【伊達悠太 インタビュー】『情なし』で開花したボーカルの真骨頂──独立、葛藤、そして「歌を心から楽しむ」境地へ

インタビュー

バラードの世界観で確固たる独自の路線を築き、若手男性歌手の中でも著しい成長を見せる伊達悠太。通算5作目となる杉本眞人×朝比奈京仔タッグによる最新作『情なし』(2026年7月29日発売)は、彼の豊潤な表現力が冴え渡る必聴の一曲だ。カップリングの『アカシア食堂』も含め、ボーカリストとして新たな扉を開いた彼に、環境の変化や葛藤、そして歌への向き合い方がガラリと変わったという知られざるエピソードまで、たっぷりと語っていただきました。

「もっと楽しんでいい」占い師の言葉で解き放たれた「自分らしさ」

──お会いするのは『土砂降りの雨だから』以来3年ぶりとなりますが、この数年で伊達さんご自身の中に大きな変化はありましたか?

一番変わったのは、ファン層がすごく若くなったことですね! 下は大学生の方まで応援してくださるようになって。『涙のララバイ』から若い層にも届くような歌謡曲調の歌に挑戦していったら、それが徐々に浸透して『土砂降りの雨だから』でオリコン1位をいただくことができました。その後の『サバイバル・レイディー』では初めてCDを2タイプリリースして、それぞれのカップリングにバラードを入れたのですが、それがカラオケ愛好家の皆さんにも広がっていって……曲調や歌の変化とともに、裾野が広がっている実感があります。

──歌の幅が広がる一方で、表現者としての意識や心境の変化もありましたか?

実はここ最近まで、「自分はこれからどう進んでいけばいいんだろう」って、ずっと悩んでいたんです。誰にでも話せる悩みではないので、ふと占いに行ってみたんですよ。そうしたら開口一番、「伊達さん、歌が好きじゃないですよね?」と言われてしまって(笑)。

──えっ!? 伊達さんがですか?

衝撃的でした! ずっと好きで歌ってきたつもりだったので。でも原点を辿ってみると、幼い頃に自分が歌うと周りの大人が喜んでくれたり、施設で歌ったときにお客さんが泣いてくれたり……「誰かが喜んでくれること」が嬉しかっただけで、自分自身が純粋に歌を楽しんでいたわけじゃないのかもしれない、と気づかされたんです。さらに「伊達さん自身が楽しそうじゃないから、もっと楽しんで歌っていいんだよ」と言われて。それまでの僕は「演歌界はこうあるべき」という縦社会のルールや体育会系の固い考えに縛られていて、「歌詞を絶対間違えちゃいけない」「粗相のないように」とガチガチになっていたんですね。

──伝統的な世界だからこそ、無意識にご自身を縛っていたのかもしれませんね。

そうなんです。だから思い切ってそれを一度横に置いて、「今日は歌詞を間違えようが、失礼なことを言おうが、これが自分なんだから開き直ろう!」ってステージに立ってみたんです。そうしたら、もうすっごく楽しくて! 不思議なことに、そこから新しくファンになってくださる方が増えたり、ジョイントコンサートのお話が舞い込んできたりと、良い方向に回り始めたんです。

──大きな殻を破られたんですね!

はい。以前は「どちらのファンが多いんだろう」なんてちっちゃなことで悩んでいたのが嘘みたいに、今では共演者やお客様とステージを作ることが心から楽しいです。前事務所のマネージャーからずっと「もっと砕けろ」と言われていた理由が、3年前に独立して事務作業や裏方まで自分で手がけるようになった今、ようやく胸に落ちました。大変なことも多いですが、周りの方に助けられながら毎日を楽しんでいます!

杉本眞人×朝比奈京仔タッグ5作目──レコーディングは過酷な「戦場」だった

──そうして迎えた新曲『情なし』ですが、ジャケット写真のネイビーのスーツに赤い差し色が効いたスタイリングも大人っぽくて本当に素敵です。

ありがとうございます! 実は『涙のララバイ』あたりからジャケットの衣装はセルフプロデュースさせてもらっていて。今回もノーネクタイでウイングカラーのシャツを合わせたりと、ファッション誌の撮影のような感覚で楽しかったです。

──今回の『情なし』は、どのような世界観の楽曲なのでしょうか?

年下の男性が女性を惑わせるような、どこか陰のある色気を含んだ「女歌」です。今年39歳になりますから、そろそろ「可愛い伊達悠太」ではなく、「かっこいい伊達悠太」を見せたいという思いがあって。自分の引き出しからどうやって色気を感じてもらえるか、試行錯誤しながら挑みました。

──制作陣は、2022年から5作連続となる杉本眞人先生(作曲)と朝比奈京仔先生(作詞)のタッグですね。

杉本先生とのレコーディングは、一言で言うなら「戦場」でした(笑)。今回も3時間休みなしのぶっ続けです。最初、僕がちょっとか弱い女性をイメージして歌ってみたら、先生から「違う! もっとやさぐれろ! もっと砕けていいんだ!」と愛の指導が飛んできて。

──「やさぐれろ」ですか!

サビの「情なし あなた」というフレーズも、最初は軽く歌ったら「そこの“あなた”はそうじゃない!」「抑えてみろ!」と。そのあとの「上手にくどいただけで」という部分も、「お前は拳(こぶし)が得意なんだから入れてみろ」「最後の“だけで”は語尾を捨ててみろ」と、一行一行、ミリ単位で色気を構築していきました。先生の指示通りに歌うと、一気に曲の中に男と女のドラマが立ち上がってくるんです。苦労した分、深い思い入れのある一曲になりました。

──ステージで歌われる際も、その表現力が発揮されそうですね。

実は、ステージでは毎回違う人物を思い描きながら歌っているんです。イントロが流れてお辞儀をした瞬間のお客様の空気感や目線を察知して、「今日はこういう女性の情念で行こう」「今日は男性目線で行こう」と変えていて。毎回一度きりの表現として楽しんでいただけたら嬉しいですね。

胸をギュッと掴まれる名曲誕生『アカシア食堂』

──そしてカップリングの『アカシア食堂』。タイトルからも温かい情景が目に浮かびますが、こちらはどのような楽曲ですか?

朝比奈先生が作詞してくださったのですが、曲調はレゲエっぽい少し明るく心地よいサウンドなんです。でも、歌詞がとにかく切なくてグッとくる。先生からも「曲は明るいけれど感情を込めて歌ってほしい」と言われました。歌詞の中に、母子家庭で育った主人公が20年ぶりに思い出の食堂を訪れる場面があるのですが、もうお母さんは天国に旅立っていて、お店も閉まってしまう……というストーリーで。あまりにも切なくて、レコーディング中、朝比奈先生はブースの外でずっと涙を流されていました。

──聴く人の心にも、温かい一筋の涙が溢れるような名曲ですね。

昭和の時代、全国に「アカシア」とつく食堂やカフェがたくさんありましたよね。どこか懐かしくて、誰もが胸の奥に秘めている親への想いやノスタルジーを刺激される一曲です。まだステージでは披露していないので、お客様の前で歌ったときにどんな反応をいただけるのか、僕自身とても楽しみにしています。

目指すは「男版・ちあきなおみ」──節目の年へ向けた誓い

──杉本先生・朝比奈先生との絆も、年々深まっていると感じます。

杉本先生は僕が幼少期から大尊敬している方で、2017年にテイチクへ移籍した際も「いつか杉本先生に書いていただきたい」と念願していたんです。それが今や5作連続で書いていただけているなんて、夢のようです。先生が以前、「お前には男版のちあきなおみになってほしい。歌を聴いただけで一瞬でその場の情景が浮かんでくるような歌手に絶対なれるからそこを目指せ」とおっしゃってくださったことがあって。ちあきなおみさんは僕が一番崇拝している歌手なので、自分の目指す道は間違っていなかったんだと、答え合わせができたような大きな喜びがありました。

──素晴らしい信頼関係ですね。16歳で北海道から上京され、今年でメジャーデビュー15周年に突入されます。波乱万丈だった下積み時代を振り返って、今思うことはありますか?

19歳で独立することになり、20歳の誕生日には忘れられない出来事がありました。昔は「なんで自分ばかりこんな思いをしなきゃいけないんだろう」と周りを羨んでひねくれていた時期もありましたけれど、今思えば、あの下積みと苦労がすべて今の僕の「強み」になっています。去年はBS日テレさんの企画で韓国のオーディション番組に挑戦し、1,000人以上の中から22人に残って現地でサバイバルバトルを繰り広げるという素晴らしい経験もさせていただきました。異国の圧倒的なエンターテインメントの現場を踏めたことも大きな財産です。最近は無心になれる陶芸にハマってリフレッシュしたりしながら、心身ともにすごく充実しています!

──苦難も挑戦もすべて力に変えて、現在の輝きに繋がっているのですね。最後に、ファンの方へメッセージをお願いします!

40代を目前にして、今が人生で圧倒的に一番楽しいです! 毎年こうして新曲を出させていただけるのは、スタッフの皆さん、そして何より僕を盛り上げようと熱心にCDを買って応援し続けてくださるファンの皆様のおかげです。「CDを出すことは宝くじを買うことと同じ。出し続けなければ当たらないし、感謝を忘れず続けることが一番大切だ」という先輩の言葉を胸に、これからも一歩一歩、歌の道を進んでいきます。新曲『情なし』、そして『アカシア食堂』が、皆様の心に深く届きますように。応援よろしくお願いいたします!

■商品情報

「情なし」
2026年7月29日発売
TECA-26034/CDシングル
定価:¥1,700(税抜価格¥1, 545)
商品内容:
1.情なし  作詞:朝比奈京仔 / 作曲:杉本眞人 / 編曲:猪股義周
2.アカシア食堂  作詞:朝比奈京仔 / 作曲:杉本眞人 / 編曲:猪股義周
3.情なし(オリジナルカラオケ)
4.アカシア食堂(オリジナルカラオケ)

■SNS

テイチクエンタテインメント
https://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/date/

オフィシャルサイト
https://www.noreason.jp/tag/dateyuta/

YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCaiEdHR4RRYWTRmD-nqEBQg

オフィシャルブログ

https://ameblo.jp/dateyu-ta/

X

https://x.com/date_uta

Instagram

https://www.instagram.com/dateyuta1130/

インタビュー・文・撮影:ごとうまき