【大阪アジアン映画祭にGO!】東京国際映画祭で話題『カム・アンド・ゴー』が大阪で上映決定!

カム・アンド・ゴー
EVENT

東京国際映画祭2020で話題を呼んだ9カ国の人々が繰り広げる多国籍多言語の群像劇『カム・アンド・ゴー(2020)』が3月5日(金)~14日(日)まで開催される第16回大阪アジアン映画祭 特別招待部門へ選出された。大阪では初上映となる。本作の上映日時は2021年3月12日(金)午前9時10分から、場所はシネ・リーブル梅田で上映予定だ。大阪キタを舞台に作られた本作が梅田のランドマークとなるスカイビルに入る劇場で観れるとのことで、喜びもひとしおだ。

過去の取材記事一覧

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大阪キタを舞台にした9カ国の人々が奏でる群衆劇

本作はリム・カーワイ監督作品の「新世界の夜明け」「Fly Me to Minami 恋するミナミ」に続く大阪三部作の第三部作目にあたる。かつての外国人で溢れかえった大阪の風景を見ることがなくなった今だからこそ、平成最後の大阪、外国人が行き交う物語が懐かしく愛おしく感じるであろう。

文化の異なる日本に住む外国人が持つ孤独感や日本人との共存をテーマに、コミカルかつ淡々と、だけどちょっぴり哀愁漂う作品として仕上がっている。

あらすじ

平成最後の春、大阪 中崎町にある古い木造のアパートで、白骨化した老婦人の死体が発見された。孤独死なのか、または財産絡みの謀殺なのか・・・アパートの周りの捜査や関係者へ事情聴取を行う警察。そんな中、中国、台湾、韓国からの観光客、マレーシアからのビジネスマン、ネパールの難民、ミャンマー人留学生、ベトナム人技術研修生などの外国人、そして日本人の物語が交差し繰り広げられる。それはときに哀愁的に、滑稽に、倒錯的に描かれている。事件が明るみになっていくと同時に彼らは自分の人生での中の大切な何かを得て、それぞれの人生を再び歩むことになるが・・・。

見どころ

大阪 キタが舞台

舞台は大阪キタ エリア。梅田、北新地、淀屋橋、北浜、中之島、福島、中崎町、天神橋筋商店街、などなど100箇所以上のロケ地をたった20日間で撮り終えたというから驚きだ。

ロケ地となっている大阪中崎町のカフェは実際に実在するお店、スタッフも実名で出演している(カフェ朱夏は2020年12月末をもって閉店した)。

日本社会に蔓延る闇、人々が目を背けたくなる話題にフォーカス

「外国人の労働問題」「セクハラ」「女性の貧困」「風俗」「アダルト産業」「売春」「不倫」など・・私たちが普段向き合うことの少ないテーマが随所に散りばめられているが、それぞれの問題を深く掘り下げるわけではなく軽やかに、だけどシリアスにも捉えられ、その演出が返って作品に余韻をもたらしている。

時間を感じさせない長編映画

また本作は長尺ではあるがそれを感じさせないほど、あらゆるテーマと様々な国、言語が行き交いテンポよくリズミカルに進んでいく。

個性が光る役者たち

個性派キャストのアドリブの芝居にも注目

2020年12月に助演女優賞を受賞した渡辺真起子さんや、桂雀々さん、千原せいじさんや兎丸愛美さんをはじめとする日本人俳優たちの個性あふれる演技にも注目したい。リム監督の制作スタイルは「いつか、どこかで」同様に今作も脚本を書かず進めたとのこと、役者たちは決まったセリフが無しの即興の芝居、ほぼアドリブであった。飯田さん役を演じた落語家の桂雀々さんは『まるで創作落語をしているようだった。とても勉強になりました』と本作について振り返っている。また夫婦役で出演の渡辺真起子さんと千原せいじさんの二人の掛け合い、クスッと笑えるシーンにも是非期待してほしい。

渡辺真起子

兎丸愛美

千原せいじ

桂雀々

 

各国を代表する海外の役者たち

多国籍多言語の作品なので、海外の役者たちも多く出演している。目で語る芝居をする、瞳の美しい台湾の人気俳優 李康生(リー・カンション)や、ベトナムのスター俳優Lien Binh Phat(リアン・ ビン・ファット)、ミャンマーでモデル・女優として活躍中のNang Tracyなどをはじめとする役者たちにも注目である。

また準備や製作するうえでのあらゆる雑務(飛行機の手配、宿泊の予約、スケジュール管理)諸々をリム監督が全て担っていたというが、そこにも驚嘆する。これだけの海外の役者たちを集めて日本に呼びよせることができるのもリム監督の人望と、人徳のなせる業なのであろう。

李康生(リー・カンション)(台湾)

大阪を愛しむ

本作が製作された年を含む数年間はインバウンドが異常な盛り上がりをみせていた。2019年の年末まではミナミを中心に、特に心斎橋筋商店街の外国人でごった返すといった光景は筆者も鮮明に記憶に残っている。たった一年で、これほどまでに変わってしまうとは・・・。平成最後の大阪の街を舞台にした作品を改めて見るという意味では非常に意味があり、感慨深いものがあるはずだ。大阪アジアン映画祭では関西に馴染みのある人、関西の人が多く訪れるはずで、自分の良く知る場所が映し出される瞬間は、きっと胸が躍るはず。

そして本作を通して改めて関西・大阪愛がより深くなるに違いない。あるいは、大阪が好きでない人、よく知らない人も本作を観て大阪を好きになってもらえたら。どうか大阪を愛してほしい。

3月12日(金)シネ・リーブル梅田へCOME!9時10分~上映。

《カム・アンド・ゴー》作品概要

監督リム・カーワイ
キャスト:リー・カンション、千原せいじ、渡辺真起子、桂雀々、兎丸愛美、森本のぶ、Jun Amanto、望月オーソン、尚玄
撮影:古屋幸一(「ミスター・ロン」、「ボルトの恋人たち」など)
録音/整音松野泉(「ハッピーアワー」、「おっさんのケーフェイ」など)
美術藤原達昭(「光」、「Vision」など)
音楽渡邊崇(「舟に編む」、「お湯を湧かすほどの熱い愛」など)
衣裳碓井章訓
メイク島田幸希、富田允貞
ラインプロデューサー友長勇介
プロダクションマネージャー濱本敏治
助監督神保慶政、鳥井雄人
プロデューサー・監督・脚本・編集リム・カーワイ
エグゼクティブ・プロデューサー毛利英昭、リム・カーワイ
制作会社:Cinema Drifters LLC
制作協力:KANSAIPRESS、株式会社リンクス、Amanto Films
配給:リアリーライクフィルムズ
製作:2020年|日本・マレーシア|158分

 

文/ごとうまき