き立つ

坂本冬美
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「坂本冬美 特別公演」が大阪・新歌舞伎座にて2月26日(日)まで上演されている。第1部にお芝居「華麗なるサギ師たち」、第2部に「坂本冬美オンステージ」の2部で構成され、芝居と歌をたっぷりと楽しめる内容の濃い公演となっている。本記事では2月6日の昼の部公演をレポート。ネタバレしないように本公演の魅力を伝えたい。

第1部の「華麗なるサギ師たち」は、明治時代に西洋に肩を並べようと作られた鹿鳴館が舞台となっている。物語は、鹿鳴館で舞踏会が開催されるところから始まるのだが、この場所では様々な思惑が入り乱れていた。そう、ここにいるのは全員サギ師(サギ師と言ってもそれぞれの正義がある)なのだ。

誰が真実で誰が嘘なのか?“だまし だまされ ”ながらの華麗な舞踏会に観客も一緒に騙されながら、存分に楽しめるはず。坂本冬美は茶目っ気たっぷりでいて、上品な謎の貴婦人を演じるが、ドレスで踊る姿が魅力的。また今回、坂本冬美とは初共演となる、中村梅雀との抜群のコンビネーションにも注目したい。共演者には葛山信吾、木村花代、三上市朗、長田光平などの実力派俳優たちが顔を揃える。キャストたちが沢山練習し苦労したという、華やかなダンスシーンも見どころの一つ。

齋藤雅文が脚本を、金子良次が演出を手がける本作は、伏線が巧みに張られ、ラストにはその伏線が次々明らかになり、最後には大どんでん返しが待っている。とにかく、ユーモアに溢れ、気づけば観客までもが、“芝居の嘘”に魅了されることだろう。

明治時代、時代の転換期に“おもてなし”の象徴として建てられた鹿鳴館は、当時は迎賓館としての役割というよりも、上流階級の社交場となっていたという。そんな社交場で繰り広げられる「だまし だまされ」は、なんだか今の日本とも重なるし、考えてみるとこの世は嘘で溢れていないだろうか。そして坂本冬美演じる美登利のセリフは、今を生きる私たちの叫びを代弁しているかのようだ。真実はどこにあるのか?観る人たちそれぞれの目で確かめて欲しい。

第2部「坂本冬美オンステージ  艶歌(うた)の桜道(はなみち)」も豪華絢爛、彼女の魅力がたっぷり詰まったステージとなっている。

坂本の圧倒的な歌唱力はもちろんのこと、関西弁で話す坂本のMCがなんとも心地よい。「19歳でデビューして今年で歌手生活37年目、新歌舞伎座ではデビューして5年目から舞台に立っています。そんな思い入れのある舞台で歌声を届けられるのは嬉しいです。」とにっこり。『また君に恋してる』などのカバー曲や、和太鼓の力強く、小気味良いリズムとともに奏でられる『男の火祭り』、最新曲『酔中花』、『ブッダのように私は死んだ』などのオリジナル曲を含む10曲近くが披露され、坂本の艶やかで伸びのある歌声が会場に響き渡った。

黒のロングドレスで大人の女性の色気を表し、ある時はシルバーのスパンコールのドレスでゴージャスに、次は着物姿でしっとりとかっこよく…、衣裳もどれも素敵で見惚れてしまう。

ステージの途中で、坂本の事務所の後輩・森山愛子が登場し『おんな節』、新曲『雨の空港』を熱唱。デビュー20周年となる森山は、第1部のお芝居にも出演している。また第1部でも共演した中村梅雀がベースを持って登場するサプライズも!!ベーシストでもある中村梅雀と坂本冬美の初のコラボレーションが新歌舞伎座のステージで実現!誰もが知るあの名曲を披露し、会場は万雷の拍手に包まれた。客席から掛け声を出せない代わりに、観客は拍手やペンライトなどで応援。歌に合わせて振りを加えたりと、工夫して会場を盛り上げた。ナンバーに合わせて変化を見せる細やかな演出にも注目して見てほしい。「坂本冬美特別公演」は2023年2月26日(日)まで、大阪・新歌舞伎座にて上演中。

公演概要・チケット

坂本冬美特別公演
公演期間 2023年2月3日(金)~26日(日)
料金 (税込み)
1階席 13,000円
2階席 7,000円
3階席 4,000円
特別席 15,000円

チケット:坂本冬美 特別公演 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 演劇のチケット購入・予約] (pia.jp)

新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)

第一部「華麗なるサギ師たち」=撮影:髙村直希
第二部「坂本冬美オンステージ 艶歌(うた)の桜道(はなみち)」=撮影:田中聖太郎
取材・文:ごとうまき