脚本・坂元裕二、演出・水田伸生、そして安田顕と林遣都による二人芝居『死の笛』が2年ぶりに再演される。坂元氏自身の手で改稿された新たな『死の笛』は、東京・札幌・大阪の全国3都市を巡る。企画・プロデュースも手がける安田顕に、本作への覚悟と共演・林遣都への想いについて聞きました。
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鳴り止まなかった再演への渇望「また2年後にこの座組で」
――2年前の初演を振り返ってのお気持ちと、今回の再演が決まったときの実感をお聞かせください。

――初演の段階から「いつか再演を」という思いはあったのでしょうか。

――この2年というスパンでの再演は、作品にとっても絶妙なタイミングだと感じます。

シンプルな言葉の羅列に潜む、五感を揺さぶる巨大なテーマ
――改稿された脚本を初めて読まれたときの感想はいかがでしたか。
この舞台は難解なものではありません。お客さまが声を出して笑うような、エンターテインメント性に富んだ作品です。ただその根底で訴えかけるテーマがとてつもなく大きい。「戦争」「平和」「生きる」「死ぬ」、「美しい」か「汚い」か、「考える」とはどういうことか――。そういったシンプルで強いワードが、説教くさくなく物語の熱量を通じてお客さまの肌に届く。そんな舞台になっています。
――稽古を重ねる中で、林遣都さんに変化を感じる部分はありますか。
僕、本当に林遣都さんという役者が大好きなんですよ。プライベートの彼は一切知りたくないくらい(笑)。彼が芝居をしている瞬間の輝きは本当に素晴らしくて、いつも見惚れてしまう。二人で板の上に立っているときのグルーヴ感はもうたまらないものがあります。彼と2時間の舞台を共有できる、ある意味で林遣都を独り占めできる。それがどれほど幸せなことか。
対比される二人の「生きる糧」――目指すのは逃げ場のない「熱狂」
――ご自身と演じる役柄、似ている部分と違う部分はありますか?

――お二人のキャラクターの対比も見どころですね。

――安田さんご自身も、仕事において「復讐心」に近いものが糧になる瞬間はありますか?
この間、ニュースで被爆された方のお話の場面を拝見したんです。原爆で親を失い、ご自身も病気を患われた。それなのに「原爆を落とした人たちを恨んでいない」とおっしゃる。「ずっと恨み続けて復讐心だけで生きていたら、人間はまともに生きていけないから」と。復讐心を生き甲斐にしてしまった人間はどこまで歩いていけるのか。この舞台に向き合っていると、日常のふとした瞬間にそんなことを深く考えてしまうんです。 ただ、この舞台を小難しくやろうとは絶対に思っていない。生身の人間だからこそ伝えられる、逃げ場のない「熱量」と「熱狂」。役者が緊張していればお客さまにダイレクトに伝わるし、心から楽しんでいれば巻き込まれて劇場全体にグルーヴが生まれる。あの生々しい一体感を、ぜひ劇場で味わってほしいです。
原案は完璧な「ゼロからイチ」――考えることをやめない豊潤な時間
――そもそも、この『死の笛』はどのようなきっかけで立ち上がったのでしょうか。

――坂元さんに「なぜこのテーマにしたのか」を直接聞くことはされないのですか?

――安田さんの長いキャリアの中で、この『死の笛』はどのような位置づけになりますか?
20代に地元・北海道でがむしゃらに頑張り、30代・40代と東京をはじめ各地でお芝居の世界に揉まれてきた。その中で積み重ねてきたご縁があったからこそ、心から尊敬し大好きな人たちとこれだけのものを作ることができた。自分が歩んできた道の「結果」として、この作品が存在していることが誇らしいですし、それを再びお届けできることは無上の喜びです。
――大阪公演はちょうど夏休み期間の上演です。もし学生時代にこの作品に出会っていたら、どんな影響を受けていたと思いますか?
スマートフォンが普及してデジタルで様々な表現ができる素晴らしい時代ですが、この舞台に流れているのは徹底的な「肉体の躍動」と「アナログの凄み」です。人間が肉体をフルに動かすことでこれほどの熱量を届けられるんだという原点の素晴らしさを、ぜひ若い世代にも劇場で体感してほしいですね。
――最後に、大阪公演を心待ちにしているファンの皆さまへメッセージをお願いします。

【公演情報】
舞台「死の笛」
2026年7月24日(金)〜8月2日(日)
COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
全席指定 ¥11,000(税込)
脚本:坂元裕二 演出:水田伸生 出演:安田顕 林遣都
取材・文・撮影:ごとうまき







今回は坂元裕二さんがさらにブラッシュアップして改稿してくださった。水田伸生さんという素晴らしい演出家が今回も並々ならぬ熱量で向き合ってくださる。この同じ座組で、2年後のいま、また打席に立てることが本当に幸福ですね。