劇場公開直前!映画『COME&GOカムアンドゴー』リム・カーワイ監督にインタビュー

リム・カーワイ監督
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マレーシア出身でヨーロッパやアジアを舞台に映画を撮り続けるリム・カーワイ監督が手がけた映画「COME & GO カム・アンド・ゴー」が11月19日(金)から渋谷ヒューマントラストシネマで、12月3日(金)からテアトル梅田ほか全国順次公開されます。
今回は公開直前に迫ったリム監督をKANSAIPRESSのマキがインタビュー!監督の今の心境、作品の見所や魅力を深堀しました!

監督や出演者の想い

マキ
公開1週間前となりましたが今どんなお気持ちですか?
リム監督
観てくださった皆さんがどんな反応し感想を持つのか、とってもドキドキし緊張しています。2年半前に撮影し去年映画祭などに出品、そしてやっと一般公開、長かったですね。だけど映画って皆さんに観てもらって初めて1つの作品になると思うんです。この映画を完成させるのが観客の皆さんなんですよ。
マキ
中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ネパールと9カ国の人々が競演し、多言語が飛び交う群像劇ですが、外国のキャストの皆さんは日本での劇場公開にどのような反応をされていますか?
リム監督
みんなとても喜んでいますよ。台湾を代表する俳優でツァイ・ミンリャン作品でお馴染みのリー・カンションさんは自身のFacebookで告知してくれたり、今やベトナムでトップクラスの人気を誇る俳優のリエン・ビン・ファットさんもインスタやFacebookで取り上げてくれた。すると瞬く間にベトナムで話題となりマスコミにも沢山取り上げられました。たぶん日本より話題になっているんじゃないかな〜。彼がベトナムで大ブレイクする前に撮影した作品なのでより貴重な作品となり、そして彼自身初の国際映画となるのでより話題になっているんです。ただ、ベトナムで上映できないのが残念ですが・・・(去年ハノイ国際映画祭で上映予定だったが新型コロナウィルスの影響によって映画祭が中止となった)。
マキ
新型コロナウィルスによって世界中の映画祭に影響が出ていますね。本作の舞台挨拶にもコロナがなかったら各国の俳優さん達に来日してもらえたかもしれませんね。
リム監督
特にリー・カンションさんやリエン・ビン・ファットさんが来ると劇場は人で溢れるはず、今回は二人には動画を撮ってもらいその動画を公開初日の舞台挨拶でスクリーンで流す予定です。
11月19日(金)18:00上映後には映画コメンテーターのLiLiCoさんを迎えてリム監督との対談が舞台上でも行われる。また11月20日(土)14:00上映後には出演者千原せいじさん、の渡辺真起子さん、兎丸愛美さんとリム監督の4人が登壇し舞台挨拶を行う。

作品にリム監督の生き様が現れている!?

マキ
公開に先立ち数々の著名人から絶賛のコメントが寄せられていますね。「スパイの妻」などの黒沢清監督も本作を絶賛されています。中でも映画監督の山本政志さんのコメント‟ーリムの映画には「映画という人生」がある。彼の人生とそこで考えたことが作品に結びついてるーーー”私、これを見て思わず膝を打ったんです。あぁ、この作品にはリム監督の生き様が映し出されてるのかなって。
リム監督
そうかもしれないですね。まぁこの作品には14人の登場人物が出てきますから、僕はその14人の分身なのかも(笑)メインキャラクターは14人だけどスタッフ入れると20数人いて、その人達の人生が詰まってる作品なのかな。上映時間が158分って長いように感じるかもしれないけど14本分の作品を158分の中で観れるってかなりお得ですよ(笑)

作品の魅力

リム監督
今はコロナの影響によって人々の往来ができなくなっていますよねこの作品はコロナパンデミック前のリアルな日本を良くも悪くもありのままに映し出した作品なのかなって。今後本作の持つ面白さや重要性がますます認知されることになると思っています。あくまでも日本の真実の姿をありのままに伝えただけで、シリアスな問題を敢えて明るくしようという意図もなかった。僕はこの問題をこれからどう乗り越えて行くかーーといった課題を啓示しただけに過ぎないんです。
本作は国籍も年齢も環境も異なる人々の物語が交錯。その内容は外国人労働者の問題であったりハーフのアイデンティティ、女性の貧困、老後問題といったあらゆる社会問題が炙り出されているがそれをシリアスに表現せず、淡々とコミカルかつポジティブに描いているところが魅力の一つとなっている。

監督の演出スタイルについて

マキ
監督はマレーシア出身でこれまでにもヨーロッパやアジアを舞台に映画を撮り続けてらっしゃいます。自ら「映画流れ者」と名乗るほど、流れに任せて、即興での演出が監督の製作スタイルだと。とりわけ日本では珍しいとされますが、海外では?
リム監督
即興で撮る映画って日本でも海外でもとりわけ珍しいほどでもないけど、主流ではないですよね。監督によって製作スタイルは様々で、僕には即興での演出が性格的に合っていて、自分の力を最も発揮しやすい手法なんです。
ここでの即興演出とは、事前に役者に脚本が与えられていないことを示す(撮影にあたりロケーションやキャスティングなどの細かい準備はきちんと行われている)。多くの場合予め脚本があり役者はセリフを覚えたり役作りを行うがリム監督の場合は現場で役者と監督がディスカッションしながら即興で作り上げていき、その場の偶然やインスピレーションを見事に昇華させている。

(C)cinemadrifters

監督から見た本作の見どころと思い入れのあるシーンは?

リム監督
そりゃもう全部ですよ(笑)158分の中に全てが詰まっている。本作は大阪キタを舞台に多国籍14人の3日間を描いていますが、彼らの人生の中の一番重要な3日間を描いていると思っています。一本の作品に多言語が飛び交う作品にあまり出会うことはないかと
ーー苦労したシーンや印象に残ってるシーンは?
リム監督
スタッフ、キャスト、私も楽しんでいたのであまり苦労した印象はないかな。敢えて好きなシーンを言うなら、劇中の後半部分、香港人がAV女優と偽った韓国人の女の子達を北新地の高級クラブに連れて行き中国人のビジネスマン達に紹介するシーンですね。あそこはワンカット撮影でカメラの長回しをしているんです。鏡からスタートして鏡で終わるカメラワークにも是非注目してみてほしい。
ーーそして監督が自信をもっておススメするシーンが・・
リム監督
もう一つ、リー・カンション演じる台湾から来たAVオタクとゴウジー演じる中国人観光客との二人の居酒屋で意気投合するも喧嘩に発展するシーン、あのシーンは取材でも多くの人に取り上げてもらいました。皆さん印象に残るシーンだったそうです。
リム監督
そして絶対見逃さないでもらいたいシーンは僕も出演しているところです(笑)爆笑することを保証します!
マキ
だって監督、あの役がとってもお似合いなんだもの。私もあのシーン大好きです。
台湾人と中国人の居酒屋でのやり取りは、台湾と中国との政治的な問題や歴史的なことも織り交ぜながらコミカルに描いている名シーン、中でも筆者は台湾人と中国人二人の銭湯でのシーンがお気に入り。そして監督自ら出演したシーンは爆笑すること間違いなしだ。

(C)cinemadrifters

監督からのメッセージ

リム監督
映画「COME & GO カム・アンド・ゴー」は11月19日(金)~ヒューマントラストシネマ渋谷、12月3日(金)~テアトル梅田、12月4日(土)~シネ・ヌーヴォ、12月10日(金)~京都シネマ、ほか全国で順次公開されます。まずは劇場を満席にしたい!絶対に面白いので是非みなさん、COME!COME!COME!
リム監督最新作『あなたの微笑み』の撮影最中に『COME&GOカムアンドゴー』公開映画のプロモーションでまさに日本中を‟行ったり来たり”だった監督、新作映画の撮影もようやく終わり、今は編集中とのことで新作映画も年内に完成予定だ。そんな常に走り続けるリム監督、彼が自信をもってお届ける作品を是非劇場で、あなたの目で観て確かめてほしい。本作がコロナ時代を生きるわたしたちの琴線に何かしら触れるはずだから。

COME & GO カム・アンド・ゴー 作品概要

監督・脚本・プロデューサー:リム・カーワイ
エグゼクティブプロデューサー:毛利英昭、リム・カーワイ
撮影:古屋幸一
キャスト:リー・カンション、リアン・ビン・フィアット、J・C・チー、モウサム・グルン、ナン・トレイシー、ゴウジ―、イ・グァンス、デビッド・シウ、千原せいじ、渡辺真起子、兎丸愛美、桂雀々、尚玄、望月オーソン、天人純
製作:2020年製作/158分/日本・マレーシア合作
配給:リアリーライクフィルムズ、Cinema Drifters
原題:Come and Go

 

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文/ごとうまき